「環境計量士」の仕事とは

環境計量士の仕事内容

環境に関するさまざまな計測を行う

環境計量士は私たちが日々生活している環境を調査する専門職で、担当する業務内容によって「濃度関係」と「騒音・振動関係」という2種類の資格に分かれています。

濃度関係であれば、工場や事業所などから排出される排水や煤煙(ばいえん)、空気中の有害物質などの濃度を測定します。

騒音・振動関係の場合は、音を立てたり揺れたりする機械を設置している工場や建設現場において、騒音や振動の大きさを計測します。

どちらの業務であっても、そこで働く人やそこを訪れる人のため、調査項目が有害な水準に達していないかをチェックし、よりよい環境づくりに役立たせることが目的です。

また環境計量士は調査修了後に「計量証明書」を作成しますが、これは結果を公的に証明できる大事な書類で、環境計量士だけに発行が許可されています。

環境計量士の就職先・活躍の場

環境問題が重要視され、活躍の場は拡がっている

環境計量士の就職先は測定専門会社が一般的ですが、昨今の環境意識の高まりから、さまざまな場面で環境計量士が必要とされており、その業務は多様化しています。

たとえばビルやマンションを建設する際には周辺の騒音調査が実施され、その結果に基づいて防音設備などの建設計画が策定されます。

また水質調査や土壌調査の結果によって、行政が汚染対策の実施を決定したりします。

今後も検査項目や調査場所が増加するにつれ、環境計量士の活躍の場はますます拡がっていくと思われます。

環境計量士1日

日中は測定、夕方から事務という流れが多い

毎日必ず測定があるわけではありませんが、測定作業のある日は朝から現場に出て、夕方まで戻らないことが多いようです。

帰社後に、報告書をまとめたり、計量証明書を作成するデスクワークを行います。

他の環境計量士が取得したデータの妥当性を検証したり、測定方法を協議する場合もあるようです。


9:00 出社
打ち合わせ、訪問する現場の確認を行います。

9:30 計量作業
現場で大気や水質などを測定します。

12:00 休憩

13:00 計量作業
午前中とは別の項目を測定します。

15:00 事務作業
帰社し、データを整理したり、報告書を作成します。

18:00 帰社

環境計量士になるには

国家試験に合格するか、専門機関で教習を受ける

環境計量士になるには国家資格が必要ですが、資格取得には2つのルートがあります。

まずは経済産業省の主幹する国家試験を受験し、合格する道です。

試験は業務内容によって「濃度関係」と「騒音・振動関係」の2種類に分かれますが、どちらの試験に合格した後も、環境計量士としてすぐ働けるようになるわけではありません。

指定の講習を受けるか、1年間の実務経験を経てはじめて、環境計量士として登録することができます。

また、指定機関の教習課程を修了したうえで、2年間の実務経験を積み、計量行政審議会に認められて登録するという道もあります。

環境計量士の学校・学費

試験に受験資格は不要

環境測定士試験は誰でも受験することができ、学歴など特別な資格は必要ありません。

試験の代わりに、一般的に「産総研」と呼ばれる「国立研究開発法人産業技術総合研究所」という機関で教習を受けるという方法もあります。

ただ、その学費は「濃度関係」の資格で約43万円、「騒音・振動関係」で約28万円と、決して安くありません。

また居住地によっては、学費とは別に、宿泊費用や食事代がかかる場合もあります。

試験を受けるか、教習を受けるかは、その後の実務期間の必要年数なども異なりますので、各自で最適と思われる方法を選択しましょう。

環境計量士の資格・試験の難易度

高校や大学で理系科目を勉強していると有利

環境計量士試験の合格率は年度ごとに多少のばらつきがありますが、「濃度関係」が11%~16%、「騒音・振動関係」が14%~19%で推移しています。

合格までに必要な勉強時間は300時間といわれていますので、1日2時間勉強するなら約5か月、3時間勉強するなら約3か月を要することになります。

ただし、試験問題の多くは高校卒業レベルの化学・物理の範囲から出題されます。

それらを学んでいれば有利になりますし、逆に文系科目の学生などはより多くの学習時間が必要になるでしょう。

また、濃度、騒音・振動、及びそれらより少し難易度の低い「一般」の計量士試験のいずれかに合格していれば、合格していない他の試験を受験する際、一部試験科目が免除されます。

環境計量士の給料・年収

勤務先や残業時間によってばらつきがある

環境計量士の年収は300万円~600万円が相場のようですが、勤める先や仕事量によって、多少の差があります。

公共の事業所や、公的な計測業務を委託されている企業は、水質検査なら水質検査のみなど、担当する業務内容が限られており、仕事量が一定している反面、給料は少ないケースが多いようです。

