建築士の転職理由・転職状況は?

建築士が今の職場を辞める理由で多いものは?

建築士が現在勤めている職場を辞めるケースとしては、勤務時間の長さを理由とするものが目立ちます。

建築士は、お客さまの要望に沿って、できる限りその理想に近い設計を描くことが仕事ですので、定時が来たら終わりというタイプの業務とは事情が大きく異なります。

お客さまになかなか満足してもらえず、試行錯誤しながら何度となく手直しを重ねるうちに、どんどんスケジュールがひっ迫し、夜遅くまでの残業と早朝出勤を強いられるというケースもあります。

十分に休めなかったり、家族と過ごす時間が取れなかったり、キャリアアップのための勉強ができなかったりといった期間が長く続くと、ワークライフバランスを見直すために職場を離れる人もいるようです。

また、そうした長い拘束時間の割に、そこまで給料が高くないという職場も散見されますので、経済的理由から転職を決意するケースも比較的多く見られます。

建築士のつらいこと・大変なこと・苦労

建築士の転職で気をつけるべきこと

優先順位を明確にする

設計事務所の特徴として、待遇面、拘束時間、身につくスキル、手に入る人脈などが、個々の組織によってかなりばらつきがあるということが挙げられます。

たとえば、給料は安いけれども幅広い顧客層をもっている事務所と、高給だけれども手掛ける業務はほぼ毎回同じという事務所では、どちらを選んだほうがよいかは個人の考え方次第です。

このため、建築士が転職する際は、自身のキャリアを中長期的に見据えたうえで、転職先の職場に何を求めるのか、優先順位を明確にすることが大切といえます。

もしも、現在の職場の給与体系に不満を抱いているとしても、建築士として有益な経験を積むことができるなら、「修業期間」と捉えて転職を思いとどまるほうが、キャリア上プラスになることもあり得ます。

キャリアを生かせる職場を選ぶ

近年は、バリアフリー設計や耐震強化、リフォーム、検査診断、メンテナンスなど、顧客のニーズが多様化していますので、建築士の個々の業務もより専門性を増しています。

このため、転職先によっては、自分の持つ経験やスキルでは対応できない業務を任される可能性もあります。

建築士が転職するにあたっては、あらかじめ就職を検討している企業の事業内容を詳細に調査し、自身の過去のキャリアを生かせる職場を選択するべきです。

建築士の職務経歴書の書き方のポイント

建築士は、それまでのキャリア次第で、できることとできないことが個人によって大きく分かれます。

このため、建築士の職務経歴はできる限り詳細に転職先に伝えることが望ましく、履歴書とは別に、A4サイズ1枚~2枚ほどを目安に職務経歴書を作成することが一般的です。

作成する際のポイントは、個々の転職先や希望する職務内容に応じて、自身の経験のなかで強調する内容を変えるということです。

たとえば、設計事務所では設計に関する実務経験が重要であり、建設会社やハウスメーカーでは、営業や設計、施工まで一貫して手掛けることから、業務の一連の流れについて理解していることが大切です。

同じ職務経歴書を使いまわしするのではなく、個々の転職先や職種に応じて違う内容をアピールするようにしましょう。

他の業界への転職はある?

設計作業に携わることのない職場で、なおかつ建築士としての知識やスキルが生かせる転職先としては、まず確認申請機関が挙げられます。

確認申請機関は、ほかの建築士が作成した図面をチェックすることがおもな仕事で、構造計算などに間違いがないか、誤字脱字がないか、法律や条例に合致しているかといった確認作業を行います。

設計職をある程度経験した人のなかでも、とくに法律知識に自信のある人に向いている職場といえます。

また、大手設計事務所であれば、自社内に「監理」というチェック部門を設けているところもありますので、そうした職種にキャリアチェンジするという選択肢も考えられます。

設計も監理も、確認業務も避けたいという場合、公務員試験を受けて地方自治体で働いたり、独立行政法人へ転職する人も一定数いるようです。

どちらのケースでも、「キャリア採用」を実施していることが一般的ですので、建築士という国家資格と、ある程度の職務経験があれば、ほかの中途採用希望者より優位に立ちやすいでしょう。

転職先はどのように探せばいい?

昨今は、建築業界全般で広く人手不足に陥っている影響もあり、建築士資格さえあれば、転職先をみつけることはさほど困難ではありません。

一般的な転職サイトから応募しても構いませんし、自身の希望条件などを登録してスカウトを待つという方法もあります。

ただ、建築士のキャリアを生かせる職場は、業界内外に限らず多数ありますので、就職先を絞り込めないなら、転職エージェントに相談することも有効かもしれません。

近年は、それぞれの業界に精通した専任スタッフを抱え、個別にアドバイスしてくれる転職エージェントもあります。

そうしたサービスを利用することで、自身のキャリア形成に役立ったり、あるいは自分でも考えていなかった道が見つかることもあるかもしれません。