建築士になるには

建築士として働くためには、建築士の国家資格を取得する必要があります。

いくつかの道がありますが、大学の建築学科で学び、建築士資格を得て設計事務所などで働く人が多いです。

この記事では、建築士になる方法を紹介しています。

建築士として活躍するまでのステップ

まずは、建築士として実際に仕事を始めるまでの道のりを紹介します。

ステップ別に詳しく見ていきましょう。

国家資格を取得するまで(二級建築士)

建築士になるには「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」のいずれかの国家資格を取得する必要があります。

もともと、建築士試験を受けるためには、学歴に応じた一定の実務経験を積む必要がありました。

しかし、令和2年に建築士法が改正され、現在は学歴要件を満たしていれば、実務経験なしで試験を受験することができるケースが増えています。

二級建築士受験に必要となる、試験時における建築実務の経験年数(実務要件)は、以下の通りです。

  • 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者:最短0年
  • 建築設備士0年
  • その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等):所定の年数以上
  • 建築に関する学歴なし:7年以上
  • まだ中学生や高校生で、将来建築士になりたいと考えている人は、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を学べる大学などを選択するとよいでしょう。

    これであれば、先に挙げた「大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者」に該当するため、学校で学んだあと、すぐに二級建築士を目指せます。

    一級建築士の試験もすぐに受けられるように

    建築士の国家試験に合格した人は、その後、免許を登録することで建築士としての業務ができるようになります。

    もともと、一級建築士試験は、事前に一定の実務経験を積んだ人だけが受けられるものとなっていましたが、令和2年の建築士法改正により、一級建築士においても「免許登録の際まで」に実務経験を積めばよいことになりました。

    そのため、現在、大学などで建築の指定科目を学んだ人は、卒業後すぐに一級建築士試験を受けることが可能です。

    ただし、試験の合格後、免許を登録するためには実務要件を満たすことが必要です。

    たとえば大学で建築の指定科目を学んだ人は、一級建築士試験に合格してから2年の実務経験を積めば、免許登録が可能です。

    あるいは、試験の前に1年、試験の後に1年といった形でも、実務要件を満たしたこととされます。

    なお、先に二級建築士を取得した人であれば、その後、4年の実務経験を積むことで一級建築士の免許登録ができます。

    建築士試験に関する詳細は、試験を実施する、建築技術教育普及センターのホームページなどで確認することができます。

    参考:建築技術教育普及センター

    資格を取得してから

    建築士の資格取得はあくまで建築士としてのスタートラインであり、構造力学や地学、建築基準法など、設計業務等関する基礎的な知識を証明するものに過ぎません。

    実際に建築士として仕事をするためには、設計事務所や建設会社などに就職し、CADなどの実務スキルを高め、優れた設計を生み出すためのセンスを磨いていく必要があります。

    また、建築業界は個々の実力が重視される世界です。

    設計の基本的な知識やスキルに加えて、他の建築士とは一線を画したオリジナリティや、他者には真似できないアイデアがなければ活躍し続けることは困難です。

    関連法律も頻繁に改正されていくため、知識、技術、発想力、センスなど、建築士は生涯にわたって能力を磨き続けていくことが大事です。

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    建築士の資格・難易度

    近年の二級建築士試験の合格率は25%前後一級建築士試験の合格率は10%前後で推移しています。

    どちらの試験も、まず建築計画、建築法規、建築構造、建築施工などの知識を問う「学科試験」が実施され、学科試験に合格した人だけが、次の「設計製図試験」に進むことができます。

