自動車ディーラー社員の年収はいくら? トヨタディーラーの給料も解説

自動車ディーラー(カーディーラー)で活躍する職種には、主に「営業職」「整備職」「事務職」があり、それぞれ収入のあり方も変わってきます。

営業職の場合、基本給に加えインセンティブ報酬も見込めますが、整備職はインセンティブがなく若干低めとなります。

ここでは、自動車ディーラー社員の平均年収や初任給、給料の特徴などを紹介します。

自動車ディーラー社員の平均年収・給料の統計データ

自動車ディーラー社員の平均年収は500万円前後が目安となり、一般的な会社員と同じくらいか、やや高めになることが多いです。

ただし、ディーラーといってもさまざまな会社があり、地方ディーラーや零細ディーラーなどでは年収400万円を割れることもあります。

また、同じ自動車業界内でいえば、自動車メーカー自動車部品メーカーなどに比べると収入水準はやや低くなるようです。

自動車ディーラー社員の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

自動車ディーラーの平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、自動車ディーラー社員の平均年収は、40.8歳で533万円ほどとなっています。

  • 平均年齢:40.8歳
  • 勤続年数:15年
  • 労働時間/月:166時間/月
  • 超過労働:15時間/月
  • 月額給与:360,300円
  • 年間賞与:1,011,300円
  • 平均年収:5,334,900円
  • ※出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」

    自動車ディーラーの年収の推移_r5

    ※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
    ※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

    自動車ディーラー社員の手取りの平均月収・年収・ボーナス

    カーディーラーに勤める場合の平均年収は、営業職(セールス)は320万円~500万円、整備職(整備士)は350万円~450万円が目安となります。

    基本給やボーナスは、営業職も整備職もさほど変わりません。

    ただし、営業職の場合、販売成績に応じた「インセンティブ報酬」が支給されることがあるため、その分整備職よりも平均年収の幅が大きくなります。

    20代後半、月収25万円の自動車ディーラー社員をモデルケースにすると、以下のようになります。

    • 月25万円(インセンティブ報酬含む)
    • ボーナス100万円(夏冬1回ずつ、計4か月分)
    • 月収にボーナスを足すと年収400万円

    各種社会保険料や所得税など差し引いた「手取り額」は、約20万円~21万円です。

    自動車ディーラー社員の初任給はどれくらい?

    自動車ディーラーの初任給は、大卒で約22万円、短大や専門学校卒では約20万円が目安です。

    ただし、中小のディーラーや地方のディーラーでは水準がやや下がり、大卒でも初任給が20万円を切るディーラーも存在します。

    営業職、整備職どちらにおいても、初任給額に大きな差はありません。

    なお自動車ディーラーでは、大学院を卒業していても初任給は大卒と同じ扱いになるのが一般的です。

    大学院卒だからといって大卒の給料以上の額をもらえるわけではありません。

    自動車ディーラーの勤務先の規模別の年収(令和5年度)

    自動車ディーラーの年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

    10〜99人規模に勤める自動車ディーラーの平均年収は441万円、100〜999人規模は520万円、1,000人以上規模は622万円、10人以上規模平均は533万円となっています。

    自動車ディーラーの年収(規模別)_r5

    賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

    自動車ディーラーの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

    自動車ディーラーの年収を年齢別に見ると、400万円~600万円がボリュームゾーンといえそうです。最も年収が高い世代は、50~54歳の649万円です。

    全年代の平均年収は533万円となっています。

    自動車ディーラーの年収(年齢別)_r5

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    自動車ディーラーの福利厚生の特徴は?

