役員になるには? あるとよい資格や学歴も紹介

社会に出ていくうえで、会社のトップに立つ夢を思い描いている人もいるかもしれません。

役員になるためには、ただ仕事をこなすだけでなく、昇進へ向けて努力することが必要です。

役員になるには、どんなスキルや視点が必要なのか。役員の座につくための道のりや、経営者としての心構えを解説します。

役員になるまでの道のり

大企業で役員を目指す道のりは長い

役員になるまでの道のりは、決して簡単なものではありません。

役員、例えば「取締役」などを目指す際の一般的な道のりのひとつは、就職した会社で着実にキャリアを積んでいく方法です。

新卒として入社し、段階的に責任を担当する範囲が広がり、ポジションや役職が昇進していく中で、最終的には役員としての地位に到達することが期待されます。

これを俗に「生え抜き役員」と呼びます。

ただし、大企業においては、役員になることはごく一部の優秀な者に限られ、激しい昇進競争を勝ち抜く必要があります。

その割合は一般的に1000人に1人と言われ、厳しい出世のプロセスを経ることになります。

また、企業によっては、幹部や役員に昇進できるチャンスが一流大学出身者に限られる場合もあり、学歴もある程度制約されることがあります。

引き抜きや起業で役員を目指すことも

もちろん、上記以外にも役員になるための道のりはあります。

例えば、特定の企業やビジネスで顕著な成果を上げることで、他の企業からヘッドハンティングの対象とされ、役員ポジションに就くことがあります。

経営センスや高いスキルを持つ優れた人材は、多くの企業が求める存在であり、競争が激しいビジネス環境ではこうしたスカウトがよく行われます。

また、自身で企業を設立し、代表取締役に就任することも一つの方法です。

近年では学生時代から起業志向が強まっており、独自の事業を立ち上げている人が増えています。

大企業にとらわれず、年齢や勤続年数に関係なく、役員に昇進するチャンスが広がっています。

役員になるまでのルート

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役員になるのに必要な資格はある?

役員になるための必須資格はありませんが、あると有利な資格として、大きく「経営」に関するものと、「税務・会計」に関するものに分けられます。

ここでは代表的なものを紹介します。

経営系の資格

中小企業診断士

中小企業診断士は、「一般社団法人中小企業診断協会」が主催する国家資格で、企業経営に関するさまざまな知識を証明するものです。

この資格は、経済学法務、財務、会計から運営管理、人事、マーケティングなど、幅広い分野にわたる知識を学ぶことが求められます。

そのため、異なる業種の経営者にとっても有益なスキルセットを提供する資格とされています。

中小企業診断士試験は難易度が高く、合格率は4~5%と低い水準にあります。

この高い難易度は、幅広い専門領域にまたがる知識が要求され、資格を持つ者が高度な経営コンサルティング業務に従事できるようになることを目指しています。

参考:中小企業診断協会

MBA(経営学修士)

MBAは、「Master of Business Administration」の頭文字を取った略称で、経営学の国際的な資格として広く知られています。

これは正確には、大学や専門学校などで専門的な経営教育を受け、修了することで得られる「学位」の一つです。

世界中に存在するMBAプログラムで学び、修了するとMBAの学位が授与されます。

MBAプログラムでは、マーケティング、財務、統計学など、経営者として必要な基本的な知識を学ぶことが求められます。

修了者は、経営学の専門家としての資質を証明できます。

アメリカでは、幹部や役員クラスのビジネスリーダーはMBAを取得することが一般的であり、最近では日本人経営者もMBA取得を目指すケースが増加しています。

経営士

経営士は、「一般社団法人日本経営士会」によって認定される、経営コンサルティングに関する知識を持つことを証明する資格です。

この資格は「経営士」と「経営士補」の2つに分かれており、それぞれ企業の経営管理に従事していることや、独立して事業を営んでいることなどについて、一定年数以上の実務経験が求められます。

経営士の資格は主にコンサルティング業務に従事する人を対象としていますが、この資格の勉強を通じて、経営、生産、販売、人事、財務、情報など、企業経営に関する幅広い知識が身につけられます。

