食品メーカーの年収はいくら? 初任給やボーナスも解説
食品メーカーは私たちの生活に身近な仕事であり、急激に需要がなくなることがないことからも、安定感があるイメージが広まっています。
ただし、日本市場は少子高齢化の影響で縮小傾向にあり、近年は海外に進出する企業も増えつつあります。
この記事では、食品メーカーの年収について詳しく解説します。
食品メーカー社員の平均年収・給料の統計データ
食品メーカー社員の平均年収・月収・ボーナス
食品メーカーで働く正社員の平均年収は、約400万円から500万円前後がボリュームゾーンとされています。
ただし、食品業界には大手メーカーだけでなく、中小零細の企業も多く存在しています。
このため、業界全体としてみると比較的入りやすいとされていますが、企業の規模や知名度によって給与には大きなばらつきがあります。
食品メーカー社員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
食品メーカー社員の平均年収が500万円で、夏・冬のボーナスが合計4ヵ月分支給される場合、手取り月収はおおよそ25万円前後と考えられます。
通常、昇給は年1回、ボーナスは夏・冬の年2回が一般的ですが、企業の業績次第で賞与が支給されなかったり、減額されることもあるようです。
手取り額は実際のボーナスの支給状況や手当の内容によっても変動しますが、大手食品メーカーでは、比較的若い段階からよい収入を得ている社員が多い傾向があります。
食品メーカー社員の初任給はどれくらい?
食品メーカーの初任給は、大卒者(事務系職種)の場合、一般的には21万円から23万円ほどが相場とされています。
食品メーカーでは、学歴によって初任給に差が出ることがあり、大学院修士卒の場合は24万円から25万円ほど、大学院博士卒の場合は28万円から29万円ほどの企業も存在します。
特に理系の知識が求められる研究職の社員は、大学院を修了していることが一般的で、初任給の段階で他の職種よりも高い収入を得ていることがあります。
ただし、その後の給与の伸びには能力や実績が大きく関わってきます。
事務系職種の社員でも成果を上げることで、比較的早い段階で研究職と同等の収入に達することもあります。
食品メーカー社員の福利厚生の特徴は?
食品メーカーの待遇は企業によって異なりますが、一般的には以下のような諸手当が提供されています。
地域手当
超過勤務手当
役職手当
家族手当
住居手当など
また、企業によっては、開発職に従事している場合には開発手当が支給されたり、営業職では個人の成績に応じたインセンティブが追加で支給されることもあります。
大手食品メーカーでは、各種社会保険や退職金制度、財形貯蓄、社員持株会、寮や社宅、保養所などが提供されることが一般的です。
これらの福利厚生制度は、従業員の生活の安定やワークライフバランスの向上を支援するために設けられています。
20代で正社員への就職・転職
食品メーカー社員の給料・年収の特徴
安定した給料が見込みやすい
私たちの生活に不可欠な食品を製造する食品メーカーは、一般的に安定した経営を維持している企業が多いです。
社会全体の景気が悪化しても、食品は基本的な必需品であり、需要が急激に低下することはまず考えられません。
そのため、ほかの職業に比べると業績悪化による給料やボーナスの削減などが発生しにくい業種といえます。
高収入が確約されるわけではないものの、安定した収入を得やすい業種と言えるでしょう。
特に大手企業は平均年収や待遇が高水準であるため、就職先としての人気が非常に高いです。
これは、食品メーカーが持つ市場の安定性や需要の確保が背後にあると考えられます。
職種によっても給与水準が異なる
食品メーカーでは職種によっても給与に違いがあり、例えば研究開発系の仕事では専門的な知識が求められるため、やや高めの収入が期待できる傾向があります。
最も平均年収が高いのは製品研究であり、次いで製品開発が続きます。
これに対比して品質管理・品質保証はやや低めの傾向が見られます。
こうした違いの背景には、研究職では理系の専門的な知識が求められ、開発職も経験豊富な人材が多いことが挙げられます。
これが、これらの職種がやや高い年収水準となっている理由と考えられます。
また営業職でも成果や能力が評価されると、インセンティブが付与されたり、早い段階で昇進することがあり、一部の人は高めの収入を得ているケースも見受けられます。
その他の職種においては、経験年数や実力が給与に影響する傾向があり、大規模なプロジェクトで実績を残すなど、重要なポジションに任命されると大幅な収入増につながることがあります。
食品メーカーの仕事にはさまざまな職種が存在し、それぞれ異なる給与水準が設定されていることを覚えておくとよいでしょう。
年功序列の傾向が強い
