自動車メーカーの年収はいくら? 給料やボーナスについてくわしく解説

自動車業界に就職や転職を考える人にとって、年収や給料は非常に重要な要素です。

自動車業界は競争が激しく、業績や給与条件は企業や地域によって異なります。

この記事では自動車メーカーの平均的な年収や、メーカー別の給与の特長について解説します。

自動車メーカー社員の平均年収・給料の統計データ

自動車メーカーの社員の平均年収は、一般的なサラリーマンよりも高く、通常は600万円から900万円程度です。

特に大手企業であるトヨタや日産などでは、平均年収が800万円を超え、30代のうちに年収が1000万円に達する社員も多くいます。

ただし、自動車メーカーの給与は経済の変動に影響を受けやすく、最近では政府の経済政策などにより好調な状況が続いています。

しかし、景気によっては状況が急変する可能性もあることに留意しておく必要があります。

自動車メーカー社員の平均年収・月収・ボーナス

自動車メーカーには多種多様な職種が存在します。

一般的に、研究開発、生産技術商品企画などの職種では、平均年収が約500万円から600万円程度となっています。

一方で、特殊な技能やセンスが必要な職種、例えばカーデザイナーのような職種は、平均年収が一段階高く、より多くの収入を得る傾向があります。

また、自動車製造や自動車組立工など、生産工場での現場仕事などで働く職種は、平均年収が約430万円前後とやや低めになることが一般的です。

自動車メーカー社員の手取りは?

20代後半の自動車メーカー社員をモデルケースに考えます。

月給:30万円
ボーナス:年間で夏冬に各1回、計4か月分で合計120万円
月収にボーナスを加えた年収:480万円

さまざまな社会保険料や所得税などが差し引かれた場合、手取り額は約25万円になります。

自動車メーカー社員の初任給は約21万円から22万円

自動車メーカーの初任給は、一般的には約21万円から22万円程度です。

ただし、最終学歴によって初任給が変動することがあり、大学院の学士卒や修士卒の場合は、さらに数万円プラスされることがあります。

このように、学歴によって初任給が上下することがある点に留意してください。

例として、以下は2023年度のトヨタの新卒採用の初任給となります。

トヨタ自動車 総合職初任給(2023年度)

