文学部で学ぶこと、学科、志望理由、就職先(読了時間:14分6秒)

人類が築いてきた文化全般を学問として研究する

文学部とは

文学部は、人類が脈々と受け継いできた思想、歴史、言語について研究する学部です。

文学という学部名ですが、扱う学問領域は文学に留まりません。

より広い意味で、人類文化に関わる一切のことが文学部の研究テーマになります。

そのため、文化や歴史、思想に対する理解を深めるための授業が幅広く行われます。

一例として、言語学、倫理学、文学、歴史、思想史、人類学、哲学などが扱われます。

読書が好きなので文学をより深く探求してみたいと考えて文学部を志望する人や、歴史や民俗学などに興味を持ち専門的に研究してみたいという思いから文学部を志望する人もいます。

文学部は女子学生の割合が高めということもあり、全体的に他学部よりも静かで落ち着いた雰囲気のことが多いです。

学科によっては、変わり者と思われるような個性的な人が多いこともあるようです。

就職先についても、理系の学部のように学んだことを実務で活かすというわけではなく、直接的に関係のない仕事を幅広く選ぶ傾向があります。

社会に出て直接役立つ実学ではないことから就職に不利と言われることもありますが、実際には出版社などのマスコミ、メーカー、サービス業、金融など、幅広い分野で文学部の卒業生が活躍しています。

文学部で学び人間や社会に対する理解を深めることによって、社会に出てから必要とされる人間力を高めておくことにもつながるでしょう。

文学部の理念

文学部の「文」とは小説などの文学だけでを指すのではなく、学問・学芸・文学・芸術など文化全般のことを指しています。

過去から現在に至るまで、人類はその営みの中で数多くの作品や著書を通じて記録を残してきました。

それらについて、さまざまな角度から考察することにより、人間や世界について深く探求し、そこで得た学びを次の時代に向けてさらに発展させていくことを目指します。

人間の文化的な営みに迫り、深く探求していくことは、「人間そのもの」について考えることとでもあります。

人間そのものについての考察には終わりがなく、深淵なテーマではありますが、それだけに学問として打ち込む面白さがあるとも言えます。

文学部で学ぶこと、勉強すること、授業内容、卒論

文学部で学ぶこと

文学部の学問領域は非常に幅広いです。

なぜなら、人間や社会のあり方を追究していくにはさまざまな切り口があるからです。

小説や詩歌などの文学作品だけではなく、歴史、哲学、社会学、心理学など人類の文化に関するあらゆる事象が研究テーマになり得ます。

古くから脈々と続いてきた人間の営みや、人間の行動について探求するために、幅広い教養も求められます。

近年は世の中の変化が激しい時代になっていますので、自己をどのようにとらえ保っていくのかは、社会に生きる誰しもが抱えているテーマと言えるでしょう。

人間について深く考察した経験を礎に、高い人間力を身につけ、自らの「軸」を持つことによって、人生をより豊かに生きられるようになるはずです。

文学部の授業内容

文学部の授業内容は広範囲にわたりますが、大きく分けると思想系、歴史系、言語系、行動系の4つに分類できます。

思想系の授業では、哲学や倫理学、宗教学などが扱われます。

歴史系の授業では、歴史学や考古学、美術史、思想史などが扱われます。

思想系、歴史系については、どのような研究テーマを選択する場合にも基礎的な教養として必要になることが多いため、一般教養の授業で必修科目としている大学も見られます。

言語系では、文学や日本語学などが扱われます。

古書から現代文学まで、幅広いジャンルが研究対象となります。

行動系の授業では、社会学や心理学など、他の学科と隣接する内容を扱うこともあります。

文学部の卒論の例

  • 『河童』と芥川龍之介の死について
  • 太宰治『皮膚と心』論 ——文学おける身体性とは何か
  • 『源氏物語』の視覚的表現
  • 「鬼」に関する考察
  • 体罰に関する報道の変遷
  • SNS利用と承認欲求の関連性
  • 古墳副葬鉄鏃についての研究

