建築士の給料・年収

建築士の平均年収・給料の統計データ

建築士は、難しい試験を突破して資格を取得した人だけが就ける、非常に専門性の高い職業です。

このため、建築士の給料は、勤め先の規模や個人の能力などによってかなり幅があるものの、おおむね平均的サラリーマンを超える恵まれた給与水準となっています。

独立開業して成功すれば年収1000万円を稼ぎだすことも不可能ではなく、建築士は夢のある職業といえるでしょう。

ただし、それらはあくまで一級建築士の話であり、同じ建築士のなかでも、二級建築士や木造建築士の給料はそれほどではありません。

一級建築士になるには、学歴に応じた実務経験を積んだうえで試験に受かることが必要ですので、長い時間がかかりますし、また誰もが一級建築士までたどり着けるわけではありません。

建築士の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

建築士の平均年収_2018

厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査によると、建築士の平均年収は、49.4歳で722万円ほどとなっています。

・平均年齢:49.4歳
・勤続年数:15.7年
・労働時間:171時間/月
・超過労働:13時間/月
・月額給与:449,400円
・年間賞与:1,822,700円
・平均年収:7,215,500円

男女別のデータをみると、月収・ボーナスともに女性のほうが男性よりかなり少なく、年収ベースでは200万円近い大きな開きが生じています。

しかし、これは建築士の女性割合が少ないうえ、とくに高給が期待できるゼネコンなどの大手企業で働く女性が非常にまれであるということが大きく影響していると思われます。

建築士は個人のスキルやセンスなどがものをいう実力主義の世界であり、性別はほとんど関係ありません。

出典:厚生労働省「平成30年 賃金構造基本統計調査」

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

求人サービス各社の統計データ

職業・出典 平均年収 年収詳細
一級建築士
転職Hacks)
643万円 一級建築士300万円~1000万円
二級建築士300万円~700万円
建築士
転職ステーション)
402万円 -
建築士
indeed)
542万円 時給 1,333円
日給 1.1万円
月給 27.8万円
一級建築士
施工管理求人.com)
500万円~600万円 二級建築士は350万円~500万円

各社の統計データをみると、一級建築士と二級建築士が混ざっているものもありますが、一級建築士についてみれば、年収550万円~600万円前後の人が最も多いようです。

厚生労働省の平均年収より実態が下回っているのは、一部の大きく成功している独立開業者が、全体の数字を大きく押し上げているためだと考えられます。

建築士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

賃金構造基本統計調査から、建築士のボーナスは月収の約4ヵ月分であると推定されます。

各社の統計データを基に、一般的な一級建築士の年収を580万円と仮定すると、月収は約36万円、ボーナスは約145万円となります。

そこから、所得税や住民税、年金や健康保険料などを差し引くと、独身者の場合、月々の手取りは27万円~29万円、ボーナスの手取りは約114万円と計算されます。

ほかの人より突出して豊かな暮らしができるというわけではありませんが、普通に生活していくぶんには不自由ないでしょう。

ただ、結婚して家族が増えると、自分で自由に使えるお金はかなり限られるかもしれません。

建築士の初任給はどれくらい?

建築士の初任給は、就職先や地域にもよりますが、およそ20万円~25万円が相場とされています。

一般企業の大卒者の平均初任給が20万円弱であることを勘案すると、建築士という難関国家資格をもっているぶん、スタートから給料水準はそれなりに高いようです。

ただし、建築士の給料は実力に左右される面が強く、その後の給料は、個人の実力によって大きく伸び幅が変わりますので、建築士にとって初任給はさほど重要ではありません。

建築士の年齢別・男女別の年収(平成30年度)

一級建築士の年収(年齢別)_2

建築士の勤務先の規模別の年収(平成30年度)

一級建築士の給料を勤務先の規模別にみると、組織の大きさと給料水準はほぼ正比例していることがわかります。

とくに従業員1000人以上の規模では、ゼネコンなどの大手建設会社が含まれるため、平均年収は1000万円を超えています。

一級建築士の年収(規模別)

※本統計は、調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

建築士の福利厚生の特徴は?

建築士の福利厚生は、勤め先の企業による差がかなり大きいのが実状です。

ゼネコンをはじめとする大手企業では、住宅手当や休日出勤手当、有給休暇制度などが整っている一方、小規模の設計事務所などでは、充実しているといいがたいところもあります。

設計事務所は少人数で運営しているところが多く、人手に余裕がないために、なかなか有給を取得できなかったり、産休や育休を取得しにくいというケースが目立ちます。

家庭の都合などで、働き方にある程度の弾力性を持たせたいと考えている人については、できるだけスタッフを多く抱える企業に就職したほうが望ましいかもしれません。

建築士の給料・年収の特徴

年収のピークが40代に訪れる

一般的な企業に勤めるサラリーマンの場合、基本的に収入は勤続年数に応じて年功序列で上がっていきますので、年収のピークは定年直前の50代後半あたりとなります。

しかし、建築士は実力主義の傾向が強いため、最も体力・気力ともに充実し、たくさんの案件を手掛けられる40代あたりにピークを迎え、そこから徐々に年収は下がり始めます。

