「造園施工管理技士」の仕事とは

造園施工管理技士の仕事内容

造園施工管理技士とは、国家資格である「施工管理技士」のひとつで、造園工事の施工管理を行う仕事です。

造園施工管理技士には1級と2級があり、担当できる仕事の範囲に違いがあります。

おもな業務として施工計画を作成したり、工程管理や品質管理、および安全管理を行ったりするなど、造園工事に関する監督業務に携わります。

造園施工管理技士が関わる工事は、おもに公園や学校、広場、大型マンションや高層ビルの屋上緑化、道路の緑化、遊園地の造成など多岐にわたることが特徴です。

そのような公共工事やその他大型工事に加え、寺院や料亭など本格的な日本庭園をつくり定期的に手入れを行うような技術が必要となる工事などもあります。

自然環境と景観の保全に貢献する造園施工管理技士の仕事は、非常に社会的意義の大きなものといえるでしょう。

建設業許可には、元請け業者として受注した工事を下請け業者に対し合計4000万円以上で発注する場合に必要となる「特定建設業許可」と、元請け業者として受注した工事を下請け業者に対し合計4000万円未満で発注する場合や下請け業者が500万円以上の工事を受注する場合に必要となる「一般建設業許可」があります。

さらに建設業許可を取得するため、また維持するためには、営業所に一定水準以上の知識と経験を持つ「専任技術者」がいなければいけません。

1級造園施工管理技士は造園工事業における「特定建設業許可」業者の「専任技術者」に、2級造園施工管理技士は造園工事業における「一般建設業許可」業者の「専任技術者」になることができます。

また建築業法では、「特定建設業許可」業者が元請けとして請負金額4000万円以上になる場合には「管理技術者」を、また4000万円未満の建築工事や「一般建設業許可」業者の工事現場には「主任技術者」を配置しなくてはいけないと定められています。

1級造園施工管理技士は「管理技術者」に、2級造園施工管理技士は「主任技術者」になることができます。

造園施工管理技士の就職先・活躍の場

造園施工管理技士の就職先として、おもに土木会社や造園会社、その他建設会社など、造園工事に関連する会社はもちろん、エクステリアや環境など幅広い分野が活躍の場となります。

造園業は、公園緑化やビルやマンションの屋上緑化など、環境のなかに緑を積極的に取り入れる動きが強まっていることや、工事完了後においても直物の成長や景観との調和など長い時間をかけて都市空間の環境整備を行っていくことなど需要が高まっています。

