歯学とは? 大学で学ぶことや就職先は?





歯学の概要・理念

歯学とは、歯をはじめ口腔内や顎など、口の周りの健康状態を改善するとともに、病気の予防や治療を行うための研究を行う学問です。

人が生命を維持するためには、食物を摂取する必要があります。

食物を適切に咀嚼し、消化するためには、歯や顎の噛み合わせが機能していることが重要になります。

そのため、歯学ではう蝕(虫歯)によって正常に噛めなくなっている歯や、痛みを伴う症状を正常な状態にするための治療を行う方法を研究します。

また、顎の噛み合わせは全身の不調にも影響することが、さまざまな研究から明らかになりつつあります。

こうした全身の健康に関わる口腔内の健康を維持することが、歯学の大きな使命の1つといえるでしょう。

年齢を重ねるにつれて、自分の歯でものを噛み、味わうことができるかどうかはQOLに大きく関わる重要な要素となります。

今後、ますます高齢化が進む日本において、人々の健康維持やQOLの向上に寄与する学問として、歯学が果たす役割はいっそう大きくなっていくと考えられます。

歯学で学ぶこと

歯学は「基礎歯学」と「臨床歯学」の2つの分野に分けられます。

基礎歯学には口腔解剖学や口腔生理学、口腔微生物学などの分野があり、口腔内の構造や機能について詳しく学びつつ、臨床歯学を学ぶための土台となる知識を習得することを目指します。

臨床歯学では、歯科医院で行われている治療を行うための実践的な知識や技能を学びます。

虫歯の治療や歯周病の治療、顎のかみ合わせをはじめ、削ったり抜いたりした歯の機能を義歯(入れ歯)やクラウンを使って修復する技術を習得します。

診断においてX線撮影を行う技術を学ぶ歯科放射線学、顎の骨に歯根を埋め込むインプラントといった、歯科医師として治療にあたる上で求められる専門的な知識や技能を学ぶこともあります。

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歯学の大学での授業科目の例

口腔解剖学

口腔顎顔面領域における器官の形態や構造、血管や神経の走り方など、歯学を学ぶ上での基本となる知識を習得します。

口腔細菌学

口腔内に存在する微生物と、それらに対する生態防御機構について学び、治療や診断に役立てることを目指します。

補綴学

義歯やクラウン、ブリッジといった人工物を用いて、削ったり抜いたりした歯を修復する技術について学びます。

歯科矯正学

歯や顎骨を人為的に移動させることで、不正咬合を矯正し機能の回復を図るための技法について研究します。

歯科薬理学

薬学のうち、口腔分野に関わる抗菌薬・抗ウイルス薬を用いた薬物療法や、薬物アレルギーに関する知識を習得します。

歯学のレポート・テーマの例

大学においては、年次が上がるにつれて専門領域の研究が増え、臨床実習を通じて実際の治療技術を習得するための授業の割合が高くなっていきます。

レポートに関しても、患者の症状を緩和させるために役立つ知見や、治療技術の向上のために欠かせない知識についてまとめるものが多く見られます。

  • ・口臭症の診断と治療システムについて
  • ・人工ガムによる咀嚼機能評価
  • ・ブラキシズム制御について
  • ・インプラント材料の細胞毒性
  • ・口腔と全身の健康の関連について

歯学と関連する学問

歯学は「歯」に関する学問と思われがちですが、咬合が消化や姿勢など全身の健康に大きく影響を及ぼしていることから、医学との関連が深い分野といえます。

歯科の治療において用いられる薬剤については歯科薬理学で学びますが、これは薬学の一分野ですので、薬学の知識も求められると考えていいでしょう。

広い意味においては、人体の構造をはじめ細菌やウイルスの知識も求められますので、生物学や化学の基礎的な知識は持っていなくてはなりません。

このように、歯学は多くの分野の学問と関連しており、総合的な知見をもって歯科治療にあたるための研究分野なのです。

歯学を学んで就職に有利な業界・仕事

歯学を学んだ人の大多数は国家資格である歯科医師免許を取得し、歯科医師となります。

歯科医師免許を取得後は、歯科医院やクリニック、総合病院の歯科などに勤務することになります。

勤務医としてやりがいを持って働く人も多い一方で、自ら開業し歯科医院を経営する人もいます。

こうした職場で歯科医師として就業するには、歯科医師免許が必須です。

そのため、歯科医師免許を取得することにより歯科医師として一定の需要はあるといえるでしょう。

ただし、近年では歯科医院の数が増え、コンビニよりも多くの歯科医院があると言われるほどになっています。

患者に信頼され、治療の評判が高い歯科医師になるには、知識だけでなく技術が必要になります。

また、とくに歯科医院を開業する場合、患者との接遇や経営手腕といった、歯学以外の知識も求められます。

このように、歯学を学ぶことで歯科医師になることはできるものの、長く歯科医師として活躍し続けていくには、働き始めてからも勉強を続けることが不可欠となっています。

歯学の知識は人生でどう役立つ?

超高齢化社会へと突入しつつあるわが国において、よく耳にするようになった言葉の1つに「健康寿命」があります。

長生きすることに加えて、健康で元気に生活し、できるだけQOLを維持していきたいと考える人が増えているのです。

歯に関するトラブルは年齢を重ねるにつれて増えていきますので、「8020」(80歳で自分の歯を20本残すことを目指す標語)と言われるように、歯の健康を気に掛ける人は今後ますます多くなっていくことでしょう。

歯学の知識や技能は、こうした社会のニーズに直接的に応えることができると同時に、自分自身の歯の健康を考える上でも大変役立ちます。

健康のために食べること、おいしさを味わって食べることは、全ての人にとって一生涯関わり続けるテーマなのです。

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