男性が看護師になるメリット・デメリット・職場での役割は?

男性の看護師はどれくらいいる?

厚生労働省発表の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によれば、平成30年度末現在、就業している看護師の数は1,218,606人で、そのうち男性は95,155人、女性が1,123,451 人となっています。

男性の割合は全体の7.8%であり、まだまだ男性看護師は珍しい存在となっています。

しかし、平成20年の男性看護師の割合は5.1%でしたので、そこから10年間、右肩上がりで増加しています。

看護師が勤務する各職場において男性看護師は少しずつ増えており、今後も緩やかに増加していくことが見込まれています。

男性の看護師の役割は?

現状、男性看護師はまだ貴重な存在です。

基本的には、職場内での役割や業務内容に男女で違いはありません。

看護師として患者さんのケアにあたり、医師ら医療スタッフと連携しながら医療現場を支えていきます。

ただ、女性が非常に多い職場だからこそ、あえて「女性ができないこと」を任されるケースも多くあります。

一番は、やはり力仕事です。

重い機材を運んだり、寝たきりの患者さんを移動させたりといったときに、男性看護師が呼ばれることが多いです。

また、女性だらけで下手をすると人間関係がギスギスしそうな職場において、一人でも男性看護師がいると雰囲気が中和されることがあります。

女性看護師のなかには、男性看護師に対して人間関係を円滑にする役割を期待している人もいます。

また、広い視野をもってリーダーシップを発揮し、全体をまとめてくれる男性看護師は重宝されやすいです。

男性が看護師になるメリット

顔と名前を覚えてもらいやすい

男性看護師は珍しいため、患者さんからすぐ顔と名前を覚えてもらえます。

看護師にとって、患者さんから信頼されるのは非常にうれしいことです。

男性看護師の人数が少ないからこそ、自分の頑張り次第で貴重な存在になりやすいのは男性看護師のメリットです。

さまざまな場面で頼られやすい

看護師の仕事は意外と重労働で、腕力や体力のある男性の強みを生かしやすいです。

とくに高齢者向けの介護施設では、体格の大きな男性利用者さんの体を支えたり、介助したりといった場面が非常に多いです。

心理的な面でも、男性に対して「頼もしさ」を感じる人は多くいるため、そこで男性の強みが生かせます。

トラブル発生時、あるいは子どもに接するときなどに父性を発揮することで、職場で頼られる存在になることができます。

男性患者さんには指名されることも

男性患者さんのなかには、入院生活でなにか困ったことがあっても、「女性看護師には言いにくい」と感じる人がいます。

同性同士だからこそ気兼ねなく話せることもあるため、そういったときに病棟に一人でも男性看護師がいれば、患者さんの安心感につながります。

男性が看護師になるデメリット

マルチタスク能力が求められる

看護の現場では、1つのことにだけ集中していればよいわけではありません。

むしろ複数のことを同時にこなさなくてはならず、そういったマルチタスク能力は女性のほうがすぐれているといわれます。

何か1つのことに没頭するタイプの男性は、看護師になったばかりの頃は大変さを感じることが多いかもしれません。

女性の患者さんに対する気遣い

女性の患者さんのなかには、男性看護師が清拭や排泄介助などを行うことに抵抗感を抱く人もいます。

そういったときには、どうしても女性看護師に頼まなくてはなりません。

また、生理痛や更年期障害といった女性特有のデリケートな悩みは知識として理解していても、自分で体験しないとなかなか寄り添うのが難しいです。

ただ男性特有の悩みもありますから、この点は男性・女性が協力して、できることをやっていけば問題ありません。

勤務先やキャリアの選択肢が少し減る

看護師の資格を持っていると、その後、一定の教育を受けることで「助産師」も目指せます。

しかし2019年現在では、助産師国家試験が受けられるのは女性のみとなっています。

海外では男性助産師がいる国もあるため、今後は日本でも事情が変わってくる可能性はありますが、現状では男性がいくら頑張っても助産に携わることはできません。

病院でも、産婦人科への配属は女性看護師のみとしているケースが多いです。

また、病院によっては一般病棟には男性看護師をほとんど配属せず、救命救急や手術室のような、緊急性が高い職場に積極的に配属する傾向があります。

ただ、このような考え方は男性の強みを生かすことを目的としている場合がほとんどですし、男性看護師が頼られる場面は多くあります。

あまりネガティブにとらえずに、看護師の仕事に邁進していけば、きっと道は開けていくでしょう。