管理職に就く年代になると、残業代なども支給されなくなり、立場とともに仕事内容も収入事情も大きく変わりますので、働き方や生活スタイルを見直す必要が生じるでしょう。

生涯年収はそれほど高くない

一級建築士は、職業としての平均年収は、一般的な日本国民の中央値を大きく上回っています。

しかし、一級建築士になるには、少なくとも数年、人によっては10年以上、二級建築士としての下積み期間が必要であり、その期間の給料は、一般的なサラリーマンとほぼ同じです。

そして、上述したとおり給料のピークを迎えるのがかなり早く、体力が衰えてくると、経営者か役員にでもならない限り、高収入を維持することは困難です。

このため、働き盛りの年収は高くても、生涯年収は2億6000万円ほどが平均とされており、一般的なサラリーマンの生涯年収2億7000万円と変わらないか、やや見劣りする水準です。

一級建築士というと、世間的には高収入と思われがちですが、一部の著名建築家の華やかなイメージが先行している部分も大きいといえます。

高収入を稼ぎたいならハードワークが必要

設計事務所でも建設会社でも、どこの職場でもいえることですが、建築士として高収入を狙うなら、数多くの案件をこなすか、規模の大きな案件をこなすか、基本的にはそのどちらかが必要です。

ゼネコンに勤めれば、高待遇が期待できるのは間違いありませんが、労働時間が長引きやすいうえ、現場ごとに全国各地を転々としなければならず、肉体への負担はかなり重いといえます。

設計事務所で売れっ子になれば、やはり給料面は高くなりますが、各クライアントとの打合せや、設計のやり直しなどで、仕事が深夜に及ぶことも多く、プライベートな時間はほとんど取れないかもしれません。

建築士は、稼ぎたいお金の量と、健康面や私生活とのバランスに頭を痛めることの多い職業といえるかもしれません。

施設別に見る給料・年収

ゼネコン勤務の建築士の給料・年収

ゼネコンに勤める建築士の給料は、年収500万円~1000万円くらいが相場であり、かなり開きがあるものの、全体的に給与水準は高めです。

とくにスーパーゼネコンともなると、規模別の年収の通り、平均年収が1000万円を超えますし、中堅クラスのゼネコンでも、管理職になれれば年収700万円を下ることはほぼありません。

ただ、高給の裏には重い責任と長時間残業があり、仕事内容は質・量ともに非常にハードです。

設計事務所勤務の建築士の給料・年収

設計事務所で働く建築士の給料は、年収400万円~550万円前後が相場ですが、ほかの業態の企業と比較すると、事業規模の大小も、請け負う案件の種類もまちまちで、給料事情の差もかなり大きい点が特徴的です。

ただ、行政とのパイプが太く、橋や公園、美術館や博物館などを手掛ける事務所や、民間企業が造るオフィスビルやマンションなどを取り扱う事務所は、一般住宅の設計を行う事務所よりも待遇が良い傾向にあります。

また、建築士の仕事は法律などによって単価が規定されているわけではなく、デザイン料などはお客さまと交渉して自由に設定することができます。

このため、手掛ける案件の規模がそこまで大きくなくても、高収入が得られる職場もあり、就職先を選ぶ際には、それぞれの設計事務所の強みをよく見定める必要があるでしょう。

ハウスメーカー勤務の建築士の給料・年収

ハウスメーカー勤務の建築士の給料は、CMなどで目にする大手ハウスメーカーの場合年収600万円~700万円前後、中堅クラスのハウスメーカーの場合年収500万円~600万円くらいが相場です。

ハウスメーカーでの設計業務は、自社の商品に合わせてある程度最初から規格が定まっており、作業がパターン化しやすいため、仕事の負担がそこまで大きくない点がほかの企業にはないメリットといえます。

収入面、業務量、企業規模など、ハウスメーカーはゼネコンと設計事務所のちょうど間くらいといえるでしょう。

建築士が収入を上げるためには?

建築士が収入を上げるには、ゼネコンなどで管理職に昇進する、設計事務所などで施工管理技士やインテリアコーディネーターなどの関連資格を取ってスキルアップする、といった方法が考えられます。

しかし、最も収入を大きく伸ばせる可能性があるのは、独立開業して自身の設計事務所を立ち上げる方法です。

十分な案件を得られる人脈がなかったり、経営者としての手腕が足りなかったりすると、収入が勤務時代を下回るどころか、廃業してしまうこともありますので、独立には相応のリスクも伴います。

その代わり、デザインや機能性などにオリジナリティが認められたりして、売れっ子建築士になれれば、年収数千万円、あるいは1億円を稼ぐことも夢ではないかもしれません。