文学部で学んだことの口コミ

  • 納得いくまで調べたり追究したりしたことで、深掘りして考える癖がついた。
  • 言語学を学び、日頃から言葉を大切に扱うようになった。
  • ゼミで自分と異なる考えに触れ、多様な価値観を受け入れるトレーニングになった。
  • 人間というものについて深く考えた時期を持ったことで、物事を大枠で見られるようになった。
  • 心理学を学び、日頃から人の心の動きを客観的にとらえるようになった。
  • 大量にレポートを書いたので、社会に出てから報告書や資料の作成が苦痛に感じなかった。
  • 有名な作家や文学作品の話題についていけるので、経営者や企業の幹部クラスと共通の話題ができた。

文学部の主な学科・分野と概要

国文学科

日本で誕生した文学作品(古典から近現代まで)を研究し、作品世界や思想、文化的背景、作家論などについて考察します。

哲学科

西洋哲学思想、あるいは東洋哲学思想について研究しながら、社会で起こっているさまざまな問題の原理や本質を見抜き、論理的に表現する方法を学びます。

史学科

日本史、東洋史、西洋史について研究します。
各地域の史実やその意義を研究しながら、政治や社会構造、文化の歴史的特質を探っていきます。

地理学科

日本や世界の各地域における自然環境(地形・気候・海洋など)の成り立ち、自然・文化・産業の地域性など、人間生活と土地に関わるあらゆることについて探求します。

英文学科

古典から現代の英文小説・詩・戯曲などを読み解き、それらを生んだ文化的・歴史的な文脈を研究します。

心理学科

現代においても完全に解明されていない「心」のメカニズムや発達過程などについて理解を深め、心と体の相互作用や、人間の行動について科学的に研究します。

文学部で学ぶ学問分野・概要

文学部には、大きく分けて言語系、思想系、歴史系、行動系などの分野があります。

言語系

国文学
日本古来の古典文学や、国内で誕生した近現代までの文学作品について研究します。

英文学
英語で書かれた小説や詩、戯曲などの文学作品について研究します。

日本語学
言語としての日本語を、音声や文字、文法といった観点から分析・研究します。

思想系

哲学
紀元前から続いてきた哲学の歴史や学派、思想について深く探求します。

倫理学
道徳哲学とも呼ばれ、物事の道徳的な評価について考える哲学の分野です。

宗教学
世界の多様な宗教とその歴史的背景について研究し、文化をより深く理解していきます。

歴史系

日本史
日本の歴史について、出来事や人物などを研究テーマとして深く探求します。

東洋史
中国をはじめその周辺の国々諸国の歴史について研究します。

西洋史
ヨーロッパの歴史を中心に、古代から近現代までを対象として研究します。

美術史
日本美術史、東洋美術史、西洋美術史があり、各地域の美術の歴史について考察します。

行動系

心理学
人の心と行動の関係性を捉えるために、人間の知覚や記憶、思考について研究します。

社会学
文化全般に関わる社会の出来事や課題について考察します。
大学によっては社会学部として、文学部とは別の学部になっていることもあります。

文学部で目指せる主な資格

・教員免許(国語、社会、書道)
・学芸員
・図書館司書
・社会教育主事
・社会福祉主事

文学部で4年間学び、所定の単位を取得することで取得可能な資格に教員免許があります。

その他の資格についても、取得のために必要な単位を取ることができますので、文学部で資格取得を目指すことは十分に可能と言えます。

文学部の大学選びのポイント

文学部は大半の大学が設置している学部ですので、文学部志望の人は幅広い大学から進学先を選ぶことができます。

まず、希望している学科が文学部にあるかどうかを必ず確認しておきましょう。

同じ学科名でも、指導する教授によって研究対象が異なることはめずらしくありません。

シラバスを参考にするなどして各大学の研究内容を調べるか、卒業生の卒論テーマを参考にするなどして、興味がある研究テーマがありそうかを確認しておくようにしましょう。

文学部の入試方法・受験科目

文学部の入試では、他の学科と同様に筆記試験が行われます。

研究が始まると膨大な文献に目を通す必要がありますので、国語・英語・社会を中心に読解力や思考力を問われる問題が出題されます。