もうひとつ、一般的な傾向として、食品業界全体の平均年収は、20代や30代ではそれほど高くないものの、着実な昇給が期待でき、40代以上では年収500万円を超える人が増える傾向があります。
人気商品を多数生み出している大手食品メーカーでは、平均年収が500万円から600万円以上を超えることも決して珍しくありません。
大手食品メーカーは、年功序列の要素が比較的強いため、長期間働けば昇進が期待でき、それが年収アップにつながることが予想されます。
食品メーカー社員が所属する代表的な企業の年収
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
日本ハム株式会社 | 848万円 | 49.6歳 |
明治ホールディングス株式会社 | 1015万円 | 44.9歳 |
味の素株式会社 | 1047万円 | 44.6歳 |
出典:2023年現在(各社有価証券報告書より)
日本ハム株式会社の平均年収
日本ハム株式会社は、食肉分野で首位、ハム・ソーセージ分野にも強みをもつ企業です。
創業は1933年で、その歴史は長く、高品質な食品の提供に力を注いでいます。
ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉製品だけでなく、冷凍食品や弁当、缶詰なども手がけ、多岐にわたる商品ラインナップで人気を集めています。
明治ホールディングス株式会社の平均年収
明治ホールディングス株式会社は、2007年に明治製菓と明治乳業の統合によって誕生した企業です。
乳製品、健康食品、飲料、菓子などを手がけ、乳製品と菓子分野で国内首位のポジションにあります。
特に乳製品やヨーグルト、チョコレートなどで知られ、国内外で高い信頼を得ています。
現在は子会社で医薬品事業も展開しており、健康志向や栄養バランスを重視した商品開発や、先進的な研究開発活動を通じて、消費者に品質の高い製品を提供しています。
味の素株式会社の平均年収
味の素株式会社は、調味料分野における国内最大手メーカーで、世界中で幅広い食品関連製品を提供しています。
1909年に創業され、その主力商品である「味の素」は、アミノ酸調味料として知られ、多くの食品に利用されています。
同社は調味料だけでなく、冷凍食品、加工食品、栄養補助食品、飲料なども手がけ、食品産業のリーディングカンパニーとして国際的に展開しています。
20代で正社員への就職・転職
食品メーカー社員が収入を上げるためには?
積極的な行動でチャレンジする
近年、特に大手食品メーカーでは、市場を開拓し競争力を高めるために積極的に新規事業や新プロジェクトに挑戦しています。
積極的な行動と重要な仕事への参加により、同世代の他の社員を抜いて昇進し、収入アップにつながる可能性もあります。
大手食品メーカーが海外ビジネスに参入することが増えているため、海外事業に対して抵抗感がない人は挑戦できる機会が増え、その結果として評価されやすいようです。
食品メーカーは一般的に安定した経営を続けている企業が多いですが、存在感を示すことが収入を上げるための重要な要素になります。
また、中途採用で入社する場合は、即戦力として期待されることから、前職での経験や業務内容が給与設定に影響を与えることがあります。
地道に経験を積んでスキルアップし、同じ食品業界内での転職に成功して年収アップを実現した人もいます。
円安や値上げを乗り越える工夫をする
2020年の新型コロナウイルスの影響により、外食産業は大きな打撃を受けました。
飲食店は時短や休業に追い込まれ、仕入れ量が急激に減少し、食品業界は大打撃を受けました。
また原材料の多くを海外に頼っている日本は、円安の影響で輸入製品や輸入原材料の価格が上昇しています。
これに伴い、食品業界各社は食品の値上げに踏み切っており、新商品の開発や新たな販路拡大に力を入れています。
今後、日本国内の人口減少の影響を受け、国内市場にとどまることが難しくなりつつあります。
そのため、食品業界ではM&Aによる海外市場への参入が活発に行われてるほか、人手不足からくる人件費や物流費の高騰を抑えるため、IT投資や作業の無人化などを始める企業も増えてきています。
このように円安や値上げを乗り越える工夫を提案することで、自身の存在感をアピールすることができるでしょう。
食品メーカー社員の年収のまとめ
食品メーカーは需要も安定しており、年収も平均的です。
とくに大手食品メーカーでは高額な収入を得ている人もいます。
ただし、近年の原材料の価格高騰などにより、業界全体としては厳しい状況に直面しています。
しかし、食は私たちの生活と切っても切れないものであるため、大幅な落ち込みは考えにくいです。
食品メーカーが人気の業種であるのも、このような安定性を見込んでいるからといえるでしょう。