「左官」とは

建築工事において、壁塗りやタイル貼り、レンガ積み、床仕上げなどを専門的とする職人。

左官とは、建築工事において塗り壁などを塗る職人のことをいいます。

塗り壁の材料は、土系のものがあったりセメント系のものがあったりしますが、固まらないうちに壁などに塗り、きれいに仕上げなければならず、非常に技能が必要とされる職業です。

また、タイルを貼ったり、レンガやブロックを積んだりすることも仕事に含まれます。

左官になるには特別な資格は不要ですが、一定の技能をあらわすものとして国家技能検定があり、1級左官技能士と2級左官技能士に分類されます。

特別な資格は不要とはいえ、難しい仕事ですので一定の技能レベルを示すため、一線で活躍する左官職人は大抵持っています。

左官の年収は平均では300万円台とそう高くはありませんが、近年の健康志向の高まりから一般住宅での需要が伸びておりますので、この平均年収を大きく上回って稼ぐ左官職人も少なくありません。

「左官」の仕事紹介

左官の仕事内容

日本建築の伝統技術を担う

「左官」とは、建築工事において壁や床などを塗る技術職です。

主に、鏝(コテ)という道具を使って、土や漆喰、珪藻土などを塗って壁を仕上げることや、砂とセメントを混ぜたモルタルを塗って床や壁を仕上げる作業に従事します。

建築工事のなかでも仕上げに関わる部分を担当することが多くなるため、丁寧で根気強く、集中力を持って取り組むことが求められます。

「左官」の歴史は古く、律令体制下における機関のひとつに宮殿の造営や修理を行う木工寮という役所があり、そこで土木に関する作業を行う職人に対し階級のひとつである属(さかん)を与えることで、宮中への出入りが許可されたことが語源となったという説があります。

「左官」は古代から日本建築との関わりは深く、切り離すことができない職種のひとつで、その伝統と技術は脈々と受け継がれています。

左官の就職先・活躍の場

まずは弟子入りから

左官の就職先は、左官を業務とする工事会社となります。

主に建築現場などを活躍の場とし、左官の技術を学びながら一人前を目指します。

師匠と弟子のような関係性となり、教えを乞うという立場で業務にあたることが一般的です。

左官を専門にする工事会社やリフォーム会社、外構工事会社などが就職先となりますが、いずれにしても技術を習得するまでの期間は何年もかかるとされています。

技術の習得と人脈の構築が整ったら独立して経営者として活躍することも可能です。

左官1日

練ることと塗ることがほとんど

左官の仕事は材料を練ることと塗ることで多くの時間を費やします。

セメントや砂、水など重いものを扱うことや、それを使用する場所まで運ぶ作業が伴うことから一定時間の休憩をはさみながら作業を進めます。

8:00 現場で作業開始

ミキサーや攪拌機などを使って材料を練ります。

何度かの重ね塗りを行いますが、乾燥の度合を見極めながら工程を進めていきます。

10:00 休憩

10:20 作業の再開
早朝からの作業を続けて行います。

12:00 昼食

13:00 午後の作業開始
午前中の作業を引き続き行いますが、外部作業の場合は天候や気温に大きく影響を受けることがあるため、環境の変化には常に気を配る必要があります。

15:00 休憩

15:20 作業の再開
翌日の作業内容と効率を考え、進行状況とのバランスを見ながら作業の終了を見極めます

17:00 作業終了
掃除と片付けをして現場を離れます。

左官になるには

なることは難しくないが1人前になることは難しい

左官は内装工事会社や左官工事会社などで活躍しています。

左官になるのに特別な資格は必要なく、「やりたい」という熱意さえあれば、誰でも左官屋さんに雇ってもらえる可能性があります。

ただし、一人前になるまでには長い時間がかかります。

親方の下で修業を重ね、さまざまな現場を経験することで、少しずつ技術が身についていきます。

「左官技能士」という資格もありますが、実力がモノをいう仕事であることは確かです。左官になるために必要となる資格はないため、左官業務を行う会社に就職することで携わることができます。

