自動車メーカーの現状と将来性

自動車メーカーの現状

日本を牽引するメーカー

50兆円近い市場規模、540万人にもおよぶ労働者をかかえる自動車業界(自動車関連産業)は、高度経済成長期以降、日本経済を大きく支える基軸産業の一つとなっています。

そのような巨大な自動車業界のトップに位置するのが自動車メーカーであり、わが国をリードする企業として君臨しています。

たとえばトヨタの本拠地となる愛知県では、トヨタグループがもたらす自動車産業によって他の県とは異なる経済圏を造り上げているなど、自動車メーカーが国や地域に与える影響というのは大きなものとなっています。

日本車は海外からも評価が高く、国産メーカーの大半は世界市場でも大きなシェアを獲得しています。

これからの自動車メーカーには環境やエネルギー、そして安全性といった、多くの重要問題をクリアしていくことが求められます。

今後も高いレベルだと評価されている「日本のものづくり」の最先端をゆく業界として、大きな存在感を示していくことに変わりはないでしょう。

大きな転換期にある

自動車業界はいま「100年に一度の大変革の時代」に入ったといわれており、大きな変化の渦の中にいます。

「CASE」とよばれる概念のもと、今後は自動車のあり方そのものが大きく変わるとされており、自動車メーカー側としてもこれまでと違った視点で自動車と向き合っていく必要があるでしょう。

トヨタ社長も「自動車をつくる会社」から「モビリティカンパニー」にチェンジするという発言もしており、今後は自動車メーカーという存在自体も従来とは違うものになっていく可能性があります。

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自動車メーカーの需要

自動車のニーズとその変化

モータリゼーションが普及した現代社会において、クルマは必要不可欠な存在であるため、自動車メーカーには一定の社会的需要があります。

日本国内の自動車販売台数は、毎年約500万台前後で推移しています。

ただし近年は、国内の自動車販売台数が緩やかに低下してきている傾向も見られます。

背景には「高齢化」や「若者のクルマ離れ」などが関係しているといわれており、今後は自動車が売りにくい時代に入る可能性が高いでしょう。

また自動車に対してのニーズも、性能、パワー、高級感といったものから、安さや実用性に変わりつつあり、コンパクトカーや軽自動車、ハイブリッドカーなどが売上の主力となりつつあります。

求人のニーズ

各自動車メーカーでは、新卒学生を対象とした「新卒採用」を行っています。

自動車メーカーは企業規模自体が大きいこともあり、新卒採用の募集人数枠も多く、トヨタなどは毎年500人以上もの新卒社員を募集しています。

同時に自動車メーカーは学生の就職先として高い人気を誇り、毎年応募が殺到するため、募集人数枠は多くとも入社は狭き門となります。

とくに文系向けの事務系総合職コースは、理系向けの技術系総合職コースより募集枠が少ないこともあり、採用を勝ち取るのは簡単ではありません。

また、既卒者を対象とした「中途採用(キャリア採用)」も、通年にわたり実施している自動車メーカーが多く、有能な人材は常に迎え入れようとする姿勢です。

求められる人材

総合職コースの場合、ジョブローテーションが行われ、数年ごとにさまざまな職種をローテーションして経験することになるのが一般的です。

そのため潜在能力が高く、幅広い業務に対応できる人材が求められます。

自動車メーカーの社員は大きなプロジェクトに参加したり、海外の人と共に仕事をすることもあるため、コミュニケーション力や語学力なども能力として重要視されます。

技術系総合職においては、理系向けの仕事となるため、学生時代に専攻した技術分野や研究テーマなども重要です。

多くの自動車メーカーでは、技術系総合職の新卒採用は理系学生のみを対象としており、特に「機械工学」や「自動車工学」などを学んできた学生にニーズが集まりやすいです。

自動車メーカーの将来性

CASEによる大変革

「100年に一度の大変革の時代」に入ったといわれる自動車業界では、大きな変化の波が押し寄せています。

その中心にあるのがCASEという概念です。

CASEは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったものであり、これからの時代、このCASEの概念をもとに、自動車の在り方そのものが大きく変わるといわれています。

<CASEの考え方>
・コネクティッド化:自動車がインターネット端末のようになり、ネットワークと繋がる
・自動化:自分で運転するものではなく、自動運転で移動するものになる
・シェアリング:個人で所有するのではなく、用途に合わせて複数人で共有、レンタルするものとなる
・電動化:ガソリン車やハイブリッド車にかわり、EV車(電気自動車)となる

これから先は、クルマを自分で運転する時代から自動で運転する時代にかわり、1家で1台の自動車を保有する時代から複数人でシェアする時代になるかもしれません。

自動車のあり方や扱い方そのものが社会全体で大きく変わる可能性があるため、自動車メーカー側もこれまでとは違った立ち回りが求められます。

自動運転技術の開発、カーシェアリングサービスの展開など、新たなビジネスを模索する動きも活発になっています。

また「Google」のようなIT企業が自動運転カーの開発に乗り出したり、「テスラモーターズ」のような新興企業がEV分野で急成長するなど、新たな勢力も台頭してきている状況です。

人手不足の問題

自動車業界では、いま人手不足が問題となっています。

帝国データバンクが集計した「人手不足に対する企業の動向調査(2020年1月)」によれば、従業員が不足している業界の第6位に、自動車・同部品小売がランクインしています。

自動車メーカーの総合職は人気職であるため人手不足ではありませんが、その一方、生産工場などで働く工場作業員などの人手不足が深刻化しており、自動車産業を根底で支える層が減っている状況です。

ITによるオートメーション化などで対策も進められていますが、少子高齢化により国内全体で人手不足も進む中、この問題はいずれ大きなものとなっていく恐れがあります。

合併や再編が進む

現在、自動車メーカー同士の合併や買収も進み、業界全体の再編も進んでいる状況です。

2016年には、トヨタがダイハツを完全子会社化し、話題となりました。

大手メーカー同士の再編も進んでおり、ルノー、日産、三菱自動車は資本提携関係にあり、この3社でフォルクスワーゲンやゼネラルモーターズといった世界の巨大自動車メーカーを脅かす存在ともなっています。

あわせて、自動車部品メーカー自動車ディーラーでも再編が進んでいます。

そのように会社組織としての見直しも活発に行われている状況のため、これからの時代は自分の勤めている自動車メーカーが他社に買収されたり、急に役職や業務内容が変わることも覚悟しておかなければなりません。

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自動車メーカー社員の今後の活躍の場

CASEに先駆け、自動運転サービス、カーシェアリングサービス、自動車×ITを駆使したサービスなどのビジネスに参入する企業も増えてきています。

新たなビジネスを展開する上では、自動車に関するテクノノロジーやノウハウも必要になるため、自動車メーカー社員としてつちかった経験や技術というのは重宝されます。

CASEに向けた技術開発のため、自動車メーカーがIT系企業や通信会社などの他業界の企業とアライアンスを組む事例も増えてきています。

今後はまったく異なる業界の企業と仕事をする機会やヘッドハンティングされるなどのケースも増えてくるでしょう。