    ディーラーの多くは、各種社会保険、財形貯蓄制度、持株会制度、社宅・寮、保養施設、自己啓発通信教育などの一般的な福利厚生制度を完備しています。

    「系列」によっても福利厚生の事情は変わります。

    たとえばトヨタ系列のディーラーであれば、トヨタに準じた福利厚生が用意されていたり、トヨタグループの保養施設を利用できることもあります。

    ディーラーならではの特典として、「マイカー購入の社員割引制度」が挙げられます。

    多くのディーラーでは社員は新車を割引価格で購入することができ、一般的には2~3割引き、高いところでは5割引き以上で購入できるディーラーもあります。

    自動車ディーラー社員の給料・年収の特徴

    ここからは、カーディーラーで働く場合の給料・年収の特徴を説明します。

    特徴1.営業職・整備職・事務職でそれぞれ異なる

    カーディーラーで求人を出すとき、たいていの場合は営業職・整備職・事務職と職種を分けて募集します。

    営業職の場合には、インセンティブ報酬もありこの3つの職種のなかでは年収額が高くなるのが特徴です。

    整備士の年収は、インセンティブ報酬がないため、同じ職場の営業職と比べると、やや低めとなることが多いです。

    一方で、営業職よりは給料に差がつきにくいという特長があります。

    事務職は、総務経理などといった仕事を担うほか、来客対応や営業職のサポートをすることもあります。

    年収は一般的な企業の事務員と同程度か若干低めとなり、派遣やアルバイトなどの立場で働く人も多くいます。

    特徴2.営業職はインセンティブ報酬がつく

    営業職の場合、基本給の他に「インセンティブ報酬(歩合給)」が貰えるディーラーが多いです。

    その月に販売した自動車の台数に応じてインセンティブ報酬が与えられ、成績が良い営業マンであれば、インセンティブ報酬によって月収が倍増することもあります。

    ディーラーによっては、保険商品やJAFの契約を取ることでもインセンティブ報酬がつくこともあります。

    ただし営業職はその分残業代が支給されにくく、成績を出せない営業マンであれば、どんなに遅くまで残業をしても、サービス残業となることも少なくありません。

    特徴3.整備職は資格手当がつく

    整備職は、資格が重要になる職種です。

    そのため、難関資格を所持していると「資格手当」が支給され、給料の底上げをはかることができます。

    代表的な手当として、国家1級整備士手当、国家2級整備士手当、自動車検査員手当、整備主任者手当などが挙げられます。

    仕事をする上で少しずつ資格を取得していく人が多く、会社で取得を奨励したりサポートしたりしてくれるところもあります。

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    自動車ディーラー社員の勤務先別の給料・年収

    カーディーラーには、大手から中小・販売店、外車を扱う会社など、さまざまな種類があります。

    勤務先別の給料・年収の特徴を紹介します。

    大手ディーラー

    トヨタ系や日産系などに属している大手ディーラーであれば、収入水準や福利厚生の待遇は全般的に良好です。

    メーカーの正規取引店としてのブランド力や集客力もあるため、新車が売りやすく、インセンティブ報酬につなげやすいという利点もあります。

    ただしその分大手ディーラーでは、体系化された高い接客マナー、整備職であれば高い整備スキルが求められます。

    トヨタディーラーの年収

    トヨタディーラーの求人などを見ると、営業職の平均年収は500~600万円、整備士の年収は400~500万円ほどとなるようです。

    店長クラスになると年収は約700万円ほどとなり、国産ディーラーのなかでも高収入を狙うことができます。

    日産ディーラーの年収

    日産ディーラーの求人などを見ると、営業職の平均年収は400万円 ~ 600万円前後と幅があります。

    整備士の平均年収は約400万円前後となることが多いようです。

    ホンダディーラーの年収

    ホンダカーズ東海の採用情報によると、営業スタッフの平均年収は、633万5,052円とされています。

    営業職のモデルケースは以下の通りです。

    722万円/20代後半/入社3年
    987万円/30代前半/入社4年
    1,122万円/30代前半/入社6年
    (2020年実績)

    中小ディーラーや販売店

    中小ディーラーや個人の販売店となると、さまざまな店舗があるため給料事情は一概にはいえません。

    業績好調で、大手以上の給料を従業員に支払っている中小ディーラーもあれば、まだ立ち上げたばかの零細販売店で、最低限度の給料や福利厚生しか用意していない会社もあります。

    よくも悪くも個性が出やすいため、給料額や待遇については入社前によく確認をとっておくことも大切です。

    外車ディーラー

    BMW、アウディ、ベンツなどの外車ディーラーでは、扱う車の単価が高いこともあり、平均年収も国内ディーラーよりひと回り高くなります。

    外車ディーラーで活躍している営業マンの中には、インセンティブ報酬で年収1000万円を越えている人も少なくありません。

    国産車と比べると外車は販売価格が高いため、より多くのインセンティブが得られる場合が多いのです。

    また、外資系企業は実力を重視する傾向にあり、営業成績を上げれば上げるほど評価され、収入は高くなります。

    一方で、外車ディーラーのお客さまは富裕層も多くなるため、高い接客スキルや営業力が求められます。

    自動車ディーラー社員の正社員以外の給料・年収

    カーディーラーは、正社員以外に、派遣やアルバイトとして働く人、さらに独立して個人で会社を立ち上げる人もいます。

    それぞれの働き方の給料・年収の特徴を説明します。

    派遣社員

    派遣社員の場合、時給1500円前後の求人が目立ちます。

    自動車ディーラーで派遣社員が担当する職種は、主に、一般事務、接客スタッフなどです。

    中には、営業職や整備職においても派遣採用を行っているディーラーもあります。

    アルバイト

    アルバイトの場合、時給1000円~1200円程度となることが多いようです。

    アルバイトも一般事務、接客スタッフなどの求人が多いですが、「展示車両の洗車スタッフ」など、ひとつの業務に特化した求人もあり、運転免許があれば学生でもできるものもあります。

    独立・開業

    自動車ディーラーで働いた経験を活かし、個人の販売店を設立したり、整備職であれば個人の整備工場を立ち上げる人もいます。

    独立・開業した場合の収入額は未知数であり、事業が軌道にのればサラリーマン時代の何倍、何十倍に収入が増えることもありますが、同時に倒産のリスクも背負わなければなりません。

    自動車ディーラー社員の店長の年収は?