学部卒業相当:月給22万8000円
修士修了相当:月給25万円
高専卒業:月給20万1000円
専攻科卒業:月給22万8000円

自動車メーカーの福利厚生は手厚い事が多い

自動車メーカーは一般的に大企業であることから、福利厚生が充実していることが多いです。

各種社会保険・退職金・各種手当(住宅手当など)・従業員持株会制度・財形貯蓄、独身寮・社宅、スポーツ施設、保養所などが用意されている会社が多いです。

トヨタの「ウェルチョイス」は、選択型の福利厚生制度で、従業員が自分のライフスタイルに合った福利厚生メニューを選びやすくする取り組みです。

このような福利厚生は、社員の働きやすさや生活の質を向上させ、企業への忠誠心やモチベーションを高める役割を果たしています。

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自動車メーカー社員の給料・年収の特徴

年功序列で役職手当が大きい

自動車メーカーの多くが「年功序列」制度を採用しています。

この制度では、勤続年数に応じて基本給が増加するため、20代では給料がそれほど高くないことが一般的です。

しかし、30代に入ると給料の上昇幅が大きくなり、大手企業の中には30代で年収1000万円に到達する社員もいます。

さらに、管理職に昇進した場合、高額な「役職手当」が支給され、給料の増加がさらに促進されます。

このため、給与には年齢や役職の変化に大きな影響があります。

メーカーによっては、40代や50代になると、役職の有無によって社員間の年収に大きな差が生じることがあります。

管理職と平社員の給与格差が広がることもあるため、キャリアの選択や昇進によって収入を増やすことができる可能性が高いです。

景気変動の影響を受けやすい

自動車メーカーの給料は、自動車の購入意欲や景気の変動に大きく影響を受けることがあります。

景気が良いときは、自動車の販売が増加し、企業の業績が向上する傾向があります。

これに応じてボーナス額が増加し、給与水準も向上することが期待されます。

逆に不景気になると、クルマの売れ行きが悪くなり、ボーナスが減額されたり、リストラや派遣切りが行われる可能性が高まります。

また自動車メーカーは世界各国への自動車輸出を行っており、為替レートの変動が業績に影響を及ぼします。

円高の場合、海外売上高が減少し、給与に悪影響を及ぼすことがあります。

逆に円安の場合、海外売上が増加し、業績が向上する可能性が高まります。

このように自動車産業は市場の変動に敏感で、給与水準もその変動に合わせて調整されることが一般的です。

自動車メーカーの勤務先別の給料・年収

最大手の3社は給与水準が高い

トヨタ、日産、ホンダの3大自動車メーカーは、日本国内での収入水準が特に高い企業の一部です。

こうした自動車メーカーでは、平均年収が800万円を超える傾向があります。

特に管理職クラスになると、ほとんどの社員が年収1000万円を越えることがあります。

これは、高い技術力や経営スキルを持つ社員に対する報酬が高額であることを示しています。

また業績によって変動することがありますが、毎回100万円以上のボーナスが支給されることも珍しくありません。

さらに部課長クラスなどの高位管理職になると、退職金の支給額が数千万円に達することがあります。

3大自動車メーカーは国際的に競争力のある企業であり、高度な技術と品質を提供しています。

そのため、社員への報酬も高水準であり、競争力を維持し、優秀な人材を確保するために重要な要素となっています。

中堅の自動車メーカーは若干低め

マツダ、SUBARU、三菱自動車、ダイハツ、スズキなど、中堅の自動車メーカーにおいては、平均年収が約600万円から700万円程度が一般的です。

これは、大手自動車メーカーに比べてやや低い水準とされています。

ただし、これらの中堅メーカーでも経験豊富な年配社員や、高いポジションにある管理職クラスの社員については、年収が1000万円を越えることがあります。

年収については、従業員の役職や経験、業績に応じて変動するため、一概には言えない部分もあります。

自動車産業は競争が激しく、業績の変動も大きいため、給与水準は企業の業績や市場の状況に大きく左右されます。

また、自動車メーカーは労働組合の存在が大きく、労使交渉によっても給与条件が影響を受けることがあります。

各自動車メーカーごとに異なる給与体系が存在することを理解しておきましょう。

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自動車メーカー社員が所属する代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
トヨタ自動車 895万円 40.6歳
日産自動車 851万円 41.7歳
本田技研工業 822万円 44.7歳

出典:2023年現在(各社有価証券報告書より)

トヨタ自動車の平均年収

トヨタは、国内最大手の自動車メーカーであり、世界的に見てもフォルクスワーゲンやゼネラルモーターズなどの海外巨大メーカーに匹敵する市場シェアを持っています。

その結果、トヨタの従業員は平均年収で国内自動車メーカーの中でもトップクラスとなり、895万円と高い収入水準になっています。

また、トヨタは「ウェルチョイス」という選択型福利厚生制度を提供しており、社員が自身のライフスタイルに合わせて福利厚生メニューを選ぶことができることが注目されています。

