銀行員の資格まとめ【就活生・若手の必須資格から出世に有利な難関資格まで】

銀行員になるには特定の国家資格や免許は特にありません。したがって、内定・入行前に必ず取らなければいけない資格というものはありません。

しかし、競争率の高い銀行の採用試験で大学生のうちに取得しておくと面接で有利にアピールできる資格もあります。

また、内定後~若手のうちに取得が必須の資格や、出世に役立つ難関資格もあります。

この記事では、銀行員を目指す人・銀行員向けに幅広く資格を紹介します。

銀行員に役立つ資格・合格率の一覧


銀行員を目指す人・銀行員の人向けの資格を一覧表にしました。

✅ 銀行員の資格一覧

資格取得の時期 資格名 合格率の目安
就活生向け有利な資格 普通自動車免許 -
TOEIC 700点~ -
簿記検定3級 50%
簿記検定2級 20%
ファイナンシャルプランナー2級 40%
入社前~若手向けの必須資格 証券外務員 2種50%、1種40%
生命保険・損害保険取扱資格 80%
内部管理責任者 80%
銀行業務検定試験 30%
難易度高だが出世・転職に役立つ資格 宅地建物取引士 15%
税理士 15%
アクチュアリー 10%
不動産鑑定士 5%
中小企業診断士 5%

資格取得の時期をクリックするとそれぞれの説明箇所にスクロールします。

それぞれの資格について解説します。

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銀行員の資格|就活生・大学生向け有利な資格4つ


銀行員を目指す就活生・大学生向けの資格として以下の4つを紹介します。

就活生・大学生向け銀行員の資格
  1. 普通自動車
  2. TOEIC 700点
  3. 簿記検定2級・3級
  4. ファイナンシャルプランナー(FP)2級

大学生のうちに取得しておくと、就職活動で銀行員になりたい熱意をアピールできるほか、一般企業への就職活動にも役立つ資格です。

就活生・大学生向け銀行員になるための資格1.普通自動車免許

  • 取得費用の目安:20万円
  • 営業先回りに必要
  • 一般職にも求められることも

銀行員として法人営業になると、取引先を回るために営業車を運転する必要があります。また、一般職も大口の取引先を回るために車を運転する機会がある銀行もあります。

教習は時間がかかりますから、仕事・資格取得で忙しい銀行員になってからではなく、大学生のうちに取得しておくのがおすすめです。

就活生・大学生向け銀行員になるための資格2.TOEIC 700点~

  • 受験料:5,725円
  • 英語力のアピールには700点前後
  • 特にメガバンクでは英語力が求められる

日本の金融業界を取り巻く環境は、長引く低金利の影響で非常に厳しいです。融資・預金共に収益を増やすのに各銀行は非常苦戦しています。

したがって、都市銀行は人口が増えてこれから市場が拡大しそうな海外を中心に支店や海外法人の進出をしていますし、日本企業もどんどん進出しています。

最近では都市銀行だけではなく、生き残りをかけて地方銀行も海外進出を進めており、グローバルに活躍できる人材を銀行は求めているのです。

学生の内からビジネス英語の能力を図るTOEICの点数を上げておくと、グローバル人材として採用されやすい可能性があります。

TOEICは990点満点。入社前に700点ほど取っておくと良いでしょう。

メガバンクの中には、TOEIC700点以下の人には内定後に通信教育を受けるのが必須ということもあるようです。

全国各地で年に10回の受験チャンスがあり、大学でも受験できることが多いです。

就活生・大学生向け銀行員になるための資格3.簿記検定2級・3級

  • 合格率の目安:2級20%、3級50%
  • 受験料:3級2,800円、2級4,720円

銀行員として融資担当を目指す人にとって、企業の財務状況を理解するために簿記の知識は欠かせません。

簿記の資格は銀行員として必須ではありませんが、簿記の勘定科目が分からないとお客さまと話したり、財務分析をしたりする際に支障が出るので、入社前までにまず日商簿記3級の資格取得をしておくことをおすすめします。

3級は入社前に取得して、銀行に入社してから、更に難易度の高い2級や1級を実務で知識を増やしながら目指す人も多いです。

日商簿記3級の受験費用は2,800円で年に3回試験が全国であります。

簿記は1級になると一気に難易度が上がりますが、2級まででであれば参考書などの独学でも十分、合格を目指せます。

就活生・大学生向け銀行員になるための資格4.ファイナンシャルプランナー(FP)2級

  • 合格率の目安:40%
  • 受験料:8,700円

ファイナンシャルプランナーと一口で言っても、国家資格の「FP技能士」と民間資格の「AFP、CFP」がありますが、FP技能士の資格を取得している銀行員が多いです。

FP技能士の試験内容は、ライフプラン、金融、証券、保険・年金、ローン、不動産、税金などの幅広い基礎知識を問われます。

銀行員は、窓口担当・法人担当関わらず、お客さまからの資金運用の相談を受ける機会も多くなるため、こうしたとき「ファイナンシャルプランナー」としての知識が有効に活用できます。

