建築士の求人・就職状況・就職先選びのポイント

建築士の就職先にはどんなところがある?

建築士の就職先には、大きく分けると3つのカテゴリがあります。

最も一般的なのは、建築設計事務所、ゼネコンなどの建設会社、ハウスメーカーといった建設業界に属する企業です。

これらの企業で働く建築士のおもな仕事は、建物の設計や構造計算、施工管理などですが、手掛けることになる建物の種類は就職先によって大きく異なります。

とくに建築設計事務所は、戸建住宅を専門にしているところもあれば、オフィスビルや大型の公共建築を得意としているところもあり、事務所ごとにある程度特色が分かれています。

次に挙げられるのは、インテリア関係のデザイン事務所や家具メーカーなど、空間デザインを手掛ける企業で、スーパーなどの流通小売企業や外食企業の店舗企画部も同じ分類に入ります。

建設業界の企業と同じく、基本的には設計作業が主になりますが、より内装やレイアウトといった意匠面に関する仕事の比重が大きくなるでしょう。

3つ目は、都道府県や市町村といった地方自治体の、都市開発部門や建築部門です。

所属する部署にもよりますが、基本的には公共建築物の維持管理や修繕、民間工事の審査や指導などを手掛けることが多く、民間企業と比べるとゼロから設計に携わる機会は少ないといえます。

建築士の勤務先と仕事内容の違い

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建築士の求人の状況

建築士の求人動向は、建物需要と密接な関係にあり、建設業界が盛り上がっている時期には求人数は増え、建設業界が不景気になると求人数も少なくなります。

現在は、オリンピック特需を受けて業界全体が活況を呈しており、求人数は多めです。

しかし中長期的にみれば、少子高齢化を背景に建物需要は徐々に減少していく見通しで、求人数の落ち込みが危惧されます。

なかでも戸建住宅は、マイホームを購入する層自体が少なくなっているうえ、共働き世帯が増えて利便性のよい駅近マンションの人気が高まっていることもあり、需要は減少しつつあります。

今後、さらに核家族化が進むと同時に、一世帯あたりの子どもの数も少なくなってくれば、戸建住宅を選択する人はより限られてくるでしょう。

資格別にみれば、マンションなどの大型建築物を手掛けられる一級建築士の求人は今後も相応にある一方、戸建住宅などの小さな建物設計に業務が限定される二級建築士の求人数は減少していく見込みです。

企業の業種別に比較しても、戸建住宅を取り扱う設計事務所やハウスメーカーの求人は少なくなり、その反面、ゼネコンなどの建設会社の求人需要は比較的安定して推移すると思われます。

建築士の就職先の選び方

やりたいことを優先する

建築士の業務内容は組織によってばらばらですので、まずは建築士としてどんな仕事をしたいのかを念頭に置いて就職先を選ぶ方法が考えられます。

つくりたいものに着目すると、戸建住宅を手掛けたいなら設計事務所やハウスメーカーが、オフィスビルや商業施設など大型建築に携わりたいならゼネコンが、まちづくりを担いたいなら地方自治体がおすすめです。

また、同じ戸建住宅でも、より自由な設計がしたいなら、商品ごとにある程度規格が定められており、設計が制限されるハウスメーカーよりも、注文住宅を手掛ける設計事務所のほうが望ましいでしょう。

同じように、自身のセンスやオリジナリティを最大限生かしたいなら、建設設計事務所や建設会社よりも、デザイン事務所やインテリアメーカーを選んだほうがよいでしょう。

将来性を優先する

人口減少によって、少しずつ業界環境全体が厳しくなっていくことはある程度避けられませんので、今後、業界内での勝ち組・負け組がより鮮明になってくると想定されます。

安定性を求めるならば、大手設計事務所やゼネコン、全国にチェーン展開している流通企業や外食企業など、できる限り事業基盤の大きいところに就職したほうがよいかもしれません。

もちろん、小さな事務所でも、環境に配慮したエコ住宅や、高齢者向けバリアフリー住宅に注力するなど、特色を打ち出して顧客を掴んでいるところもありますので、規模だけで一概にはいえない面もあります。

また、民間企業でなく、地方自治体で公務員として働くという選択肢も考えられます。

独立開業を優先する

建築士を目指す人のなかには、将来的に独立開業して、自分の設計事務所を開きたいと考えている人も少なくないでしょう。

その場合は収入などの待遇面や仕事の自由度、事業の安定性などより、独立に必要なスキルやノウハウ、人脈などをどのくらい得られるかという視点から就職先を選ぶべきです。

それほど規模の大きくない設計事務所、なかでも資格保有者が数人程度の事務所は、接客対応から設計、工事の施工管理まで一人で手掛けるケースが多いため、独立を考えている人にはおすすめの就職先です。

事務所の代表建築士の仕事ぶりを間近で見学することで、独立後の自分をイメージしやすくなるというメリットもあります。

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建築士の志望動機・面接

同じ建築士といっても、どんな業務を手掛けたいか、建築士としてどんなキャリアを思い描いているかによって、希望する業界も職種も大きく違ってくるといえます。

従って、建築士の志望動機を考える際は、建築士を目指すことになったそもそものきっかけや理由に立ち返ってみることが必要です。

自分の考えをきちんと整理できれば、どこに就職すればいいかも自ずと明らかになるはずですので、因果関係に気を付けながら、個々の就職先に応じた志望動機を練りましょう。

面接においても、「どんな建物が好きか」を問われるケースがよくありますので、自分の考え方やルーツ、キャリアビジョンを端的に表せる建物をあらかじめ考えておくとよいでしょう。

また、建築士はお客さまあってのビジネスですので、信頼を得られる人柄であるかどうかは、ときに設計スキルやセンスよりも重要な要素になります。

採用面接の場においては、社会人としてのマナーや一般常識、礼儀作法、挨拶などに細心の注意を払い、面接官に好感を抱いてもらえる立ち居振る舞いを心掛けましょう。

建築士の志望動機・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

建築士の就職先の探し方は、ほかの一般的な職業とさほど違いはなく、求人サイトを利用する、合同説明会に参加する、希望する企業に直接エントリーする、就職エージェントに登録するといった方法があります。

また、通っている大学の研究室宛て、専門学校宛てに、企業から直接求人情報が届くこともあり、「学校推薦」で就職が決まるケースもあります。

現在通学している、あるいは進学を検討している人については、学校に問い合わせてみるとよいでしょう。

建築士は、さまざまな業界からの求人があり、活躍できるフィールドが広いことが魅力のひとつですが、就職先を選ぶ際には、その選択肢の多さに戸惑ってしまうこともあるかもしれません。

自分でキャリアを絞り切れないなら、就職エージェントに登録して、専門スタッフに相談してみることもときには有効といえるでしょう。