仕事体験談 フリーランスなら中立公正に働きやすい 回答者 : 小百合さん(女性/33歳) 職業名 : ケアマネジャー現在の状態 : 現役経験年数 : 2年 仕事内容 今、居宅介護支援事業所に開業して利用者23名を担当しています。開業型のケアマネジャーです。居宅介護支援事業所とは、介護保険の要、在宅の利用者の良きパートナーといったところでしょうか。 在宅で介護が必要な方にケアプランを作成してサービス事業者などの関係機関との連携や調整などを行っています。 多くの居宅介護支援事業所は、施設やデイサービス、訪問介護、福祉用具貸与事業などを併設しているようですが、わたしは個人で事業所を開設したので単独の居宅介護支援事業をしています。 ケアマネジャーとしての本来の業務とは別に、経営的なことを考えつつ、事業所の宣伝も自分でしています。今は、新規の利用者契約がもう少し増えるようにがんばっています。 仕事のやりがい 前職は看護師として病院勤務をしていました。看護師の仕事は医師を中心としたチームワークで、医師の指示のもとで働きます。その頃と比べると、責任は重く感じますが、看護師としての経験や知識などを活用しながら、自分で考え、判断するようになって、自分らしいケアができるようになったと感じています。 そして、利用者の方々が住み慣れた地域で暮らせるように、少しでもお手伝いが出来れば嬉しいです。きっと、勤務型のケアマネジャーは労働条件などの理由から時間的な制約があったり、自分の思うような仕事というのは難しいのではと思います。その点、フリーランスで働いているような身なので、時間や上司、組織の色など気にすることなく、利用者の方やその家族と十分に時間をとって関わりを持っています。 どんな生活をされているのか、どんなことを望まれているのかを把握して、サービスに結び付けるようにしています。 そして、中立公正といった利点も独立型のケアマネジャーにはあります。というのも、よくありがちな所属機関の経営者や上司から「うちの訪問介護をサービスに入れてほしい」とオーダーされないので、気が楽です。 覚悟しておいた方がいいこと ケアマネジャーの研修会でよく聞かれるのが、「採算あるの?」という質問。居宅介護支援事業所はどこも赤字と聞きます。せいぜい併設の訪問介護やデイサービスなどから利益を得ているようです。 ケアマネジャーの仕事は国の施策なのか、あまり儲けるようなシステムが出来ていません。単純に利用者1人に1万円として、35人以上持つと減算というペナルティーかかるので、マックス35人の利用者を抱えて月収が35万円です。 独立型のケアマネジャーの場合、月収から社会保険やら税金、運営費用などが引かれていくので、経営的には非常に厳しい現実があります。 給料・待遇 開業する前は病院で看護職として働きながら準備資金を作りました。一般的には開業となると、事務所を借りることから始まると思いますが、わたしの場合、自宅を居宅介護支援事業所としたので、初期費用はほとんどかかりませんでした。 しかし、開業したものの、始めの数カ月は利用者確保がなかなか出来ず、収益がゼロという状態で、用意していた準備金70万円は数カ月のうちに底をつきました。最初の数カ月は開業の宣伝のため挨拶まわりの日々でした。行政や地域包括支援センター、介護サービス事業所をくまなくチェックして、顔を覚えてもらうために何度も足を運びました。 前職の病院で顔見知りのMSWから退院後に介護保険を利用したいという情報が入り、契約が成立。これが最初の利用者の方です。地域包括支援センターは新規参入の事業者にはなかなか仕事をまわしてくれず、話しがきても困難事例といった利用者の方でした。そういう受け入れの難しい利用者の方であっても、大歓迎です。 最近は少しずつ、地域包括支援センターから新規の方の紹介が入るようになってきました。しかし、正直言って、事業は赤字です。長く事業を継続することが当面の目標なので、もう少し利用者が増えればと望んでいます。 この職業を目指す人へのメッセージ ケアマネジャーの仕事はすばらしい仕事だと思います。毎日、いろいろな人と会い、ルーディーンワークをこなすといったことはありません。会社員のケアマネジャーであっても、独立型のケアマネジャーであっても職務は同じです。 