    営業職で10年程度キャリアを積むと、店長にキャリアアップする人が出てきます。

    ただし、すべての営業職社員が店長になれるわけではありません。

    営業マンとしての実力を認められた一部の人のみが店長候補としてリストアップされ、管理職となっていきます。

    営業成績の良い人や店長クラスになると、年収額が1000万円を超えるケースも見られます。

    一方で、店長になるとマネジメント業務が増えるために営業に専念することができない、店舗の対応をしなくてはならないため残業が増え、年収が下がってしまったという人もみられます。

    そのために、あえて店長にならず、インセンティブを増やすために営業職のまま働き続ける人もいます。

    女性カーディーラーと男性カーディーラーで年収に違いはある?

    女性と男性で年収に違いはほとんど見られません。

    とくに営業職であれば、男性と同様に営業成績を上げれば評価されます。

    ただし、自動車業界全体の傾向として、スタッフの多くは男性が占めています。

    特にカーディーラーの営業職や整備職は男性が中心であり、活躍する女性はまだ珍しい存在です。

    今後は男性と同様に働きキャリアアップして高収入を目指していく女性が増えていくと考えられます。

    自動車メーカーや自動車部品メーカーの仕事との年収比較

    自動車メーカー社員の平均年収は、600万円~800万円程度がボリュームゾーンといわれています。

    カーディーラーのみならず、一般的な会社員と比較するとやや高めの給与水準であるといえます。

    大手企業では福利厚生も充実しており、充実した環境で働くことができる一方で、景気の波に左右されやすい特長があります。

    景気が悪くなればどんどん給料も下がっていく傾向にあり、安定した収入が得られる保証はなくなってきています。

    また、自動車部品メーカーの平均年収は、企業にもよりますが年収550万円程度が目安とされており、カーディーラーとさほど差は無いと考えられます。

    自動車ディーラーの年収が低いといわれる理由

    自動車ディーラーの年収が低い理由として、車離れがあります。

    とくに若い世代は不景気もあり、車をもたない、車にこだわらないという人が増えてきています。

    必要最低限の装備をそなえていれば、安価な車でいい、最低限の整備だけしていればいい、と考える人も多いです。

    そのため、自動車業界全体の業績は下がりつつあり、カーディーラーで働く人たちの給料に直結しているのです。

    一方で、近年カーディーラーでは整備職が不足していることが問題となっています。

    整備士不足を防ぐため、各社ではインセンティブ報酬を含めた給料や待遇の見直しが行われており、カーディーラーで働く人の平均年収も上がってきています。

    今後もカーディーラーの仕事がなくなることはないため、給与や待遇については徐々に改善されていくと考えられます。

    自動車ディーラー社員が収入を上げるためには?

    自動車ディーラーで働く人が、より収入を上げる方法はいくつも考えられます。

    ここでは、代表的な方法を紹介します。

    契約台数を増やして歩合給を増やす

    カーディーラーの場合、初任給は22万円程度ですが、年数を重ねるごとに基本給が少しずつ底上げされていくのが基本です。

    加えて、営業職であれば成績を伸ばしインセンティブ報酬を得ることが重要です。

    営業の給料は、一般的に「基本給+歩合給(インセンティブ報酬)」で、営業実績に応じてインセンティブが増えます。

    そのため、1台でも多く車を販売することで、年収はどんどん上がっていきます。

    インセンティブ報酬の割合は企業によって異なるため、営業職として高い年収を目指す場合はインセンティブ報酬がより多い企業を選ぶとよいでしょう。

    一方、整備職であれば難関資格を取得して資格手当を得ることが、収入の底上げにつながります。

    カーディーラーで年収1000万円は目指せる?

    カーディーラーで年収1,000万円以上を目指すことは可能です。

    とくに営業職ではインセンティブを利用して年収1,000万円を超えることは珍しくありません。

    一台あたりの販売価格が高い大手ディーラーや外車ディーラ―の場合は、販売契約台数1台当たり数万円のインセンティブが発生します。

    そのため、販売台数を増やせば増やすほどより多くの収入を受け取ることが可能です。

    管理職になる

    営業マネージャー・工場長・店長・エリアマネージャーなどの管理職に昇進すると、別途「役職手当」が支給されるため、基本給を大きく伸ばすことができます。

    管理職になるには、まず営業職として成績を上げ、年収をアップさせていかなくてはなりません。

    さらに管理職は個人の営業スキルだけでなく、店舗全体の営業成績を考える必要があるため、マネジメント能力や協調性なども必要になってきます。

    管理職を目指す場合は、日ごろからこうした点にも気を配っておくとよいでしょう。

    より年収が高いカーディーラーへ転職する

    どうしても収入が頭打ちになってしまう場合には、今より待遇の良い大手ディーラーや外車ディーラーなどに転職することも一つの解決策です。

    とくに営業実績やスキルが伴っている場合は、より良い条件で転職しやすくなります。

    「自動車ディーラー社員の平均年収・給料」まとめ

    各種調査を見ていくと、自動車ディーラー社員の平均年収は500万円前後と考えられます。

    営業職の場合はインセンティブ報酬があるため、さらに多くの金額を稼いでいる人もおり、同じ職場でも年収額に差がつきやすいです。

    一方で、整備職はインセンティブ報酬がなく、給料は営業職に比べると低めです。

    カーディーラーの年収は低めといわれることもありますが、人材不足を受け徐々に待遇は改善されつつあります。