建築業界全般において、高齢化と人手不足は大きな課題となっていることからも左官として職に就くことはそれほど難しいことではないでしょう。

女性でも活躍できる職業ですが、体力が必要となる仕事内容も含まれるため、その点は考慮しておく必要があります。

左官経験の豊富な親方や職人から直接学ぶことが、技術を習得する方法として最も適しているといえます。

ただし非常に高い技術を必要とする職種であることから、習得するためには長い期間を要することが特徴で、1人前の職人として活躍するのは数年かかることが一般的です。

左官の学校・学費

実務で学ぶことが最適

左官業に携わるために学歴は必要ありませんが、学校で学ぶことはできます。

ひとつは公的な職業訓練施設ですが、主に基礎的な技能を学びます。

職業訓練施設であれば、修了後に就職あっせんの体制もあることや学費が安いことなど、利用者にとって良いきっかけとなるかもしれません。

ただし基礎的な部分しか学ぶことができないため、本当の意味での技能という点においては現場で学ぶことが最適です。

また技能だけでなく幅広く学問としても学びたい場合は、大学や短大、専門学校の建築学や工芸学などがその対象として専門的な知識を得ることが可能となります。

左官の資格・試験の難易度

左官技術者としての証「左官技能士」

左官に関連する資格には左官技能士という国家資格があります。

各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定のひとつとなる「左官」に合格した人に対して与えられる資格です。

1級、2級、3級があり、いずれも一定の実務経験が必要です。

1級左官技能検定合格者は、当該職種の職業訓練指導員免許を取得できることや、国土交通省が発注する官庁営繕工事で指定する職種に対し義務付けられている「1級技能士現場常駐制度」による常駐者になることができるなど社会的地位の高い資格となっています。

試験の難易度は、1級左官技能士が最も高いですが、他の建築系国家資格と比較しても易しめで、しっかりと実務経験を積むことで合格が可能です。

左官の給料・年収

技術によって高額になることも

左官の平均年収は300万円〜400万円といわれていますが、一人前になるまでには、一般的な会社員の年収よりも稼げない人のほうが多いようです。

修業中は厳しいかもしれませんが、実力がつけばつくほど難しい仕事もこなせるようになり、一人で切り盛りできるくらいの腕がつくと収入アップが望めます。

独立開業も可能ですが、その場合は左官としての技術だけでなく、提案力や経営力、他のスタッフを束ねるリーダーシップなども必要になります。左官の平均年収は300万円~400万円とされています。

ただし技術が伴う職業という性格上、高いレベルで技術を身につけた職人であれば現場におけるニーズは非常に高く、給料は大幅に上がることも期待できます。

またセンスを発揮できる塗り壁などでは、オリジナルな部分で差別化を図ることなど、他にはない魅力で幅広く展開することも可能となります。

身につけた技術は生涯にわたり役立つため転職にも有利となり、また独立して経営者になり従業員を育てることで年収増加の期待も高まります。

左官のやりがい、楽しさ

技術者としての成長が満足感をより高める

左官の魅力は自分の技術を発揮できるということでしょう。

技術を身につけたものにしかできないというやりがいがあり、出来上がったときの満足感は大きなものがあります。

仕上がりがそのまま評価につながるという厳しさもありますが、一方で良い仕事をすることで同業他社との違いを明確にすることが可能となる業種でもあります。

技術をより高めることで仕上がりが変わってくるという楽しさは、成長を自身で感じることができる技術職ならではの魅力といえます。

左官のつらいこと、大変なこと

1年を通して体力勝負

左官の仕事は内容によっては重労働となる場合があります。

セメントや砂を持った移動や、左官道具の持ち運びなどは大変なことのひとつです。

外部の仕事では季節ごとの天候や気温にさらされ、夏には熱中症、冬には風邪をひくなど健康状態に影響することも考えられるため対策が必要となります。

また技術を教わる成長の過程において、叱咤を受けることがあったり、技術が思うように向上しなかったりすることなど、いろいろな場面でときにはつらいこともあるでしょう。

左官に向いている人・適性

技術を貪欲に吸収する向上心が必要

左官の仕事に向いている人といえば、技術を習得するための努力を惜しまない人、向上心の強い人といえます。

技術を身につけることを優先して考えることができれば、厳しい環境にも耐えることができ、積極的に学ぶ姿勢を持って取り組むことにつながります。

仕上がりにこだわりを持ち、クライアントの立場で考えることができれば、自ずと評価は高まるでしょう。

また手先が器用な人や体力に自信のある人は適性があります。

さらに建築現場では他業種との連携が必要となる場合があるため、コミュニケーション能力のある人は円滑に仕事を進めるという点では有利です。

左官志望動機・目指すきっかけ

左官を学ぶことに対する熱意が大事

左官という職業を目指すきっかけや志望動機はさまざまで非常に多岐にわたります。

生涯にわたり役立つ技術を身につけるためということや、体力に自信があり体を使って稼ぎたいということ、あるいはものをつくる作業が好きであることなどを挙げることができます。