高い収入と選択肢の広い福利厚生制度は、トヨタを魅力的な企業として位置づけ、優秀な人材を引き寄せる一因となっています。

日産自動車の平均年収

日産は、ルノーと三菱自動車との資本提携を持つ自動車メーカーで、2017年には「ルノー日産三菱アライアンス」グループとして世界シェア1位を達成しました。

この資本提携により、世界的な競争力を高め、国際市場での存在感を強化しています。

また、給料制度の特徴として、日産は2004年から成果主義を導入しています。

成果を上げた社員には、基本給以外にもインセンティブが支給されたり、ストックオプションの権利が与えられるなどの特典が用意されています。

この成果主義の制度では、社員が結果に応じて報酬を受け取ることでモチベーションを高め、企業の成長に貢献するという動機づけとなっています。

本田技研工業

ホンダは自動車だけでなく、2輪車(バイク、オートバイ)でも大きなシェアを持つメーカーとして知られています。

この多角的なビジネスポートフォリオは、ホンダを自動車とモーターサイクルの両方で成功を収めるグローバルな自動車メーカーに育てました。

一般的には、ホンダは役職による給料格差が少ないメーカーとされており、管理職と平社員の給与に極端な差がないと言われています。

この平等な給与体系は、ホンダの企業文化であり、給与における公平さを重視していることを示しています。

自動車メーカーの正社員以外の給料・年収

期間従業員

自動車メーカーでは、総合職の正社員とは異なる雇用形態として「期間従業員(期間工)」という働き方があります。

期間従業員は、半年から数年など雇用期間に期限が設定された職種で、主に生産工場で自動車の組立や加工などの業務を担当します。

雇用契約が一定期間であるため、一時的な需要の増加やプロジェクトの実施時に雇用され、労働力を調整するために利用されることが一般的です。

期間従業員の時給は一般的に1200円から1500円程度であり、月収換算にすると30万円を超えることもあります。

また、期間従業員にはさまざまな手当や福利厚生が提供されることがあり、これらの要素によって月収が増額されることがあります。

アルバイト・パート

自動車メーカーのアルバイト・パート募集は、主に生産工場での加工補佐や社員食堂での調理など、雑務的な仕事が多いことが一般的です。

これらの職種では、自動車の生産や日常業務の円滑な運営をサポートする役割を果たします。

アルバイト・パートの時給は地域や雇用条件によって異なることがありますが、一般的に1100円から1300円程度が目安とされています。

自動車メーカーでは、総合職の正社員が行うような設計業務や法人営業業務などの専門職種は、アルバイト・パートでの募集がほぼ行われないことが一般的です。

ただし、大学生向けのインターンアルバイトの形式であれば、総合職の仕事の一部を経験させてもらえることがあります。

このようなインターンアルバイトは、自動車業界に関心がある学生が、専門的なスキルや経験を積む機会として重要な機会となっています。

自動車メーカー社員が収入を上げる方法はさまざま

自動車メーカーでの収入を上げるには、いくつかの方法があります。

まず、自動車メーカーでは、長く勤務し、勤続年数が増えるごとに基本給が上昇し、社員の収入も増えていきます。

この「年功序列」制度によって、給与が段階的に増えていきます。

また管理職に昇進すると、役職手当などの特別手当が支給され、給与が大幅にアップすることがあります。

ただし、管理職ポジションは限られており、全員が昇進できるわけではないことに注意が必要です。

さらに一部の自動車メーカーでは、「成果主義」を採用しており、個々の能力や業績が収入に影響します。

プロジェクトの成功や企業の業績向上に貢献する社員には、特別ボーナスなどが支給されることがあります。

もし自動車メーカーでの収入が頭打ちになった場合は、他の自動車メーカーや関連産業への転職を検討することで、より給与水準の高いポジションに就くことができるかもしれません。

自動車産業は競争が激しいため、従業員のスキル、経験、貢献度に応じて給与が変動します。

キャリアの選択やスキルの向上を通じて、収入を増やすチャンスがあるといえます。

自動車メーカーの年収のまとめ

自動車メーカーは比較的年収が高く、とくに国内を代表する自動車メーカーでは高額な年収を手に入れることができます。

しかし、同じメーカーに勤めていても職種によって給料に差があり、学歴や成果主義が給与に影響する点には注意が必要です。

自身のスキルや経験、キャリア目標に合った自動車メーカーを選び、給与の向上を目指すことが大切です。