大学学部の種類・一覧 - 28学部について解説
大学進学をする場合、「どこの大学へ進むか」と同時に考えなくてはならないのが、「どの学部を選択するか」ということです。
日本の大学には、多彩な分野について専門的に学べる学部がたくさんありますが、大学によって設置されている学部は異なります。
まずは各学部でどのようなことを学べるのかを知り、自分が進学したい学部をイメージするとよいでしょう。
学部一覧
各学部の概要
文学部
文学部は、人類が脈々と受け継いできた思想、歴史、言語について研究する学部です。
扱う学問領域は幅広く、言語学、倫理学、思想史、人類学、哲学など、人類文化に関わる一切のことが文学部の研究テーマになります。
人間や世界について深く探求し、そこで得た学びを次の時代に向けてさらに発展させていくことを目指します。
教育学部
教育学部は、教育のあり方について研究する学部です。
教員になるために必要になる基礎知識はもちろんのこと、教育制度や児童心理といった、教育者として必要な知識全般を学びます。
将来は小学校、中学校、高校の教員になる人が多く、複雑化する現代社会において、広い視野を持って活躍できる教育者の育成を目指します。
社会学部
社会学部は、私たちの社会で起きている身近な問題や、その根底にある原因について研究する学部です。
世の中のあらゆる事象が研究対象になり、東洋・西洋社会史、民俗学、文化人類学、社会心理学、マスコミ論などを扱うことが多いです。
戦争や紛争などの事柄や、個人と社会との関わりについて学ぶことができます。
人間科学部
人間科学部は、人間の身体と心について探求することで、「人間とは何か」を研究する学部です。
心理学や社会学、さらにスポーツ科学や教育問題など、さまざまな側面から考察・研究を行うことが多く、学際的な学問といえます。
現代社会で自立して生きられる人材の育成を目指し、新たに設置されることが増えている学部のひとつです。
心理学部
心理学部は、科学的な方法を用いて、人の心のしくみや働きについて学ぶ学部です。
心理学は文系学部のなかでも女子学生が多めの傾向であることや、専門性が高いことが特徴です。
将来的にカウンセラーやケースワーカーなど心理学の知見を生かした仕事に就いたり、大学院へ進んで研究職になる人が多くいます。
外国語学部
外国語学部は、外国語を高いレベルで使いこなし、その言語が使われている地域の文化・歴史に対する造詣を深める学部です。
専門の外国語について、文法や発音はもちろんのこと、音声学や社会言語学、認知言語学といった言語に関する幅広い勉強をします。
外国語スキルを強みに、グローバルに活躍できる人材の育成を目指します。
国際学部
国際学部は、国際社会における国と国との関係性のありかたを学ぶ学部です。
大きく「政治」「経済」「文化」の3分野について扱い、自国と外国とのより良い関係性を考察・研究します。
グローバル化が進むにつれ、大学で「国際関係学部」「国際教養学部」「国際文化学部」などの国際系学部が設置されるケースが増えています。
法学部
法学部は、人間社会の規範である法や法律を学ぶ学部です。
法律そのものが生み出される原理や、法律によって社会問題をどのように解決していくのかといった考え方、判断力も身につけます。
法律の研究と教育を通じて、法曹やパラリーガル、企業の法務担当者など「法律学のスペシャリスト」の輩出を目指します。
経済学部
経済学部は、世の中のお金の流れやその影響について学ぶ学部です。
お金の取引や、モノの売買についての流れを理解しながら、その総体としての経済を理論・政策・歴史の3つの切り口で研究します。
経済学は古くからある実学のひとつであり、多くの大学で設置されていることが多い学部のひとつです。
経営学部
経営学部は、市場の担い手である企業の管理や経営手法について学ぶ学部です。
経営資源である「人・モノ・カネ・情報」をどう活用して利益をあげていくか、といった経営の本質的な考え方を学びながら、会計・金融・戦略の理論を身につけます。
卒業後は民間企業で働く人が最も多く、就職先の業種は多岐にわたっています。
商学部
商学部は企業と消費者を結びつけるビジネスそのものを学ぶ学部です。
商品・サービスが生産から流通チャネルを通して、どのように消費者に渡っていくのかという一連の流れを研究対象とします。
ビジネスの仕組みや企業運営の具体的な流れなど、実学としてのビジネスに対する興味関心から商学部を志す人が多い傾向があります。
理学部
理学部は、さまざまな自然現象を理論的に解明・証明し、自然科学について探求していく学部です。
高校までで学んできた数学・物理・化学・生物などの理数系科目をさらに深め、より専門的に学びます。
知的好奇心を持ちながら社会や地球上で起こる諸問題への解決策を模索し、科学の発展に貢献できる人材の育成を目指します。
工学部
工学部は、自然科学や数学の知識をもとに、社会に応用できる技術を追究する学部です。
「今あるものをどう応用し実用に結びつけるか」を考えるのが工学部のテーマであり、機械工学、電気工学、情報科学、物質工学などの専門分野に分かれます。
ものづくりの現場などで、技術革新に貢献できる技術者・研究者の輩出を目指します。
情報学部
情報学部は、情報が発生・活用されるあらゆる過程について学ぶ学部です。
情報学は社会的側面とシステム的側面の両方からのアプローチがあり、コンピュータネットワークやプログラミング技術、情報社会学やメディア論などまで幅広く学びます。
