建築家の働き方の種類とその特徴

建築士の雇用形態

建築士は取得難易度の高い国家資格が必要な職業であるため、多くの人はフルタイムで働く正社員か、独立して自身の事務所をもつ経営者です。

しかし、家庭の都合や自身の希望などで、派遣社員やアルバイト・パートとして働いている建築士もなかにはいます。

また、現在は資格を保有していないけれども、将来的には試験に合格して建築士になりたいと考えている人もおり、実務経験を積むために正社員以外の雇用形態で働いている人も少なくありません。

ここでは、それぞれの雇用形態における求人事情や給与などの待遇面、メリット・デメリットなどについてご紹介します。

正社員の建築士

正社員の特徴

近年は、建設業界全体が活況である一方で、業務時間の長さや過酷な労働条件などから、建築士のなり手は決して十分とはいえません。

このため、建設会社などでは正社員の募集に積極的で、おおむね20代であれば、建築士資格の有無や学歴を問わないというところが増えています。

ゼネコンや大手設計事務所などでは、二級建築士資格が必須であるうえ、大学院卒の学歴まで求めるケースが多いことを勘案すると、勤め先によって就職難易度の差が大きくなっているといえるでしょう。

企業によっては、社員の資格取得を後押しするため、研修などの支援制度を設けているところもありますので、熱意次第では未経験からでも大きく飛躍できる可能性があります。

正社員の待遇

正社員の給料は、勤め先の規模や業種、保有資格などによってばらばらで、一概にはいえません。

スーパーゼネコンなどでは年収1000万円を超えている人がいる一方、小さな設計事務所などでは、業務時間の割に給料が少なく、時給に換算したらアルバイト程度というケースもあります。

雇用形態が安定している点は正社員のメリットといえますが、担うべき責任の重さや業務量の多さというデメリットもありますので、人によっては正社員がベストの選択肢でない可能性もあります。

派遣社員の建築士

派遣社員の特徴

大手設計事務所などでは、派遣社員として働いている人も大勢おり、建築業界への人材派遣を専門に行っている派遣会社もあります。

派遣社員の大半は、過去に正社員として設計事務所や建設会社で働いていた人で、結婚や育児、あるいは配偶者の転勤などを機に、勤めていた会社を退職せざるを得なくなった人も珍しくありません。

担当する業務内容は企業によってさまざまですが、意匠設計や構造計算など、設計業務のなかの一部の分野に特化して担うケースが多いという特徴があります。

二級建築士などの資格は必須ではありませんが、業務内容に応じた実務経験はどこの企業でもほぼ間違いなく求められます。

正社員の募集と比べると、年齢制限が緩い一方、まったくの未経験者に対するハードルは派遣社員のほうがむしろ高いかもしれません。

派遣社員の待遇

派遣社員として働く場合の多くは時給制で、時給1500円~2000円前後のところが多いようです。

一級建築士や二級建築士の資格があれば優遇され、時給3000円を超えるケースもあります。

雇用期間については勤め先によってばらばらで、数年単位の長期雇用を前提としているところもあれば、案件ごとの採用で、1か月~2か月ほどの短期契約のところもあります。

自身の都合や希望に合わせて、雇用期間をさまざまな選択肢のなかから選べる点は、派遣契約ならではのメリットといえますが、正社員よりも不安定な待遇であることは否めません。

退職しても、退職金などが支給されるケースはきわめてまれです。

しかし、企業によっては、正社員への登用制度が設けられているところもあり、個人の能力次第では安定的に長く働けるチャンスがあります。

アルバイト・パートの建築士

ゼネコンや大手設計事務所などでは、手掛ける案件が大きく、作業量も膨大になりがちであるため、建築士の補佐や事務作業を行う目的で、アルバイトやパートが募集されることが頻繁にあります。

実際に設計図面を引くというよりは、CADなどを用いた実務作業やパソコン作業、完成した図面のチェック作業などが多くなるでしょう。

待遇面は個人のスキルによってかなり差がつきやすいといえますが、基本的に業務経験のある人が求められるため、時給1200円~2000円前後と、高単価の募集が目立ちます。

業務経験がなくても、建築学科の出身であれば採用するという企業もありますし、まったく未経験でもパソコン操作さえできればOKというところもあります。

フリーランスの建築士

ある程度建築士としてのキャリアを積んだ人のなかには、法人形態、あるいは個人としてフリーランスで、自身の設計事務所を経営している人もいます。

ただ、安定的に受注を獲得し続けるためには、会社員時代にいかにコネクションを拡げられるかが重要といえるでしょう。

また、建築士としてのスキルだけでなく、営業力や企画力、経理や税務面の知識、スタッフを束ねるリーダーシップなど、経営者としての手腕が問われることになります。

建築士としては優秀であっても、必ずしも独立して成功できるとは限らず、一旦自分の事務所を開業したものの、廃業して再び企業のサラリーマンに戻った建築士も大勢います。

しかし、独立して事業をうまく軌道に乗せられれば、会社員時代を凌駕する高収入を得ることも不可能ではなく、有名建築士として名を馳せることもできるかもしれません。

副業・在宅の建築士

建築士の国家資格を保有している人が、資格を生かした副業を手掛けるケースもあります。

近年はIT化の進展によって、インターネットを通じたクラウドサービスを利用することで、個人でもさまざまな案件を受注できる環境が整っています。

業務内容としては、CAD図面の修正やトレース、パース作成、リフォームプラン作成など、作業時間の短いものから本格的なものまでさまざまで、案件単位で受注できることが最大の特徴です。

単価は作業内容によってばらばらですが、1万円~10万円が目安で、複雑な案件になればより高額な報酬となることもあります。

もちろん専門的なスキルやノウハウは必要ですが、家にいながらにして、副業だけで十分な収入を得ることも決して不可能ではないといえるでしょう。