FP技能士資格は1級~3級まであり、銀行員を目指す人には2級の取得をおすすめします。

3級と2級は年に3回受験のチャンスがあり、受験手数料は3級が6,000円、2級が8,700円となっています。

銀行員の資格|入社前~若手向けの必須資格4つ


銀行員として内定を受ける前に必ず取るべき資格はありませんが、銀行員として働くと決まってから取得すべき資格はたくさんあります。

内定から入行・若手のうちに取得する代表的な以下の4つの資格を紹介します。

入行前~若手むけの銀行員の必須資格
  1. 証券外務員
  2. 生命保険・損害保険取扱資格
  3. 内部管理責任者
  4. 銀行業務検定試験

特に銀行が属する金融業界は独自のルールがあり、規制も厳しいので、入社1年目でたくさんの資格を取るため、勉強する時間が増えることは頭に入れておきましょう。

入社前~若手向け銀行員に必須の資格1.証券外務員

  • 合格率の目安:2種50%、1種40%
  • 金融商品を取り扱うために必須の資格
  • 入社半年までに取得を求められる

証券外務員資格は、銀行員だけではなく証券会社など金融商品を取り扱う仕事をするために必須の資格。取得していないと金融商品を販売できません。

銀行によっては、内定から入社までの間に資格の取得を課題とするところもありますが、最低でも入社半年以内には資格の取得を促されます。

証券外務員資格は2種と1種に分かれており、2種を合格したら1種を受けることができます。

1種の合格率は45%程、2種の合格率は50%程ですが、必須資格なので猛勉強してでも資格の取得をしなくてはいけません。

参考書などを使った独学でも勉強できますが、金融独特のルールもあるので、より知識を深めたいのならば専門学校の通信講座などの利用もおすすめです。

受験費用は8,704円ですが、銀行が受験費用を支払ってくれる場合がほとんどです。

入社前~若手向け銀行員に必須の資格2.生命保険・損害保険取扱資格

  • 合格率の目安:80%
  • 入行後すぐに取得を促される
  • 証券外務員と同じく必須の資格

銀行員は生命保険や損害保険を直接的に販売することはしませんが、関連の保険会社と連携して販売するために生命保険や損害保険を取り扱うための資格を取得します。

以下の4種類の資格を入社1年目で取るように促されます。

  • 生命保険募集人(一般)
  • 生命保険募集人(専門)
  • 生命保険募集人(変額)
  • 損害保険募集人(一般)

10時間ほどの勉強時間で合格できるといわれていますが、慣れない仕事とほかの資格試験の勉強との両立で非常に忙しい中で時間を確保するのは大変です。

こちらの資格も必須資格であるため、費用は銀行が負担してくれることが多いです。

入社前~若手向け銀行員に必須の資格3.内部管理責任者

  • 合格率の目安:80%
  • 受験資格は金融機関で働いていること

内部管理責任者は銀行員が金融商品取引法やその他の法令ルールに則り、不正な取引やルール違反なく、銀行支店内で健全な営業活動などが行われているかをチェックする役割の役席者が取るべき資格です。

ただし、この資格を取得することで金融業界の細かなルールを覚えることができるので、ほとんどの銀行では入社1年目で取得を勧められます。

この資格はその他の資格と異なり、金融機関で働いている人のみに受験資格が与えられるため、入社してからしか資格取得はできないのが特徴です。

合格率は約80%と難易度もそこまで高いものではないと感じるかもしれませんが、勉強すべき内容が被る証券外務員資格勉強した人が取る資格のためでもあるのです。

入社前~若手向け銀行員に必須の資格4.銀行業務検定試験

  • 合格率の目安:30%
  • 必須ではないが入行1年目に取得を促される
  • 年間受験者数は30万人で誰でも受験可能
  • 昇進条件になっていることも

「銀行業務検定試験」とは、株式会社経済法令研究会が行っている教育研修事業の一環として企画された検定試験で、銀行・保険・証券等金融機関で働いている人を主な対象にしていますが、受験資格はないので誰でも受験が可能です。

試験の内容はさまざまな分野に分かれており、法務・財務・外国為替・金融経済・年金アドバイザー・資産アドバイザーなど23系統36種目もの試験が実施されます。

この資格がないと銀行で働けないということはありませんが、この試験の内容は銀行で働くにあたり基礎中の基礎となるので、財務・外為・法務などの教科は試験受験の有無に関わらず、入社1年目で通信教育を使って勉強させる銀行が多いです。