情報学の多面的な理論や方法論を身につけ、ITで社会問題を解決する人材を養成します。
医学部
医学部は、医師をはじめとする医療人に必要な知識・技能を学ぶ学部です。
講義は専門性の高い内容となっており、6年間かけて基礎医学から臨床医学をはじめ、生命倫理や医療に関する法などに関しての学びも深めます。
将来は臨床分野ではなく、新たな医療の可能性を探る研究分野へ進む人もいます。
薬学部
薬学部は、医薬品の効果や効能、製造方法、管理・供給方法などについて詳しく学ぶ学部です。
おもに薬剤師や薬学の研究者を目指す人が在籍し、薬学基礎から有機化学、物理化学、生物化学、製剤学など、専門的な内容を幅広く学びます。
薬学部では、選択する学科によって、4年制の場合と6年制の場合があります。
歯学部
歯学部は、歯学医療に関する知識・技能を学ぶ学部です。
歯科医師国家試験合格を目標とし、6年間の教育を受けながら歯科医師として必要な専門的知識・技能を身につけます。
多くの人が歯科医院や大学病院への就職を目指しますが、なかには歯科医学の専門分野を突き詰める研究職になる人もいます。
看護学部
看護学部は、人をケア(看護)していくために必要な知識・技能について学ぶ学部です。
将来は看護師を目指す人が大半で、幅広い教養科目に加え、医薬、心理学、福祉、教育など、看護学と関連する多様な領域に関する学びを深めます。
日々進歩する医療の世界で、時代の看護ニーズに対応できる人材の育成を目指します。
保健学部
保健学部は、人間の健康を保つため、おもに予防医学について学ぶ学部です。
医学や薬学と深い関わりを持ち、衛生保健学、保健・環境科学、保健・栄養学などを専門的に学びます。
選択する科目によって、医療・保健・福祉分野に関連するさまざまな国家資格取得が可能であり、これらの分野で活躍するスペシャリストを目指すことができます。
福祉学部
福祉学部は、人間が人間らしく安心して暮らせるようにするための、社会環境や制度のあり方について考える学部です。
日常生活を送ることが困難な人にあらゆる対し、適切な援助ができるプロフェッショナルを育てます。
将来は「介護福祉士」や「社会福祉士」といった福祉分野の仕事を目指す人が多く、社会福祉の専門家としての活躍が期待されます。
獣医学部
獣医学部は、動物の病気の診断・予防・治療について学ぶ学部です。
獣医学で扱う内容は人間以外の動物を対象としていますが、基礎医学や薬学、生物学といったように、医学部と重なることも学びます。
カリキュラムは6年間で、卒業後は獣医師国家資格を持って獣医師として働く人が大半です。
生物学部
生物学部は、自然界の生命の本質とあり方について研究する学部です。
生物学では、細胞や分子レベルのミクロの世界を研究することもあれば、生態について地球規模で研究することもあります。
バイオテクノロジーなど最先端の研究もなされており、医療、環境、農業、畜産といった幅広い分野で活躍できる人材の育成を目指します。
農学部
農学部は、作物と社会・人間との関わりを総合的に扱う学部です。
農作物の品種改良や病害虫対策といった栽培方法のほか、農業を事業として成立させるための農業経営、また食糧の観点から生物や環境を論じる資源生物科学など、その研究領域は幅広いものとなります。
卒業後は、食品や農業などの分野で活躍する人が多い学部です。
栄養学部
栄養学部は、食品や食品の持つ栄養について研究する学部です。
「食物」「栄養」「調理」などの観点で食をさまざまな角度から見つめ、食を通じて健康的な生活を提案したり、社会福祉に貢献できる人材の育成を目指します。
女子大学に設置されていることも多い学部のひとつです。
家政学部
家政学部は、「衣」「食」「住」を中心とする家庭生活の事柄を学ぶ学部です。
ファッション、食物、住環境やインテリア、保育・児童教育など扱う領域は多岐にわたり、さまざまな視点から現代の社会問題を科学的に分析します。
女子大学に設置されていることが多く、共学の大学においても女子学生の割合が圧倒的に多い学部です。
美術学部
美術学部は、芸術のなかでも美術に関する教育・研究を専門的に行う学部です。
美術の歴史をはじめ、創作に必要な技法やものの見方、作品を読み解く力、感性・表現力などを身につけます。
画家などの「作り手」だけではなく、評論家や、次世代の芸術家を育成するための教育者を育てることも美術学部の目指すところです。
体育学部
体育学部は、体育・スポーツ・武道の各分野について学ぶ学部です。
運動能力の向上や各種スポーツの知識・技術の習得はもちろんのこと、スポーツ医学やスポーツ経営学など多彩な分野にわたる研究を専門的に行っていきます。
おもにアスリートやスポーツ指導者、体育の教育者を輩出することを目指す学部です。
音楽学部
音楽学部は、音楽の芸術性について理論と技能の両面から学ぶ学部です。
音楽に関する理論や音楽の歴史について学ぶと同時に、声楽や器楽、指揮といった実技のレッスンも行われます。
高度な演奏技術や豊かな表現力を備え、広く社会の文化発展に寄与できる音楽家や、音楽の教育者の輩出を目指します。
ここでは、日本の大学の代表的な学部を紹介してきました。
なお、大学によっては学部の名称が多少異なる場合(例:「社会科学部」など)や、複数の学部が融合しているような場合(例:「政治経済学部」「理工学部」など)もあります。
また、同じ学部であっても、大学ごとに教育・研究に力を入れている領域に違いがある場合があります。
学べる内容の詳細は、各大学のカリキュラムや授業科目などをよく確認してください。