鳶職人のやりがい

緊張感が人間性を磨く

鳶職人の仕事には常に危険が伴います。高所での仕事は自身が落下し、大怪我をしてしまう恐れがあるのみならず、他の人に被害を与えてしまう可能性も大いにあるのです。

そのような最悪な状況を作り出すことがないように、鳶職人はいかなる時も、己の神経を研ぎすまして作業に当たっています。

安全確認を怠ることなく、工程を省くことなく、確実に作業を遂行するその表情は日常生活における表情とは大きく異なり、まさに真剣そのものということができるでしょう。

作業中の緊張感で鳶職人達は皆、顔の表情に厳しさや、りりしさが生まれるのです。

それはたとえ若者であっても同じこと。きりっとした目元や口元に漂うりりしさからは年齢以上の風格が感じられる人もいます。

危険と背中合わせの毎日に鍛え上げられた人格は、人生のあらゆる場面で発揮されるため、鳶職人がやりがいを持って仕事に打ち込むことのできる理由の一つであるといえるのです。

すべての建造物の基礎を担う

一言で鳶職人といっても、「足場鳶」「鉄骨鳶」「重量鳶」に分類され、手がける作業も異なります。

すべての鳶職人に共通していえることは「建設は鳶に始まり鳶に終わる」という言葉にもあるように、あらゆる建設工事の開始に先駆け、その後の作業を進行させるための下準備を行う重要な責務を任されているということです。

足場や鉄骨、重機などをそれぞれの鳶職人が設置して初めて大工が建設作業に入ることができます。

また、鳶職人の仕事が不十分であれば、工事中に重大な事故を引き起こし、その後の作業が停止してしまうこともあります。

この大きな責任は鳶職人が自身の仕事に誇りを持つことのできる理由であるといえます。

足場や鉄骨、重機などは建物が完成した際、すべて撤去されるため、目に見える形で鳶職人の仕事が残ることはありません。

しかし、完成した建造物を見たとき、鳶職人の胸には何にも代えがたい達成感や満足感を感じることができるといいます。

自然と鍛えられる肉体

いうまでもなく、鳶職人の仕事は体力勝負。夏の炎天下でも冬の厳しい寒さの中でも変わらぬ作業を行わなければなりません。

また、時には重いものを持ったまま、高所に上がらなければならないこともあります。

こうした日々の作業の繰り返しが一般の人よりも強い肉体を作り上げるのです。

鳶職人の仕事は体力面でのつらさを大きくとらえられがちですが、もともと体を動かすことの好きな人が志願する職業でもあるため、ある意味トレーニングであると考え、前向きに作業する職人が多いようです。