女性の測量士のキャリアパス・結婚後の生活

女性の測量士の現状

国土地理院の調査したデータによると、測量士全体のうち、女性はわずか3%程度しかおらず、女性測量士はきわめてまれな存在となっています。

測量士は、測量業務のために重い機材を担いで藪の中や山の中を長時間歩き回るなど、体力勝負の仕事であるため、あまり女性向きの職業とはいえません。

また、測量士だけでなく、土木建設業界で女性スタッフは非常に数が少なく、事務を行う女性はいても、女性がメインとなって活躍する職場はほぼありません。

このため、どうしても男性主導で仕事が進みがちであり、女性は自分の意見が通りにくいなど、何かと苦労するケースが多いでしょう。

ただし、そうした性別による格差は年々小さくなっているため、今後はほかの職業と同様、徐々に男女間の平等化が進んでいくものと推察されます。

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女性の測量士の強み・弱み

女性測量士の強みとしては、女性らしい手先の器用さや繊細さ、丁寧さなどが挙げられます。

測量業務に求められる精度はきわめて高く、測量士は日常的に小数点以下の誤差と戦っていかなければなりません。

測量機器をミリ単位で正確に操作できる器用さがあれば、測量士としての大きな武器になります。

反対に女性測量士の弱みとしては、体力的・筋力的な問題もありますが、同時に、屋外作業におけるさまざまな場面で、不便を感じることが多いという点が大きいでしょう。

たとえば、人里離れた山や森ではトイレはないため、男性ならばそのあたりで適当に済ませることもできますが、女性は男性ばかりの周囲の目もあって、なかなか気軽には済ませられないかもしれません。

また、汗をかいたり汚れたりした際にも、その場で着替えるわけにはいきませんし、日焼け対策や紫外線対策、やぶ蚊などの害虫対策といったことも、男性以上に気になることが多いでしょう。

まして宿泊をともなう現場になると、自分だけ一人用のテントを余分に担いでいくか、男性と同じテントで眠るかという選択を迫られることもあるかもしれません。

いま以上に女性測量士が一般的な存在になれば、女性だけでペアを組むなどして、お互いにストレスなく働くことも可能かもしれませんが、現状の男女比率では、それも困難といわざるを得ません。

結婚後の働き方

測量士は、屋外での測量作業、事務所でのデスクワークともに仕事量が多く、早朝出勤や夜遅くまでの残業もざらにあります。

さらに、年始~年度末ごろの繁忙期ともなると、土曜日も日曜日もなく、当面はずっと働きづめになるケースもあり得ます。

せっかく結婚したのに、朝は相手よりも早く出勤し、夜は相手よりも遅く帰宅して、さらに休日も仕事となると、一緒に過ごす時間がほとんどないということもあるかもしれません。

したがって、結婚後も同じように仕事を続けるには、そうした多忙を極める仕事に対する配偶者の理解と、家事の分担が不可欠といえます。

ただ、どうしても厳しい場合は、アシスタントや補助スタッフとして測量データ処理や図面作成といった事務作業だけに専念する働き方も可能です。

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測量士は子育てしながら働ける?

現状、測量士として働きつつ子育てもこなすのは、ハードルが高いといえます。

測量会社や測量事務所の大半はスタッフの少ない小所帯であり、産休中・育休中の数か月間にわたって測量士1人分の仕事の穴を、残された人員だけでカバーし合うというのはかなり困難です。

また、育休期間だけでなく、職場復帰した後も問題であり、寝かしつけや夜泣きに追われて、睡眠不足のまま現場に出るのは危険ですし、また深夜までの残業をこなすことも、育児負担を考えると難しいでしょう。

もしもフルタイムでの仕事を続けるなら、24時間体制で預かってくれる保育所を利用するか、ほぼつきっきりで両親などに子どもの面倒をみてもらうといったことが必要になるでしょう。

あるいは、測量士と業務が近い土地家屋調査士の資格を取得して、フリーランスとして自宅で仕事をするなど、思い切ってキャリアチェンジする方法も考えられます。

測量士は女性が一生働ける仕事?

極端に女性が少ない測量士は、体力的な負担の重さを抜きにしても、結婚や出産、育児といったライフイベントに理解のある職場が少ないため、女性にとっては厳しい職業といえます。

とくに土木業界の年配社員や工事業者のなかには、いまだに「女性は家庭が最優先」という固定観念を押し付けてくる人もいるのが現実です。

女性測量士は、働きにくさを感じたり、不愉快な思いをすることも多いかもしれません。

しかし、測量士は難関資格であり、近年は人手不足の影響もあって求人需要は十分にあるため、たとえ理解が得られず、出産や育児でキャリア中断を余儀なくされても、子育てがひと段落した後に復職することは容易です。

また、仕事の半分はデスクワークですから、知識を生かして事務だけに専念したり、あるいはほかの国家資格と組み合わせたりして独立する方法もあるでしょう。

測量士は、労働時間が長く、ハードワークが必要になる職業であることは間違いありませんが、創意工夫することによって女性が一生続けていくことも可能です。