建築士の需要、現状と将来性

建築士の現状

一戸建てからマンションへ

かつては、「マイホーム」というと一戸建ての住宅を思い描く人が大多数でした。

しかし近年は、核家族化が進んだこと、一世帯あたりの子どもの数が減少したこと、また通勤や通学のしやすい都市部に住む人が増えたことから、戸建住宅に代わってマンション需要が大きく伸びています。

これによって、一般住宅などの木造建築を手掛ける設計事務所が苦戦する一方で、大規模な鉄筋コンクリート造りの建築を行えるゼネコンなどの建設会社は、業績好調なところが目立ちます。

今後についても、高齢化が進むことによって生活しやすい駅前マンションなどに人気が集まると予想されるため、「戸建→マンション」の流れは変わらないでしょう。

建築業界の市況変化は、建築士の勤務先や業務内容にも影響を及ぼすことになります。

求められるスキルは多様化している

近年は、高齢者や障がいのある人でも暮らしやすい「バリアフリー設計」や、地球環境に配慮した「エコハウス」、「ソーラーシステム」など、施主が建築に求めるものが多様化していく傾向にあります。

これに伴って、建築士に対しても、これまでにない知識やアイデア、感性が問われる環境になっており、案件獲得のためにはどれだけ自身の専門性を高められるかがより重要になっています。

今後についても、高齢化社会への対応や環境問題への取り組み、災害への備えなど、さまざまなノウハウをもった建築士の活躍が期待されます。

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建築士の需要

世の中のニーズがマンションなどの大規模建築物に傾いている関係上、手掛けられる建築面積に制限のない一級建築士の需要が高まっている一方で、二級建築士の需要は相対的にやや少なくなっています。

建築士として安定的に働くためには、一級建築士の資格取得がますます重要になっているといえるでしょう。

さらに、これから1960年代の高度経済成長期前後に建てられた、高層ビルや公共建築物などの建て替え時期が順次到来する見込みです。

大型の建物を取り扱える一級建築士は、新築案件に加えて、建て替え案件や大規模修繕案件などを手掛ける機会も増える見通しですから、需要はより高まっていくでしょう。

就職先別にみても、戸建住宅を手掛ける設計事務所やハウスメーカーよりも、ゼネコンをはじめとした建設会社のほうが求人数が多く、人材育成に対しても積極的です。

建築士の将来性

中長期的にみれば、人口の減少が進むにつれて、住宅全体の需要が徐々に減少していくことは避けられません。

また、近年は非正規雇用が増えていることもあって、経済的に住宅を購入することが困難で、生涯を借家で過ごすことを選ぶ人も増加傾向にあります。

こうした時代背景を受けて、建築士が手掛ける設計案件は、今後減少していくと思われます。

しかし、住宅をはじめとした建築物は人々の生活に必要不可欠なものであり、また新築案件だけでなく、定期的なリフォームや建て替え案件なども必ず発生します。

競合が厳しくなることは否めませんが、建築士の仕事自体がなくなることはないでしょう。

また、一級建築士のうち約6割が50代を超えており、建築士業界は世代交代の時期を迎えています。

今後ベテラン建築士が順次引退していくにつれて、若手建築士が活躍できるチャンスが増えてくる可能性もあるかもしれません。

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建築士の今後の活躍の場

そう遠くない将来、住宅供給数は過剰になり「家余り」の時代に突入する見通しです。

個人向けに戸建の建築設計を手掛ける事務所は、徐々に活躍できるフィールドは狭まっていくでしょう。

建築士として安定的に働くためには、ゼネコンなど事業基盤が盤石である大手企業に勤める、公務員として地方自治体で住民サービスに貢献する、デザインなどの独自性を高める、といった選択肢が挙げられます。

また、高齢者向けバリアフリー住宅に特化するなど、自分なりの強みを持つ努力も必要になるでしょう。

これから建築士を目指す人は、こうした業界環境や社会情勢を踏まえたうえで、どのようなお客さまをターゲットに、どういった建築物を造っていきたいのか、しっかりとしたビジョンを持つことが重要です。