社会学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
社会学の概要・理念
社会学は人間社会における現象全般を研究対象とする学問です。
研究対象は社会における個人の問題から国家レベルの課題まで非常に幅広く、私たちが暮らす社会で起きている現象はほぼ全てが研究対象となると考えていいでしょう。
たとえば家族は社会の最小単位と言われるように、家族の中で生じるさまざまな現象や問題は社会学で扱われるテーマの1つです。
他にも、都市、地域、産業といった多彩な切り口で、社会現象を研究します。
世の中で当たり前と思われていることを改めて問い直し、問題を提起するとともに、調査を通じてデータを収集し検証することを通じて、体系的に人間社会の法則や理論を見出し、解釈します。
このように、社会学は実証科学の1分野と見ることも可能と言われるほど、調査による実証を重視する学問です。
こうした研究を通じて、現代社会が抱える課題に対する解決策を摸索したり、将来にわたって問題が深刻化するのを未然に防ぐための策を提唱したりすることを目指します。
社会学で学ぶこと
社会学の研究は、講義、調査・統計、フィールドワークの3本柱で行われます。
講義では社会学の代表的な理論や社会学の歴史について学んだのち、メディアで報道されているような今まさに起きている事件や社会問題についてレポートを作成したり、議論を重ねたりしていきます。
調査・統計では、実際に意識調査を行いデータを収集するとともに、集めたデータをコンピュータを用いるなどして解析し、統計データから全体の傾向や特徴を見出します。
フィールドワークは実地調査のことで、自分が立てた仮説を実地において検証したり、統計から導き出された結論が実社会で実証され得るものかどうかを確認したりすることが主な目的です。
このように、社会学においては文献から得る知識だけでなく、実証を重視している点が大きな特徴です。
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社会学の大学での授業科目の例
マスコミ論
マスコミによる報道内容や情報の受け取られ方など、マスコミ全般についての研究を行います。
産業社会学
企業と従業員との関係など、産業における組織と人、集団といったテーマを中心に探求します。
家庭社会学
家庭内を1つの社会と捉え、そこで生じている問題やその解決策について考えます。
都市社会学
都市における騒音や住宅過密、地価高騰といった諸問題の実態調査と解決策について論じます。
環境社会学
環境汚染や自然破壊といった人間社会がもたらす諸問題に対し、その原因と影響、対応策を研究します。
社会学のレポート・テーマの例
社会学が研究対象とする範囲は極めて広いことから、レポートのテーマも非常に多岐にわたっています。
SNSでのトラブルやブラック企業問題など、メディアで報道されているタイムリーな話題もテーマとして取り上げられているのが特徴です。
- ・フェイクニュースの実態と対策
- ・若者にとっての「自分らしさ」とは
- ・オリンピックと環境問題
- ・ ブラック企業問題と雇用環境
- ・外国人留学生の就職問題について
社会学と関連する学問
社会学では社会に関する広範な研究が行われますが、もともと古くから経済学や経営学、法学といった各分野で専門的に研究されていたことを、より実証的なアプローチで研究することを目指しているのが特徴です。
そのため、社会学と関連性が全くない学問を探すほうが難しいほどです。
とくに経済学や経営学、法学、福祉学、文学、歴史学といった分野との関連性が高く、研究内容によっては各分野の文献や先行論を参考にするケースもあります。
社会学を学んで就職に有利な業界・仕事
今まさに起きている問題について深く考察してきた経験を活かして、記者や編集者といったマスコミ関係の仕事を希望する人が比較的多いのが特徴です。
ただし、社会学の研究を通じて体得した知識と経験は実社会での活動と親和性が高く、マスコミに限らずあらゆる業界・職種で活かすことができるでしょう。
マーケティングに関わる仕事に就く人も多い傾向があり、フィールドワークで調査を行ってきた経験がマーケティングの実務に役立つこともあるようです。
近年ではコンピュータによる情報処理を取り入れた研究手法も増えているため、統計データの扱いや調査結果の処理方法に関する知識・スキルを社会に出てからも役立てられる場面が多々あるはずです。
就職活動においては、実社会においてリアルタイムで起きている事件や社会現象を研究テーマとして取り上げていることから、世の中に対して開かれた視野や見通しを持つことのできる人材として見てもらえる可能性が高いでしょう。
社会学の知識は人生でどう役立つ?
現代は新聞やテレビといったマスコミだけでなく、WebサイトやSNS、動画配信などを通じてあらゆる人が個人メディアとなって情報を発信できる時代です。
大学を卒業後も、日々さまざまなニュースに触れ、膨大な情報を適切に処理・判断しなくてはならない場面に遭遇することに変わりはありません。
社会学はこうした事件や社会問題について深く考察し、実地調査などを通じて客観的な検証を試みる学問です。
世の中に氾濫する情報をそのまま受け止めるのではなく、自分なりに考察をくり返し、偏りのない客観的な視点から捉えるためのトレーニングを重ねてきた経験は、人生において広い視野と見識を持って物事を思慮深く判断していくことに役立つでしょう。
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