鳶職人の需要、現状と将来性

鳶(とび)職人の現状

足場を設営したり、鉄骨を組んだりといった鳶職人の仕事は、建築工事において欠かせないものです。

しかし、近年は鳶職人全体の高齢化が進み、ベテラン職人の引退が相次いでいます。

かつて建築不況だった際に人員をしぼっていた影響もあって、働きざかりとなる中堅層の人材も育っていません。

次の世代を担うべき新人も、昨今の若者は、危険、きつい、汚いという、いわゆる「3K」の職業をきらう傾向にあるため、どこの企業も採用に苦戦しています。

工事の量と職人の人数のバランスが大きく崩れて、業界全体で人手不足に陥っているのが鳶職人の現状です。

時期によっては、企業同士で職人の奪い合いとなっているケースも見受けられます。

一人前の鳶職人を育てるには数年単位の時間がかかるで、早期に状況が改善される見込みもなく、当面は人手不足が継続する見通しです。

鳶職人の需要

上述したように、建設業界の仕事は若い世代からの人気が高くないこともあって、鳶職人のなり手は非常に限られています。

どこの企業も、採用活動にはきわめて積極的であり、学歴や職歴、資格などに関係なく、やる気さえあれば、すぐに鳶職人として就職することができるでしょう。

数少ない鳶職人志願者に辞められないよう、丁寧に指導する企業も増えています。

給料などの待遇面についても、人手を確保するために年々改善されており、同世代より稼いでいるという人も珍しくありません。

これから鳶職人を目指す人にとっては、非常に恵まれた環境にあるといえるでしょう。

鳶職人の将来性

世の中には、時代の変化やAIなどの新技術の開発によって、将来的に消えることが予想されている職業もあります。

鳶職人は、「職人」と名が付くことからも明らかなように、経験と技術が求められる専門性の高い職業です。

修業を積んだ人にしか手がけられない難しい仕事であり、機械などではもちろん代用不可能です。

鳶職人は由緒ある職業であり、飛鳥時代から続く長い歴史をもっていることも、時の流れに左右されない普遍的な仕事であることの証明といえます。

売り手市場が続く状況をみても、ある程度の腕前をもった鳶職人の将来性は非常に明るいでしょう。

ただし、「外国人技能実習生」の受け入れ拡大により、徐々に鳶職人全体の外国人比率が高まっていく可能性があるでしょう。

10年後には、親方以外の職人はほとんど外国人という状況になっているかもしれません。

鳶職人の今後の活躍の場

近年は、働きやすさや生活のしやすさを重視して、都市部を中心としてマンションに住む人が増えています。

それに伴いタワーマンションをはじめとした高層建築物の建築ラッシュがずっと続いています。

そうした建物は、建物の性能や外観の美しさを維持するため、およそ15年~20年ほどの周期で、大規模なメンテナンスを実施しなければなりません。

大規模修繕の際にも、新築時と同じように、建物全体に足場を組むことが必要になりますので、鳶職人の今後の活躍の場としては、既存建物の改修案件が増えていくと想定されます。

日本の人口減少に応じて、新築工事自体は徐々に減少していく見通しですが、改修工事が増えていくことで、鳶職人の需要は保たれるでしょう。