銀行によってはこの検定試験の合格を昇進の条件にしているところもありますし、業務で必要になる知識を深めるためにも大変重要な試験だといえます。

試験は年に3回行われ、科目は自分で必要なものを選ぶことができ、科目によって受験費用は4,000円~8,000円と異なります。

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銀行員の資格|難易度高だが出世・転職に役立つ資格


ここからは難易度が高く、銀行員の出世や転職に役立つ以下の5つの資格について解説します。

出世や転職に役立つ銀行員の資格
  1. 宅地建物取引士
  2. 税理士
  3. アクチュアリー
  4. 不動産鑑定士
  5. 中小企業診断士

専門学校に数年通ってやっと合格できる難関資格が多いので銀行員の仕事との両立は大変ですが、出世に有利になる、普段の業務に生かせるといったメリットも大きいです。

銀行員が出世・転職するのに有利な資格1.宅地建物取引士

  • 合格率の目安:15%
  • 受験料:7,000円
  • おもに不動産売買を行う人向けの資格

宅地建物取引士は「宅建」と呼ばれる資格で、主に不動産会社で不動産の売買を行う人が取得する資格です。

銀行員の場合は必須の資格ではありませんが、融資担当になると、融資を行う際に不動産担保登記や不動産評価などを行うため、より不動産の知識を深めるために宅建の取得を目指す人も多いです。

宅建の受験料は7,000円で年に1回毎年10月に試験が行われます。

試験内容はマークシート式で出題数は50問、合格率は15%程度と非常に難易度の高い資格なので、合格すると昇格しやすくなったり、評価が上がったりという銀行もあります。

銀行に入ってからの取得でも遅くない資格ですが、学生のうちにも取得でき、難易度の高さから人事からの評価も上がりやすくなるので、時間のある学生時代に資格取得するのもおすすめです。

宅建士とは

銀行員が出世・転職するのに有利な資格2.税理士

  • 合格率の目安:15%
  • 税金に関するスペシャリスト
  • 銀行員は職歴で受験資格を満たせる人も

税理士は税金に関する国家資格で難易度が非常に高いです。名刺の肩書に「税理士」といれることができれば取引先からの信頼も厚くなります。

税理士の受験資格は一般的には大学などで経済学を専攻するか、簿記1級を取る必要がありますが、銀行員は下記を満たせば税理士の受験資格が得られます。

銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上(※7)従事した者

国税庁「税理士試験受験資格の概要

税理士の資格試験の内容は財務諸表を読み解く力など、銀行員の業務にも生かせます。また、税理士は独立も可能な資格ででもあります。

税理士になるには

銀行員が出世・転職するのに有利な資格3.アクチュアリー

  • 合格率の目安:10%
  • 保険などの掛金を決める仕事
  • 保険数理人とも呼ばれる希少性の高い難関資格

アクチュアリーとは、「保険」や「年金」の掛金や支払金の額を決める仕事のための資格です。

非常に複雑な数理計算を求められる難関資格で知られています。正会員は2018年3月現在で1,697人と希少性も高いです。

信託銀行や保険会社に勤務する人が多いですが、金融商品の開発や運用のプロフェッショナルとして認められる資格でもあるので銀行員で取得する人もいます。

求人に「アクチュアリー正会員であること」と募集されていることもあり、高年収の転職にも有利です。

アクチュアリーになるには? どんな資格が必要?

銀行員が出世・転職するのに有利な資格4.不動産鑑定士

  • 合格率の目安:5%
  • 不動産の価格を評価する不動産の最難関国家資格
  • 受験資格は不要

不動産の不動産鑑定士試験は、司法試験、公認会計士試験と並ぶ三大難関試験といわれています。

銀行員が不動産鑑定士の資格を取得すると、不動産活用のコンサルティング業務など不動産のプロとして仕事に携わることができます。

近年では不動産のかかわる金融商品も豊富で、外資系金融機関からの引き合いが強い資格でもあります。

不動産鑑定士になるには

銀行員が出世・転職するのに有利な資格5.中小企業診断士

  • 合格率の目安:5%
  • 中小企業のコンサルティングに特化した資格
  • 銀行で取得が奨励される資格の一つ

銀行員の仕事内容に生かしやすいのが中小企業診断士の資格です。中小企業の経営に関するアドバイスを行うことができます。

国が認めた唯一の経営コンサルタントの国家資格で、銀行員の名刺の肩書としても信頼度が高くなります。

中小企業診断士の資格は多くの銀行で取得が奨励されています。財務会計や経営戦略、マーケティングといった幅広い知識を身に着けられるので出世に有利になるでしょう。

「中小企業診断士」とは

銀行員の資格まとめ

銀行員の資格について、就活・大学生向け、内定後~若手銀行員向け、難易度の高い出世・転職したい銀行員向けに分けて解説しました。

銀行員はたくさんの資格取得を求められる職種です。

必須の資格も多いので、若手のうちは休日を資格試験の勉強に充てることになります。

大変ではありますが、給与をもらいながら勉強ができ、人材育成にお金をかけている銀行業界ならではの恵まれた環境とも言えます。

がんばってください。