工事の規模が大きくなるほど、適切な品質や工程、安全を管理できる造園施工管理技士の必要性が高まることになるでしょう。

造園施工管理技士1日

造園施工管理技士は、造園工事に関わる工事について施工計画の立案や工程管理、品質管理、安全管理および工事の原価管理など施工管理全般を担当します。

工事の円滑な進行をサポートするための施工管理を主な業務としますが、見積書や注文書などの各種資料作成や図面の作成を行うなどデスクワークも多くなります。

また会社によっては現場作業の一部を行うことや資材の運搬などが業務として加わることがあります。

実際は、勤務先や働き方によって仕事内容は異なりますが、ここでは代表的な活躍の場となる造園会社における造園施工管理技士の1日についてご紹介いたします。

8:00 朝礼

朝礼では当日の工事内容や注意点などを確認します。

9:00 現場到着

担当する現場は複数あり巡回しながら管理を行うことが一般的です。

朝一から材料運搬が必要な場合や、打ち合わせを行う場合は現場に直行することもあります。

外部での作業が多くなるため、環境に伴って熱中症や低体温症など注意喚起を行い、状況によってはさまざまな対策を施すことも必要です。

現場の監督と打ち合わせを行い、職人に対しては作業内容を的確に指示し安全を徹底します。

10:00 休憩

職人といっしょにコミュニケーションを取りながら休憩を行います。

10:30 他の現場へ移動

早朝からの業務を引き続き行います。

12:00 昼食

13:00 帰社 事務業務

材料の手配や重機のリース手配、見積書、注文書、請求書、申請など必要書類を作成します。

施工管理は工事の原価管理も重要な業務となりますが、工事台帳などを使って受注金額と原価を管理し、利益を追求することが求められます。

15:00 図面作成

現場に提出するための図面を、CADを使って作成します。

17:00 終礼

業務は終了となりますが、現場の職人も終了する時間となり、進捗や問題点などの報告を受けます。

工程に変更がある場合は、現場監督や関連する業者などへ速やかに連絡します。

天候によって工程が変わることなどはよくあることで、引き渡しに遅れないよう柔軟に対応することも必要です。

翌日の天候を確認し、職人を適材に配置します。

その他事務業務が完了したら当日の業務は終了となります。

18:00 帰宅

造園施工管理技士になるには

造園施工管理技士になるには、「一般財団法人 全国建設研修センター」が実施する造園施工管理技士試験を受験し、合格する必要があります。

ただし受験を受けるためには、最終学歴によって変わる一定の実務経験が必要となります。

受験資格を満たしている人が検定試験を受けることが可能となり、学科試験と実地試験の両方に合格することで造園施工管理技士に認定されます。

したがって造園施工管理技士を目指すのであれば、実務経験を積むことができる会社に就職することが最初のステップとなり、受験資格を得ることができた時点で国家試験にチャレンジするという流れとなります。

造園施工管理技士の学校・学費

造園施工管理技士の受験のために学歴は必要ではありませんが、最終学歴によって受験するための条件が異なります。

最終学歴が大学、専門学校、高校の場合で実務経験年数が設定されており、また同じ最終学歴であっても指定学科(建築学科、造園学科、緑地学科、土木工学科、農業土木科、環境工学科など)か、指定学科以外かという点においても異なります。

試験合格に有利となる学校は、大学や短大、専門学校、高校において建築学や土木工学などの専門課程で学ぶことができます。

それぞれ学校によって学費は異なりますが、受験資格を得ることや卒業後の就職にも有利となることからも、専門的に学んでおくほうが有効だといえるでしょう。

造園施工管理技士の資格・試験の難易度

造園施工管理技士の資格は1級、2級のいずれも学科試験と実地試験があり、その両方に合格する必要があります。

近年では合格率が低く推移していることから、施工管理技士資格のなかでも難関として位置付けられているものです。

しかし合格ラインは学科試験・実地試験ともに60%以上の正解率となっているため、しっかりと対策をしておくことで合格も十分可能でしょう。

1級・2級造園施工管理技士の過去5年間の合格率は以下の通りです。

1級造園施工管理技士

<平成29年>

学科:46.6%

実地:37.5%

<平成28年>

学科:53.2%

実地:32.5%

<平成27年>

学科:48.1%

実地:36.8%

<平成26年>

学科:40.0%

実地:33.8%

<平成25年>

学科:26.1%

実地:33.8%

平成24年度:38.6%

2級造園施工管理技士

<平成29年>

学科:61.0%

実地:36.7%

<平成28年>

学科:50.4%

実地:39.5%

<平成27年>

学科:59.8%

実地:39.5%

<平成26年>

学科:55.8%

実地:44.1%

<平成25年>

学科:51.3%

実地:39.7%

造園施工管理技士の給料・年収

造園施工管理技士の平均年収は300~650万円程度とされています。

会社の規模やポジションによって上下しますが、経験を積み責任ある立場で施工管理を行うことができる資格となるため、比較的給料は高く設定されているケースが多いようです。

大型の工事では、工期を守ることや高い品質の確保することなどが求められますが、それらに応えることができる会社に対しては好条件での発注にもつながります。

したがって工事に関する徹底した管理ができる実力のある造園施工管理技士は、高い給料を得ることが十分可能となります。

また資格手当を支給する会社も多く、上位となる資格ほど金額が大きくなります。

造園施工管理技士のやりがい、楽しさ

造園施工管理技士はなにもない状態から、緑のある空間をつくりあげていく楽しさがあります。

多くの人が協力しながらひとつのプランを完成させることは大きなやりがいとなるでしょう。

そして環境の保全は世界的な課題として取り組むことが求められていますが、目に見える形で貢献できるという意味では、非常に意義の大きな仕事といえます。

また完成してからも、植物は成長を続けるため、その後も景観の創造に関わり続けるといったケースもあり、永続的な仕事として地域社会に貢献することができることも大きな魅力といえるでしょう。

造園施工管理技士のつらいこと、大変なこと

造園施工管理技士の仕事は外部で行うことが多くなるため、季節の厳しい環境にさらされることがあります。

さらに資材の運搬などは重いものなどが含まれることがあり、体力的に大変なこともあるでしょう。

また工事を円滑に進めるためには現場で作業する職人に効率よく動いてもらわなければいけません。

現場でのあらゆる問題点を解決しながら作業を前へ進めていきますが、目上の人に対しても的確に指示を出し、またときには厳しい意見を言わなければいけないことなどはつらいことかもしれません。