    一級・二級どちらも難関試験として知られており、長い期間をかけて勉強する必要があるでしょう。

    とくに一級建築士試験は、一次試験である学科試験でさえ突破できる人は例年受験者全体の2割にも達しておらず、非常に狭き門となっています。

    全国の資格保有者数をみても、一級と二級では登録者数に2倍以上の開きがあり、一級資格の難易度の高さが表れているといえます。

    試験に一発合格できる人は少数派で、多くの受験者は何年も繰り返しチャレンジしてようやく合格するため、一度や二度の不合格で諦めないガッツが必要です。

    建築士試験の難易度・合格率

    建築士になるための学校の種類

    ここからは、建築士を目指す人が、どのような学校に通えばいいのかを紹介します。

    建築について学べる大学・専門学校などの教育機関

    建築士を志望する人の多くが目指すのは、大学・短大・専門学校の建築学科です。

    建築士国家試験を受けることを考えるのであれば、国土交通大臣が指定する建築に関する科目(指定科目)を履修できる課程を持つ学校を選ぶことをおすすめします。

    そのような学校で学べば、実務要件なしですぐに建築士試験を受けられますし、就職活動においても有利になりやすいメリットがあります。

    建築の基礎を学んだ経験は、就職後、実務についてからも役立つはずです。

    また、大学院を併設している学校も多く、より高度な専門知識を学ぶことができます。

    予備校などの民間スクール

    建築士の国家試験対策を目指す人むけの、民間の資格専門学校・予備校などもあります。

    ただ、それらは先に挙げた建築士になるための科目を学ぶ学校ではなく、あくまでも「国家試験対策」の資格スクールです。

    大手予備校のほとんどは建築士向けの専門講座を設けており、人によっては昼間は大学などで専門的な授業を受け、さらに夜間には予備校に通うという「ダブルスクール」で資格の勉強に励みます。

    資格試験対策の予備校では少なくとも20万円前後の費用がかかるため、経済的負担は決して軽くありません。

    しかし、難関の建築士試験に合格するためには必要な投資と考える人もいます。

    建築士になるためにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校・通信)

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    建築士に向いている人

    建築士には、構造計算や強度算定を行うための理数系の能力と、美しい設計やデザインを生み出すための美的センスの双方が必要です。

    加えて、平面上の図面を読み解き、具体的に立体となった建物の完成形を思い描ける、想像力の豊かな人が向いているでしょう。

    依頼者の話を聞き、依頼者が抱いているイメージや、建物に対する理想を正確に汲み取るためのコミュニケーション能力も必要です。

    また、依頼者から持ち掛けられる多種多様な要望を実現するためには、その都度異なったアイデアが求められますから、柔軟な発想ができる人ほど建築士として活躍しやすいでしょう。

    建築士に向いている人・適性・必要なスキル

    建築士のキャリアプラン・キャリアパス

    建築士のキャリアプランとして一般的なのは、建築系の学校を卒業した後に二級建築士を取得し、設計事務所などで働きながらキャリアを積み、一級建築士資格の取得を目指すものです。

    ただ、採用時点では建築士の資格を問わない企業も多くあり、就職後に二級建築士試験を受ける人もいます。

    また、戸建住宅の設計を専門に手掛けたい場合など、一級建築士を取得する必要がないケースもあり、たどるキャリアは人によってさまざまです。

    十分に経験とスキルを積んだ後には、独立し、自身の建築設計事務所を開業する人も多いです。

    建築士を目指せる年齢は?

    建築士試験には年齢制限はなく、何歳からでも建築士になることは可能です。

    ただし、受験するためには学歴に応じた実務経験が必要で、設計事務所や建設会社、工務店などで建築物の設計・工事監理・施工管理業務などを行わなくてはなりません。

    未経験から目指すならなおさら、ある程度若い年齢でないと就職先を見つけることは難しいのが現実です。

    「建築士になるには」まとめ

    建築士になるための一般的な道のりは、建築士の国家資格を取得し、建築設計事務所などへ就職することです。

    まずは二級建築士を取得し、さらにステップアップしたい人は一級建築士を目指すケースが多いです。

    ただし、資格の関連法律が改正されたことで、建築系の大学などを卒業し、すぐに一級建築士試験にチャレンジすることも可能になっています。

    建築士になりたい人は、どのような学校に進学するかも含め、進路をよく考えておきましょう。