不動産鑑定士に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
不動産鑑定士に向いている性格・適性
論理的な人
不動産鑑定士に最も必要な資質は、論理的思考力です。
不動産鑑定士が算出した鑑定評価額は、公示価格に用いられるなど、大きな社会的影響力を持っています。
「なんとなく」や「およそこんな感じ」と曖昧に算出するのではなく、すべての計算過程を明確な根拠にもとづいて行わなくてはなりません。
もちろん、実際の業務を行う際には、そのバイブルといえる「鑑定評価基準」という指針が定められています。
しかし、不動産の各事情はバラバラであり、また鑑定手法も社会情勢などを受けて刻一刻と変わっていくため、各鑑定士は指針に従いつつも、論理的な解釈を加えて独自に判断しなければなりません。
いついかなる状況においても、理詰めでものごとを考えられる論理的な性格の人は、不動産鑑定士の適性があるでしょう。
デスクワークもフィールドワークも好きな人
不動産鑑定士は、データ分析や鑑定評価書の作成といったデスクワークだけでなく、実際に現地を訪れて行うフィールドワークも多い仕事です。
対象物件は街中だけに限らないため、ときには交通手段も満足にない田舎を訪れることもあれば、草木を掻き分けて山の中や森の中で調査を行うこともあります。
スキー場を鑑定評価する際には、実際にゲレンデを滑走しながら調査することもあるそうです。
このため、事務作業も得意だし、野外での活動も苦にしない人は、不動産鑑定士に向いているでしょう。
スポーツ選手のような卓越した運動神経が求められるわけではありませんが、あまり体力に自信がないという人の場合、業務を行うことが難しいケースもあるかもしれません。
きめ細かい人
不動産の鑑定評価業務は、関係法令の調査や現地での情報収集、関係者へのヒアリング、計算作業など、細かい作業の連続です。
不動産の個性は各物件ごとに異なるため、正確に物件を把握するためには、できる限り多くの情報を「漏れなく、ダブりなく」集めて、詳細な分析を行わなければなりません。
とくに評価額の算出段階で計算ミスなどの誤りがあると、一度で顧客からの信頼を大きく失ってしまいかねません。
したがって、調査漏れや見落とし、計算間違いといったミスをしない、細かいところまで目が行き届く注意深い性格の人が、不動産鑑定士に向いているでしょう。
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不動産鑑定士に必要なスキル・能力
文章力
不動産鑑定士に論理力が求められるのは上述の通りですが、自分の頭で考えるだけではなく、それを一般の依頼者にもわかりやすいように文章に表現することも必要です。
鑑定評価書には、評価額に加えて、それぞれの計算過程がどのような根拠にもとづき、どのような判断によってなされたものなのかを記載しなければならないため、高度な文章力が必要になります。
そうした文章力は、不動産鑑定士試験における論文式試験でも問われることになるでしょう。
アイディア力
不動産鑑定士の業務は鑑定評価だけにとどまらず、各不動産の最適な利用方法を考え、不動産オーナーをサポートすることも重要な仕事です。
収益性を向上させたり、新しい用途を思いついたりするためには、ほかの人とは一線を画した発想力や企画力、想像力が必要です。
とくに、銀行の信託部門やコンサルティング会社などに勤める場合、鑑定業務よりもアドバイザリー業務の比重が高まりますので、アイディア力は非常に重要なスキルといえます。
不動産鑑定士に向いていないのはどんな人?
出張が嫌いな人
勤務先にもよりますが、不動産鑑定士は比較的出張の多い仕事です。
調査物件の規模によっては連泊となることも珍しくなく、平日はほとんど家にいない週もあるかもしれません。
このため、移動が苦手な人や、家にいないと落ち着かないという人、家族との時間をできるだけ多くもちたい人などは、あまり不動産鑑定士には向かないかもしれません。
家事や育児、介護などの都合で、長期間家を空けることが難しいという人の場合も、不動産鑑定士としてやっていくには困難が多いでしょう。
口下手な人
不動産鑑定士は、高度な知識を要する専門職であるものの、お客さまあっての商売であることには変わりありません。
鑑定評価業務には数十万円単位のお金がかかりますので、お客さまがその対価に見合うだけのサービスを受けたと納得しなければ、たとえ評価自体が正当であっても、事業として成立させることは困難です。
このため、ときには難解な計算手法が用いられることもある報告書を、ほとんど専門知識がない人に対しても、わかりやすく説明することが求められます。
人にものごとを伝えるのが苦手だったり、口下手な人は、不動産鑑定士に向いているとはいえないでしょう。