造園施工管理技士に向いている人・適性

造園施工管理技士に向いている人は、まず体力的に自信がある人でしょう。

外部作業による厳しい環境下での作業に対応しながら仕事を進めていくようなケースも発生しますが、日常生活においても健康管理を行うことが必要です。

多くの人と協調してひとつの仕事を完成に導くことが必要となるため、コミュニケーション能力に優れる人は適正があります。

また植物や自然に触れることが好きな人は、楽しみながら仕事に向き合えるという意味では、つらいことがあっても乗り越えることができる優位性を持っているといえるでしょう。

造園施工管理技士志望動機・目指すきっかけ

造園施工管理技士を目指すきっかけとして多いのは、植物が好きで環境保全のために貢献できる仕事に携わりたいということです。

自分の手掛けた仕事が形となって残り、また成長していく様子を楽しむことができるという点は、他の職業ではなかなか味わうことができないでしょう。

ものづくりに興味があるという人も多く、都市景観の一部を創造するというスケールの大きなプロジェクトに参加することも可能となるなど、やりがいの大きさが魅力です。

ただし資格を取得するには一定の実務経験が必要となるため、造園会社などに就職して、実務を行いながら継続的に学ぶ努力や熱意が必要となります。

造園施工管理技士の雇用形態・働き方

造園施工管理技士の雇用形態は、造園会社やその他建設会社などで正社員として雇用されるというケースが多くなります。

造園施工管理技士の有資格者となると、高度な知識と技術をあわせ持つ人材として、会社内や取引先に対して評価は高まります。

したがって働き方の幅も広がり、責任のある業務を任せられるようになることや、あるいは転職という選択においても有利に働くことになるでしょう。

また建設業法における専任技術者になることができるため、建築業許可の申請が可能となり造園業を行う会社としての独立も可能となります。

造園施工管理技士の勤務時間・休日・生活

造園施工管理技士の勤務時間は会社によって異なりますが、おもに8:00~17:00となることが多くなります。

ただし施工管理の仕事という性格上、実際に現場で作業を行う職人の仕事が終了してからの作業が多くなるという特徴があります。

したがって残業はつきもので、場合によっては夕方から工程会議や打ち合わせを行うこともあります。

計画性のある行動を心がけ、無駄を排除しながら時間を有効に使うことで勤務時間の削減に努めることも重要です。

休日は日曜日、祝日となることが多くなりますが、会社によっては週休2日制や隔週土曜日を休日と設定しています。

天候に影響されやすいこともあり、工程の進捗によっては休日出勤で対応する必要がある場合もあります。

造園施工管理技士の仕事は体力的な部分においても重要な要素となるため、日常生活から自己管理を行うことも仕事として考えておく必要があるでしょう。

造園施工管理技士の求人・就職状況・需要

造園業に限らず建設業界では高齢化と人手不足が深刻化しております。

そのため造園会社においても求人は多く、熱意のある人材は非常に需要が高い傾向が続いております。

とくに公共工事のような規模の大きな工事を主体とする造園会社や建設会社などでは、工程や品質を管理ができる責任者となる人材は貴重な存在です。

大学や専門学校で専門課程を学んだ学生などは、資格の取得にも有利となることや、専門的な基礎知識を持っていることなど、就職状況は悪くありません。

就職後に実務を積みながら会社に有益な人材を育成することが急務となっているため、造園施工管理技士を始めとする各種資格を取得できるよう、バックアップする体制を構築している会社も多く見られます。

造園施工管理技士の転職状況・未経験採用

造園施工管理技士の転職状況は、有資格者であれば非常に有利となります。

人手が不足しているという背景からも、場合によっては条件面でも好待遇で迎えられることも可能です。

未経験であっても、土木工事やその他の建築業界に関わっていたという人は有利となり、またやる気と熱意によっては採用されることも十分に可能です。

ただし仕事は体力的にハードであることや、業務習得への向上心があること、周囲をまとめるためのリーダーシップやマネジメントスキル、コミュニケーションスキルの向上を図ることなどが求められる要素となるでしょう。

造園施工管理技士の現状と将来性・今後の見通し

国際社会においても環境問題は大きな関心事として捉えられていますが、今後も国や自治体でもあらゆる対策を講じていくことになるでしょう。

道路や公園、広場などの公共工事では必ず緑が必要となり、造園業の需要は高まることが予想されます。

さらに造園業は工事だけが仕事ではなく、メンテナンスを含めた業務となることから将来性のある安定が期待できます。

そのなかで適切な工事の管理と行うことができる造園施工管理技士のような人材は貴重な存在となり、活躍の場は広がっていくでしょう。