不動産鑑定士と公認会計士の違い

不動産鑑定士と公認会計士の仕事内容の違い

不動産鑑定士の仕事は、土地や建物の形状や使用状況、面積、周辺環境、関係法令などを調査して、売買価格ではない、不動産そのものの価値を評価することです。

一方、公認会計士の仕事は、上場クラスの大企業などを対象に、会計処理が法律通り適切に行われているかどうか財務諸表などをチェックすることです。

不動産鑑定士は不動産、公認会計士は会計に関する専門職であり、一見すると両者は何の関係もないように思えるかもしれません。

しかし、近年はビジネスシーンがグローバル化している影響もあり、「IFRS」と呼ばれる国際財務報告基準を採用する企業が増えていることから、保有財産を時価評価するニーズが高まっています。

このため、自社の不動産の価値を適切に評価する目的で、不動産鑑定士と公認会計士が連携して働くケースも増えており、双方の職業は企業会計という業務分野において、深く関係し合っています。

公認会計士の仕事

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不動産鑑定士と公認会計士のなる方法・資格の違い

不動産鑑定士と公認会計士になる方法は、試験で問われる知識範囲こそ違うものの、似通っている部分が多々あります。

どちらの資格も、まずは国家試験をパスすることが必要です。

試験はマークシート形式の一次試験と、論文式の二次試験に分かれており、一次試験を突破した人だけが二次試験に進むことができます。

また、二次試験に受かって最終合格となっても、資格を使って業務を行うためには、数年にわたる実務研修を積まなければならないという点も同じです。

不動産鑑定士の場合は人によって差があるものの、1~2年かけて必要な単位を取得し、単位が揃ったら修了考査を受け、それに合格すると、資格を登録して仕事ができるようになります。

一方、公認会計士は、会計事務所などで2年間の実務経験を積んだのちに「実務補修」と呼ばれる3年間の研修を受け、同じく修了考査に合格することが必要です。

どちらについても、試験勉強に費やす期間まで含めると、働き始めるまでにはかなりの長い準備期間を要するといえるでしょう。

不動産鑑定士と公認会計士の資格の難易度の違い

不動産鑑定士試験と公認会計士試験は、司法試験と合わせて「文系三大国家試験」といわれており、どちらも甲乙つけがたいほどの難関です。

合格率についてみれば、不動産鑑定士試験の合格率は5%前後、公認会計士試験は10%前後と不動産鑑定士のほうが下回っているものの、どちらも低水準であることに変わりはありません。

また、出題内容について比べると、不動産鑑定士試験は鑑定理論を中心に、行政法、民法などの法律、会計、経済など、幅広い分野の知識が求められます。

公認会計士試験も、会計論や監査論を中心に、企業法や租税法など、かなり専門的な法律問題が多数出題されます。

合格までに必要な勉強時間は、不動産鑑定士が約2000時間、公認会計士が約3000時間とされており、合格率とは反対に公認会計士のほうが厳しくなっているものの、やはりどちらも長期にわたる努力が必要です。

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不動産鑑定士と公認会計士の学校・学費の違い

不動産鑑定士と公認会計士は、どちらの国家試験にも受験資格はないため、学歴などに関係なく、誰でも試験を受けることが可能です。

しかし、どちらもきわめて難関であることから、4年制大学の法学部や経済学部、商学部などに通い、法律や経済についての専門科目を履修することが望ましいでしょう。

また、民間の大手資格学校では、国家試験合格を目指した複数の専門対策講座が開講されています。

初学者向け、受験経験者向け、社会人向けなど、多数の選択肢のなかから自分に適したコースを選ぶことが可能です。

受験生のなかには、昼は大学、夜はスクールに通い「ダブルスクール」で合格を目指している人も少なくありません。

学費についてみれば、さまざまな進路・コースがあるため一概にはいえませんが、民間の資格学校を例に取ると、不動産鑑定士がおよそ50万円前後、公認会計士が70万円~80万円ほどです。

不動産鑑定士と公認会計士の給料・待遇の違い

不動産鑑定士と公認会計士は、どちらも勤める事務所や企業によって給料には差がありますが、不動産鑑定士は年収600万円~700万円、公認会計士は年収800万円前後が相場とされています。

双方とも、資格取得に多大な努力が求められるぶん、一般的なサラリーマンを大きく上回る収入が期待できるでしょう。

さらに、不動産鑑定士は外資系企業やコンサル会社などに勤めることで、公認会計士は「BIG4」と呼ばれる大手監査法人などに勤めることで、年収1000万円以上を得ることも可能です。

また、どちらも独立開業することができるため、経営者としての手腕があれば、勤務時代の収入を大きく上回ることもできるかもしれません。

ただし、不動産鑑定士・公認会計士とも、既存の事務所によってマーケットはほぼ占拠されているため、新たに独立開業して後から参入しても、成功を勝ち取ることは容易ではないでしょう。

不動産鑑定士と公認会計士はどっちがおすすめ?

双方の資格はどちらも文系の難関国家資格であり、業務内容には時価評価会計をはじめとして重複している部分もあります。

しかし、基本的に不動産鑑定士は不動産分野、公認会計士は会計分野におけるスペシャリストです。

どちらの道に進むべきか迷っているのなら、自身の関心がより強い分野を選ぶことをおすすめします。

どちらを目指すにしても、資格を取得するには長い期間が必要であり、つらい試験勉強に耐えなければならないため、どれだけ個々の分野に興味を持てるかは、合否を分ける重要なポイントといえます。

もしも、どちらへの関心も同じくらいであるなら、必要となる勉強時間が3割ほど少なくてすむ点、研修期間がより短くてすむ点を勘案すると、不動産鑑定士のほうがやや目指しやすいかもしれません。