ただ、どういう働き方が自分にあっているのか、どう働いて生きていきたいのかといったことは人それぞれ違うと思います。独立型ケアマネジャーとして、開業のメリットは、フリーランスのケアマネジャーとして自由になったということ、収入はすべて直接自分に還元され、管理できること。そして、中立公正に働くことができる。また、自分の理想を求めて働くことができる、自分の思う仕事がとことん出来るということです。 反面、自己責任が増大して、チームワークで働く力の分散がなくなったということは大変だと思います。自分の不得意なことが他の誰かがカバーしてくれるといった甘い考えは持てません。 医療や福祉などの知識だけではなく、経営のノウハウや税制度などビジネスの視点を養うことも大事です。 前の記事へ 次の記事へ
在宅で介護が必要な方にケアプランを作成してサービス事業者などの関係機関との連携や調整などを行っています。
多くの居宅介護支援事業所は、施設やデイサービス、訪問介護、福祉用具貸与事業などを併設しているようですが、わたしは個人で事業所を開設したので単独の居宅介護支援事業をしています。
ケアマネジャーとしての本来の業務とは別に、経営的なことを考えつつ、事業所の宣伝も自分でしています。今は、新規の利用者契約がもう少し増えるようにがんばっています。
そして、利用者の方々が住み慣れた地域で暮らせるように、少しでもお手伝いが出来れば嬉しいです。きっと、勤務型のケアマネジャーは労働条件などの理由から時間的な制約があったり、自分の思うような仕事というのは難しいのではと思います。その点、フリーランスで働いているような身なので、時間や上司、組織の色など気にすることなく、利用者の方やその家族と十分に時間をとって関わりを持っています。
どんな生活をされているのか、どんなことを望まれているのかを把握して、サービスに結び付けるようにしています。
そして、中立公正といった利点も独立型のケアマネジャーにはあります。というのも、よくありがちな所属機関の経営者や上司から「うちの訪問介護をサービスに入れてほしい」とオーダーされないので、気が楽です。
ケアマネジャーの仕事は国の施策なのか、あまり儲けるようなシステムが出来ていません。単純に利用者1人に1万円として、35人以上持つと減算というペナルティーかかるので、マックス35人の利用者を抱えて月収が35万円です。
独立型のケアマネジャーの場合、月収から社会保険やら税金、運営費用などが引かれていくので、経営的には非常に厳しい現実があります。
しかし、開業したものの、始めの数カ月は利用者確保がなかなか出来ず、収益がゼロという状態で、用意していた準備金70万円は数カ月のうちに底をつきました。最初の数カ月は開業の宣伝のため挨拶まわりの日々でした。行政や地域包括支援センター、介護サービス事業所をくまなくチェックして、顔を覚えてもらうために何度も足を運びました。
前職の病院で顔見知りのMSWから退院後に介護保険を利用したいという情報が入り、契約が成立。これが最初の利用者の方です。地域包括支援センターは新規参入の事業者にはなかなか仕事をまわしてくれず、話しがきても困難事例といった利用者の方でした。そういう受け入れの難しい利用者の方であっても、大歓迎です。
最近は少しずつ、地域包括支援センターから新規の方の紹介が入るようになってきました。しかし、正直言って、事業は赤字です。長く事業を継続することが当面の目標なので、もう少し利用者が増えればと望んでいます。
ただ、どういう働き方が自分にあっているのか、どう働いて生きていきたいのかといったことは人それぞれ違うと思います。独立型ケアマネジャーとして、開業のメリットは、フリーランスのケアマネジャーとして自由になったということ、収入はすべて直接自分に還元され、管理できること。そして、中立公正に働くことができる。また、自分の理想を求めて働くことができる、自分の思う仕事がとことん出来るということです。
反面、自己責任が増大して、チームワークで働く力の分散がなくなったということは大変だと思います。自分の不得意なことが他の誰かがカバーしてくれるといった甘い考えは持てません。
医療や福祉などの知識だけではなく、経営のノウハウや税制度などビジネスの視点を養うことも大事です。