鳶職人の道具・服装

高所作業のプロフェッショナル

江戸時代、高い建造物の作業に従事していた職人の必需品であった「鳶口」という道具の名前から鳶職人という呼称は生まれました。

現在では「ラチェット」と呼ばれる足場や鉄骨の組み立ての際に、ボルトを締める役割を果たす工具が鳶口に代わる最も使用頻度の高い道具です。

鳶職人の手がける足場や鉄骨に不備があると、その後の作業工程に大きな支障をきたし、最悪の場合、重大事故につながる恐れがあります。

そのような事態を防ぐために、長さを計る「スケール」や足場や鉄骨にゆがみがないかどうかを調べる「水平機」などを使用して安全面に留意しながら確実に作業を進めていきます。

安全第一が基本

建設現場の安全を支える足場や鉄骨の組み立てを手がける鳶職人、高所での作業中は自身の安全を確保しなければなりません。

そのために高いところに上がる際は必ず「安全帯」と呼ばれる保護具を腰につけることが義務付けられています。

これを装着することによって落下事故を防ぐことができます。もちろんヘルメットの着用も必須です。

またかつては足袋で作業することが多かった鳶職人ですが最近では高所用の安全靴を着用する人が増えています。

また、汗による感電事故を防ぐためリストバンドをつけて、こまめに汗を拭うことを心掛けている職人も多いようです。

機敏な動作で高所作業をこなす鳶職人は建設現場の華といわれます。しかし、落下や感電などの危険と常に隣り合わせであるのが現実です。

最悪の事態を回避するための安全対策は作業中の身だしなみからなされているといえるでしょう。

おしゃれ心も忘れない

建設現場の花形的存在である鳶職人は昔からおしゃれで粋な人が多いといわれてきました。

たとえば多くの鳶職人が手首につけている「手甲(てこう)」。リストバンド同様、汗を拭う用途に加え、手首の動脈を守る役割も果たしています。

また、作業着の袖が何かに引っかかったりする事を防ぐ意味もあるそうですが、必ずつけなければならないというものでもありません。

おしゃれの要素が強い装着品であるといえるでしょう。

多くの人が鳶の特徴としてあげる下の方がバルーンのようにふくらんでいるズボン。

布に余裕があるため、足を広げたり、膝を曲げたりなどの動作がしやすいのが着用の一番の理由です。

加えて、

・何かがあたった時に感知するセンサーとしての役割を果たすという説
・高所作業において旗のように風の強さをはかるためという説
・汗などで衣装が肌にまとわりつかないようという説
・誤って鉄くぎなどを落としてしまった時に、ヒラヒラにあたって下に流れて体を傷つけない

などの諸説があります。

また、足首付近がすぼまっていることによって、血流を活発にし、むくみを防ぐ効果もあり、きわめて多機能な作業着であるといえます。

このズボンは通称ニッカポッカといい、色や柄も豊富で各々の好みに合わせて選ぶことができるという点が鳶職人の楽しみの一つになっています。