平均合格率は約70%ほどとされており、ほかの資格に比べると比較的合格しやすい資格とされています。

税務・会計系

日商簿記検定

役員は、自社の財務状況だけではなく、業界比較や取引先の財務を理解し、取引の方針を決定しなくてはなりません。

簿記を学ぶことで、強引な経営をしていないか、赤字や資金繰り悪化になる可能性はないかということがわかるようになります。

参考:商工会議所 日商簿記検定

公認会計士

公認会計士は、財務や会計に関する専門知識を持つプロフェッショナルであることを示す国家資格です。

これは「3大国家試験」の一つとされ、合格率が約10%ほどと高い難易度を誇る資格です。

公認会計士資格を取得すると、企業が作成する財務諸表の監査業務に携わることができるようになります。

そのため、監査法人や個人事務所で活躍する専門家が多いです。

ただし、学ぶ内容が経営者にも通じるところが多いため、企業の管理職や経営者が公認会計士資格を取得しようとするケースも増えています。

この資格を持つことで、経営判断において財務や会計の専門知識を有効に活用できるため、経営者にとっても有益なスキルとなります。

公認会計士の仕事
公認会計士・監査審査会

税理士

税理士は、税務の専門家として税務書類の作成や税務相談などを行うための知識・スキルを証明する国家資格です。

通常、企業の経営者は税務関連の処理について外部の税理士に依頼します。

税理士からアドバイスをうけることで、企業は適切な税務処理を確実に行え、法的なコンプライアンスを守ることができます。

また、企業経営者が税務の知識を持っていると、節税や効果的な資産配分などについて主体的に判断できるため、企業の経営を健全に行うことができます。

税理士の仕事
国税庁 税理士試験

役員になるための学校の種類

役員になるために必ず通うべき学校は存在しません。

しかし、大企業では、新卒入社の際に出世を目指すコースがあることがあります。

例えば、「総合職」枠で入社する人が、将来的には幹部候補として採用され、一方で「一般職」枠では責任の重い仕事が少なく昇進が制限されることがあるといえます。

入社枠によってキャリアパスがある程度予測できるため、選択する際には慎重な検討が必要です。

また昔ながらの企業では、OBとのネットワークが重要とされ、学閥が影響を持つこともあります。

一橋大学の「如水会」や慶應義塾大学の「三田会」などが有名な学閥の例です。

ただし、これが出世を決める決定的な要素ではありません。

特に新しい企業やベンチャー企業では学閥の影響が薄く、学歴や経験よりも実績や能力が重視されることがあります。

総じて言えることは、各企業ごとに異なる文化や価値観が存在し、出世の要因も多岐にわたるということです。

自身の目標や価値観に合った企業を選び、その企業の特性に合わせたキャリア戦略を考えることが重要です。

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役員の学歴・出身大学で多いものは?

上場企業の役員は高学歴が多い

役員ポストに就く際に必須の学歴は存在しませんが、「大卒以上」の高学歴を持つ人が多い傾向があります。

特に近年では創業者や同族の2代目、3代目でなく、大手企業での出世コースから役員になる場合や、外部から優秀な人員を迎える場合、学歴は高いことが報告されています。

『役員四季報』の「上場企業全役員の出身国内大学ランキング」では、慶應義塾大学、東京大学、早稲田大学が例年トップ3にランクインしています。

他にも、京都大学、中央大学、一橋大学、明治大学、日本大学などが上位に位置しており、全国的に名の知れた大学出身の役員が多いことが分かります。

また、大学院を修了してからビジネスに入ったり、役員として働き始めてから経営学などをさらに学ぶために大学院に通うケースも見られます。

高い学歴を持つことが、企業での出世や役員ポストへの就任に一定の影響を与えていることがうかがえます。

海外の大学を出ている人も

海外の大学でビジネスを学んだ経験をもつ役員は増加しています。

例えば、著名な米国の大学であるハーバード大学やスタンフォード大学を出てから、日本に戻ってビジネスパーソンとして成功し、最終的には役員になるケースが見られます。

また、ビジネスの世界で有名な資格であるMBA(経営学修士)を取得するために、海外のビジネススクールに進学する人もいます。

MBAは日本でも取得可能ですが、海外のスクールでは世界中から集まる優秀なビジネスパーソンとのネットワーキングや、国際的なビジネス環境での学びが得られるなどのメリットがあります。

最終的に役員になるような人は広い視野をもち、ビジネスに対する意欲が高い人が多いため、海外で学ぶことを積極的に選択するケースもあります。

異文化や異なるビジネス環境での経験が、グローバルな視点を持つ経営者としての力を高める一助となります。

学歴が低くても役員にはなれる?