または親や友人が働いていることや、前職が建築業であることなどをきっかけとして興味を持つこともあるでしょう。

いずれにしても、左官の技術を習得するためには時間がかかるため、その期間をどう向き合って取り組むかという熱意が重要となります。

左官の雇用形態・働き方

給与形態は会社で異なる

左官に携わる人における雇用形態は主に会社の従業員として雇用されるケースが多くなりますが給与形態は会社によって異なります。

日給制の場合、雨天などで仕事ができなかった場合も含めて休日は無給となることもありますが、やればやるほど収入になります。

月給制の場合、月ごとの給料は定額で保証されることになります。

また会社の従業員ではなく、独立して一人親方として仕事を請け負う形態をとるケースもありますが、この場合では国民健康保険や国民年金などの負担が発生します。

左官の勤務時間・休日・生活

建築現場では工期によって変わることも

左官の勤務時間は主に8:00~17:00が一般的ですが、年度末や工期の遅れがある現場などでは残業となったり、休日に出勤して工事を行ったりすることもあります。

特に室内の作業の場合は、あまり音が出ない左官工事では近隣に迷惑をかけることが少ないため投光器を点けて作業をすることもあります。

居住して生活をしている個人宅で作業を行う場合は、一般常識として9:00以降に作業を行うことが多くなります。

またリフォームやアフターメンテナンスの場合では、お客様が休日しか在宅しないこともあるため、日曜日の作業となるケースもあります。

左官の求人・就職状況・需要

長期的視野で育成しているところを選ぶ

左官を含む建築業界は技術者の高齢化と人手不足が緊急の課題となっており、求人数も多く就職状況も悪くありません。

ただし左官工事会社のなかには零細企業や個人事業主も多く、しっかりとした雇用条件を見極めて判断する必要もあります。

また左官のような技術を必要とする職種においては、長期的な視野で技術者を養成する体制を整える必要があるため、若手の人材はより重要視されています。

健康志向の高まりによって、塗り壁などの自然素材による効果が見直されていることなどニーズも多角化しており、左官の需要は大きく増えています。

左官の転職状況・未経験採用

転職するならできるだけ若いうちに

左官を含む建築業界全般において人手不足は深刻化しており、経験者であれば転職でも有利です。

また未経験であっても同じ建築業界で働いていた場合や、なによりも向上心があれば、採用される可能性は高いでしょう。

転職をして左官に携わることだけで考えるのであればそれほど難しいことではありませんが、プロとしてのレベルに到達するまで時間がかかるということ、またその時間を真剣に取り組む姿勢が求められるということも理解しておくことが重要です。

したがって左官に転職するのであればできるだけ年齢の若いうちが良いでしょう。

左官の現状と将来性・今後の見通し

多様化するニーズに応える技術の習得もが必要

左官という職業は、ニーズの多様化によって、高い技術力を持つ職人はますます必要とされております。

現状において少子高齢化や人手不足による影響もあり、今後の見通しとしても需要は高まる傾向にありますが、若い担い手を育成することが緊急の課題となるでしょう。

左官の技術は一朝一夕には身につかないため地道にコツコツと行っていく必要があります。

また近年においては、健康志向の高まりから漆喰や珪藻土を始めとする自然素材を生かした日本建築が見直されており、伝統を受け継ぐ左官の文化にも関心が寄せられています。

独自の技術やデザイン性によって差別化し、価値を高めることも可能で、オリジナルにこだわった左官職人を目指すということは社会的地位の確立という観点からも効果的です。

左官の今後の見通しとして、さまざまな社会的な背景からも、将来性のある職業として活躍の場はますます増えることが予想されます。