女性の鳶職人キャリアパス・結婚後の生活

女性の鳶(とび)職人の現状

近年は、ありとあらゆる業界で女性の社会進出が進んでいて、建設業界で働く女性も、以前ほど珍しい存在ではありません。

女性の土木作業員を表す「ドボジョ」という言葉が定着したのも、その例といえるでしょう。

しかし現在も、女性が1人も在籍していないという職場が圧倒的多数を占めています。

鳶職人は、腕力や脚力、持久力、バランス感覚など、身体能力が大きくものをいう職業であるため、どうしても女性のほうが不利です。

もちろん女性というだけで鳶職人が絶対につとまらないわけではありません。

なかには職長として男性の部下を率いている女性鳶職人もいます。

それでも、女性が鳶職人を目指すならさまざまな困難を覚悟し、「何があっても辞めない」という断固たる決意をもってのぞむ必要があるでしょう。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

女性の鳶職人の強み・弱み

女性の鳶職人の強みとしては、コミュニケーションが円滑になりやすいという点が挙げられます。

鳶職人の職場は、ほぼ全員男性というケースが多く、ぎすぎすした雰囲気となりがちです。

女性ならではの優しさや温かみが、男性ばかりの職場の空気全体をやわらげ、作業をスムーズに進めるのに役立ちます。

また、鳶職人の作業は危険がつきものです。

女性ならではの丁寧さや注意深さなども、安全かつ確実に仕事をするうえで非常に大きな強みとなるでしょう。

反対に、女性の鳶職人が直面しやすい困難は、身体能力の問題に加えて、古くからの慣習です。

鳶職人の職場は、伝統的に女人禁制としていたところが多く、「仕事場に女性がいる」というだけで嫌がる人もいます。

乱暴に扱われたり、心ない言葉をぶつけられることもあるかもしれません。

女性用のトイレや更衣室がないなども不便を感じやすいでしょう。

近年ではそうした環境は徐々に改善されつつありますが、女性に対する偏見はいまだ根強い部分もあり、抜本的な解決までには、まだまだ時間がかかります。

結婚後の働き方

鳶職人は、日々の勤務時間がかなりはっきりしている職業です。

朝は一般的な仕事よりも早くなりますが、安全上の問題もあって日が暮れてから残業することはほとんどありません。

夕方以降の時間は自由がきくでしょう。

結婚後も、夕方から買い物や料理、掃除、洗濯などをこなし、家庭生活と両立させながら働くことは十分に可能です。

ただ、体力的にも精神的にも負担が重くなりますので、配偶者と協力し合って、できる限り家事を分担することが望ましいでしょう。

また、鳶職人は基本的に土曜日も仕事となるので、休日についても配偶者の理解を得ておくべきです。

どうしてもフルタイムで働くことが難しい場合は、アルバイト待遇で週に数日だけ働くという選択肢もあります。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

鳶職人は子育てしながら働ける?

鳶職人が子育てしながら働くのは、かなり厳しいでしょう。

鳶職人の仕事は非常にハードですが、それと同じくらい育児も大変です。

とくに出産してからの1、2年は、ろくに睡眠時間も取れません。

日中は保育所や両親などに子どもを預けて仕事に出るとしても、慢性的な睡眠不足でフラフラのままでは、ろくに働けません。

鳶職人の仕事は常に危険ととなり合わせなので、事故やけがのリスクも高まります。

ある程度子どもが大きくなるまでは、鳶職人の仕事と育児の両立はかなり負担が大きいでしょう。

しかし、鳶職人は現状どこも人手不足なので、子育てがひと段落するまで数年のブランクがあっても、復職することは容易です。

一通りのことをこなせる即戦力であれば、どこの企業からも歓迎されるでしょう。

鳶職人は女性が一生働ける仕事?

鳶職人はかなり離職率の高い職業であり、体格の良い男性であっても我慢できずに辞めてしまうほど、つらく厳しいものです。

女性が鳶職人として活躍するには、相当な努力が必要です。

鳶職人は自身の腕前がものをいう実力主義の世界であり、学歴も資格も経験年数も、そして性別も関係ありません。

たとえ働き始めこそ、偏見をもった目で見られることがあったとしても、自分の実力を示しさえすれば、すぐに状況は変わります。

鳶職人に必要なのは、つらい仕事を続ける体力と根性であり、そういう意味ではむしろ、ほかの職業よりも男女平等といえるかもしれません。

若いうちに資格を取っておけば、年齢を重ねてからは管理職として働くこともできますし、職業訓練校で指導員になることもできます。

現場だけでなく、年齢や体力に応じてさまざまな働き方ができる鳶職人は、女性でも一生働ける仕事といえるでしょう。