中卒や高卒であっても、役員になれないわけではありません。

特にベンチャー企業では、学歴に関係なく実力が重視され、若いうちから出世していく機会が提供されることがあります。

大学を卒業していない人が経営陣として成功している例もあり、自身で企業を設立して役員になることも可能です。

例えば、GMOインターネットグループの代表取締役会長兼社長である熊谷正寿さんは、高校を中退していますが、その後ビジネスの世界に入り、後に自らの企業を設立して上場に導いています。

このような例は一例にすぎませんが、経営への熱意や向上心、実力があれば、どのような学歴であっても役員になることは可能です。

個々の才能や経験が重要なファクターとなり、ビジネスにおいて成功する道は多岐にわたります。

役員に向いている人・配属されやすい人

ビジネス感覚がすぐれている

役員になる人のタイプはさまざまですが、共通して必要な要素として、ビジネスパーソンとしての経験や実績が挙げられます。

事業に成功した経歴やプロフェッショナリズムは、経営陣にとって信頼性や仕事のできる人材であることを示す重要な要素です。

ビジネスにおいては、状況や市場の変化に敏感であり、先を読む力や戦略的な視点が重要です。

ビジネスの嗅覚を鋭く持ち、状況を正確に判断し、的確な判断を下せる人は、役員になるチャンスを掴みやすいでしょう。

また、向上心や向学心も重要な要素です。

絶え間ない学びや成長への欲求が、変化の激しいビジネス環境において必要な柔軟性や適応力を育むことにつながります。

人並み以上の判断力、実行力がある

役員や経営陣に求められるスキルの中で、特に重要な要素として「判断力」や「実行力」が挙げられます。

役員は単なる指示を受けるだけでなく、企業の経営判断を担い、戦略的な方針を考え、実行していく役割を果たします。

そのためには、ぶれない指針やビジョンを持つことが不可欠で、変化する市場や環境の中で的確な判断を下す能力が求められます。

また、大きなリスクを背負ってでも思い切った判断をするタイミングも存在します。

役員には考えたことを実行に移す能力も求められます。

優れたアグレッシブさや行動力が重要であり、決断を下すだけでなく、それを具体的な行動に移して企業を前進させる力が必要です。

リーダーシップがある

役員に求められるリーダーシップは、人を巻き込んで物事を進める力や、「この人についていきたい!」と思わせる人間力が重要です。

ビジネスの世界では、情熱や覚悟、誠実さなどがリーダーシップを形成する基盤となります。

役員は組織全体を引っ張り、ビジョンや目標に向けてメンバーを結集させる役割を果たします。

そのため、ビジネスに対する強い情熱と、目標達成に向けた覚悟が求められます。

役員に向いている人・適性・必要なスキル

役員のキャリアプラン・キャリアパス

大手企業では、役員就任時の年齢が40代後半から50代以上であることが多く、経営に深く関与しつつ、そのまま退職を迎えるケースが多いです。

取締役が最終的に代表取締役となり、会社のトップになることもあります。

中小企業では、創業者の2代目や3代目が役員に就任するケースがよく見られます。

これは家族経営の企業では家族の中から次の経営者が選ばれることが一般的であるためです。

役員の定年については法律で明確な定めがなく、各企業が独自に定めています。

一般的には65歳前後が定年ですが、企業によっては定年がなく、70代以上で役員として活動している人もいる一方で、定年後もアドバイザーなどの役職で残るケースもあります。

役員になるには?のまとめ

会社役員になるためには、単なる仕事の枠を超え、リーダーシップや戦略的思考を身につけることが重要です。

実際に役員の職についている人たちは情熱をもち、柔軟性と決断力を持って仕事をしています。

また、会社内外の環境変化に敏感に反応し、多くの人材をまとめ上げるコミュニケーション能力も欠かせません。

高学歴の人も多いため、役員になるためには、学生のうちから努力することが求められます。