それとは対照的に、さまざな測定項目を請け負っている調査会社は、業務量が多く、ときに長時間の残業が必要となる一方で、大きな収入が期待できるようです。

環境計量士のやりがい、楽しさ

環境をよりよくするための仕事

さまざまな場所で調査を行い、計測項目がちゃんと基準値以内におさまっているか確認する環境計量士の仕事は、人々が気持ちよく暮らしていくために必要不可欠な仕事です。

その社会的意義の大きさ、業務の重要性が、環境計量士のやりがいに繋がっているといえます。

また、各企業がこぞって地球温暖化などの環境問題に関心を示し、環境分野自体が今後成長産業として見込まれていることも魅力のひとつです。

環境計量士の将来性は他業種よりも有望であるといえるかもしれません。

環境計量士のつらいこと、大変なこと

専門的で、依頼者への説明が難しい

環境計量士の手掛ける測定業務の多くは法律で義務付けられているもので、依頼者が自分で希望して測定を依頼するケースは稀です。

このため依頼する側に環境に関する知識が乏しいことが珍しくなく、また専門用語に満ちた報告書が難解であるために、内容を理解してもらうのに困難を要するときもあります。

依頼者の中には「法律だから仕方なくやっているけれど、本当はこんな調査にお金を使いたくない」という人もいるため、説明を尽くしてその必要性を納得してもらわねばなりません。

環境計量士に向いている人・適性

地道さと向学心を持ち続けられる人

環境計量士の行う業務は世間的に知名度があるわけでもなく、華やかでもありません。

地味な計測作業を日々淡々と繰り返し続けなくてはならない、どちらかといえば裏方の仕事です。

また、環境に関連する法律は改正や基準の変更が頻繁に行われるため、その度に検査項目や測定方法を学び、新しい測定機器の使い方を覚えなければなりません。

そんな地道な業務と勉強を長期間にわたってコツコツと続けられる人が、環境計量士に向いているといえるでしょう。

環境計量士志望動機・目指すきっかけ

環境保護に対する関心がきっかけ

環境破壊は今や地球規模で深刻化しており、早急に解決策を見出さねばならない大問題です。

そうした中、環境保護に対する意識を持つことは自然な流れで、自分も何かできないかと考える人はどんどん増えています。

大学や専門学校などで環境に関することを学んだり、ボランティアで環境保護活動に参加したりして、その中で環境計量士の仕事を知って目指す人が多いようです。

環境計量士の雇用形態・働き方

派遣社員としての採用も増加傾向

環境計量士はその専門性の高さから、正社員として働くことが一般的です。

ただし、計量作業自体は有資格者でなくても行えるため、大学の理系学科を卒業していることや、計量業務の経験があることなどを条件に、計量作業のみを担当する無資格の派遣社員も増えています。

こうした背景には、その有資格者の少なさに対して、需要の高まりから計量の実務作業自体が増加している事情があり、有資格者に対してはどの企業も優遇しているようです。

環境計量士の勤務時間・休日・生活

収入と勤務時間のバランスを考えるべき

環境計量士はその勤務先によって勤務体系が大きく異なり、残業なし・完全週休二日制で働ける企業もあれば、月100時間を超える残業と休日出勤を強いられる企業もあります。

また環境計量士は法改正のたびに新しい有害物質や検査方法について日々学習しなければならないため、休日でもプライベートに時間を割けないケースもあります。

自分がどのくらいの収入を求めているかよく考え、仕事と私生活のバランスを取ることが重要です。

環境計量士の求人・就職状況・需要

需要の高まりから就職市場は活況

環境計量士の資格保有者数はその資格試験の難易度と必要実務経験の長さから、決して多くありません。

その一方で計量業務は多様化しており、各企業は環境計量士を競って採用しています。

また資格を有していない人に対しても、これから勉強して環境計量士試験を受験したいという意思さえあれば、採用の門戸を開いている企業も数多くあります。

そうした企業は資格取得に向けた指導を行ってくれる場合もありますので、環境計量士を目指す人にとってはチャンスといえるでしょう。

環境計量士の転職状況・未経験採用

未経験での採用も積極的

大学時代に環境を学んでいたり、社会人になってから計量業務の実務経験がある人などを中心に、各企業は資格を持っていない転職者・未経験者でも、積極的に採用しています。

環境計量士の有資格者であればなお優遇され、基本給に加えて資格手当がつくケースも多いようです。

まったくの知識や経験がなくても採用してくれる企業もありますが、業務への習熟と試験勉強を同時並行で進めなくてはならないため、ある程度若い年齢であるほうが望ましいでしょう。

環境計量士の現状と将来性・今後の見通し

環境意識の高まりから、将来性は明るい

大気汚染や水質汚染など環境に関する問題が頻繁にメディアに取り上げられ、人々の環境意識は高まりを見せています。

専門学校や大学でも環境を学ぶ学科が相次いで創設されていますし、また環境ビジネスの活況などもあって、環境計量士の需要は一貫して増加傾向にあります。

環境問題は今や世界的な関心事になっており、日本の環境に関する規制基準が年々強化されている状況を鑑みても、正確な測定能力を持つ環境計量士の活躍の場は今後さらに拡大していくでしょう。