生物学とは? 大学で学ぶことや就職先は?





生物学の概要・理念

生物学は地球上のあらゆる生物を研究対象とする学問です。

生態や分布といったマクロの視点から、DNAや分子レベルのミクロの視点まで、その研究領域は非常に幅広いものとなっています。

私たちの身近に生息している植物や動物であっても、まだまだ解明されていない生態が多く残されています。

生物学では、こうした未解明の領域に踏み込んで研究を続けることで、驚くべき新発見が成就することもあります。

また、生物が関わる環境や生態系といった観点からも研究が行われており、長い時間軸で見た場合の地球環境とも深い関わりのある学問分野です。

近年ではバイオテクノロジーの分野が注目を集めており、IPS細胞(人工多能性幹細胞)の医療分野での応用が期待されるなど、今後の科学や医学の発展にも大きく貢献していくことが見込まれています。

生命現象を遺伝子レベルで解明していく研究もさかんに行われるなど、遺伝子工学とも関わる総合的な学問として、生物学はさらなる発展を続けています。

生物学で学ぶこと

まずは生物学の基礎として、発生学や遺伝学、生化学といった科目を学びます。

実験や実習を通じて研究を進めることになるため、基本的な研究の進め方や実験方法についても知識を習得する必要があります。

実習のテーマによっては、サンプル採集や観察に期間を要することもあるため、研究室に1〜2週間泊まり込んで実習を続けることもあります。

こうして体得した研究の基本に則って、3・4年次にはバイオテクノロジーや構造生物学といった専門性の高い分野へと進んでいきます。

また、身近な生物が研究対象となる場合もあることから、研究室での実験や実習のみに留まらず、フィールドワークによって実際の生物を観察し、その機能や生態についてデータを収集して分析することもあります。

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生物学の大学での授業科目の例

植物分類学

植物を種々の特徴によって分類し、進化の道筋について生物地理学的・古生物学的見地からも検討します。

動物生理学

原生動物からヒトまで、あらゆる動物の個体やその部分の機能について、自然科学の見地から研究します。

構造生物学

生物のからだを形成する生体高分子、とくにタンパク質や核酸の立体構造を研究し、生物細胞の活動について探究します。

遺伝学

生体の形質がどのように子孫へ伝わり発現するかを研究し、遺伝子の機能について解明を試みます。

環境生態学

環境と生物の関わりや生物の多様性について、地球規模の視点から考察していきます。

生物学のレポート・テーマの例

生物学のレポートは、専門性が高くなるほど特定の生物のある機能上の特徴や行動特性について調査し、考察をまとめるものが多くなります。

研究テーマによっては一定期間を要する実習や実験の結果をレポートにまとめることもあるため、研究室に泊まり込むこともあります。

  • ・鳥類の免疫系組織における局所性メラノコルチン調節系
  • ・ヒトデ類ブラキオラリア幼生における付着器官の外部形態
  • ・無尾両生類の生息環境
  • ・外来シダ植物、ホウライシダの分布拡大
  • ・クワガタ類の餌資源分布

生物学と関連する学問

生物学は自然科学的な見地から生物を研究する学問ですが、研究領域が重なる部分が多い学問に医学や獣医学があります。

ただし、医学や獣医学は病気の治療など臨床的な目的を含むのに対して、生物学は機能や特性を解明することを目指す点が異なります。

生物が生息する自然環境という切り口で研究が行われる場合もありますので、環境問題や人間と自然との関わりといったテーマについて探究する環境科学とも深い関わりのある学問といえます。

生物学を学んで就職に有利な業界・仕事

業界としては、食品、製薬、農林水産関連など、バイオテクノロジーの研究がさかんに行われている分野の業種で就職が有利になる場合があります。

また、植物園や試験所などで研究員・学芸員として働くことを目指す道もあります。

高校の生物や中学の理科を教える教員を目指す場合も、生物学の専門知識が活かせるでしょう。

意外なところでは、自然科学系の専門知識を持つ人材として医学書や教科書の出版社へ就職し、編集者として活躍する人もいます。

ただし、高い専門性が求められる研究職などはとくに、修士課程修了以上であることを必須要件としているケースが増えていますので、研究職を目指すのであれば大学院への進学を前提に考える必要があるでしょう。

生物学は他の理系の学問と比べて就職に有利になりにくいと言われることもありますが、たとえば食品メーカー化粧品メーカーでの企画開発職など、生物学の知識を応用すうことで活躍できるフィールドは幅広くあります。

生物学の知識は人生でどう役立つ?

近年は持続可能な社会の実現が議論され、研究者や実業家がさまざまな提言をしています。

その中で、バイオテクノロジーを応用した新たなエネルギー源や循環システムが注目されています。

他にも、クローン技術や再生医療といった最先端の研究において、生物学の研究成果が大きく貢献しています。

このように、生物学はこれからの社会において、社会からの関心や期待がますます高まっていくであろう分野の1つといえるでしょう。

また、生物学の実習や実験においては、仮説を立てて検証し、考察を組み立てていく論理的な思考力が不可欠です。

生物学の研究を通じて体得した論理的思考力は、仕事やプライベートにおいても物事をロジカルに考えるための土台となっていくはずです。

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