近年では、論理的思考力を重視する大学が増えてきたこともあり、文学部でも受験科目に数学を選択できる場合もあります。

また、大学によっては国語の筆記試験とは別に小論文を課していることもあります。

このように、文学部の中でも大学によって受験科目が異なる場合がありますので、併願する場合は同じ受験科目で受けられる大学を選んだほうが有利です。

文学部の学費

文学部の研究は理系学科のように特別な研究費用を必要としないことから、他学科と比べても平均的な学費の大学が多くなっています。

一例として、
明治大学文学部では1年次に1,294,000円(入学金200,000円、授業料821,000円、専攻指導料45,000円、教育充実料208,000円、実習料5,000円、諸経費15,000円)、4年間で4,636,000円 といった学費になっています。

なお、学科によっては実習の機会があり「研究実験費」といった費用が必要になる場合もあります。

文学部の志望理由、例文、面接

文学部の志望動機

文学部は扱う領域が多岐にわたるため、志望する学科によっても志望理由は変わってきます。

ただし、多くの人の志望理由には、「人間そのものや、人間が生み出してきた思想や文化、歴史などについて知りたい」という気持ちが含まれているようです。

そのうえで、世界の歴史が好きな人は史学科、人の心に興味があるといった人は心理学科といったように、志望学科が絞り込まれていきます。

文学部で学ぶあらゆることは、人間の営みについて理解し、人間と社会の関係性を紐解いていくことにつながります。

まだ自分自身のことがよくわかっていないという人が、自己の価値観や生き方を見出すために、文学部へ進むこともあります。

文学部の志望動機の例文

私は中学時代から太宰治の作品を読んできました。

作品中の記述と史実との間に微妙な食い違いが見られることがあると知り、作者が意図してそのように書いたのか、興味を惹かれるようになりました。

戦前から戦後にかけての激動の時代を、文学を通して描いてきた太宰文学を追究することは、変化の激しい現代を生きる上でも必ず参考になることがあると考えます。

大学入学後は近現代文学の研究に取り組み、太宰やその同時代の作家についてより深く研究したいと考えています。

文学部のAO・推薦入試の面接で聞かれること

文学部は実学を学ぶための学部ではありませんので、多くの人は資格取得など実利的な理由から文学部を志望するのではないはずです。

よって「なぜ文学部なのか」という志望理由の部分が、面接において最も重要になります。

主に学科の研究内容について、興味を持ったきっかけや、入学後に取り組んでみたい研究について話せるようにしておきましょう。

大学のシラバスや卒業生の卒論テーマを調べておき、自分が取り組みたい研究ができるかどうかを事前に確認しておくことも大切です。

ユニークな研究をしているゼミがあれば、そのゼミを受講したい、ということも志望動機の1つになるはずです。

文学部の志望理由の口コミ

  • もともと読書が好きで、文学作品をもっと深く掘り下げて読み解きたかったから。
  • 興味のある作家がいて、その作家のことを4年間かけてじっくり研究したかったので。
  • 歴史に興味があるので、大学では歴史を専門に研究したいと思っていたから。
  • 人の心を扱う心理学を学ぶことは、将来的に周囲の人とうまくやっていくのに役立つと考えたから。
  • 国語の先生になることが夢で、大学では国文学科に進むと決めていたので。

文学部の雰囲気・男女比

文学部は、他学部と比べると女性の割合が比較的多い学部のひとつです。

学部全体の5割〜7割程度を女性が占める大学が多いようですが、男性もまったくいないというわけではありません。

学科によって男女比は異なり、国文学科や美術史学などの学科は女性が多めになりやすいのに対して、歴史系の学科だと男性のほうが多くなりやすい傾向があります。

学問の特徴柄、物事をじっくりと思考することが好きな人が集まりやすいため、比較的穏やかなな雰囲気があります。

文学部を志望する学生は多く、とくに総合大学では文学部だけで数千人単位の学生が在籍しているため、多様な人が集まりやすいといえるでしょう。

学科によっても男女比や雰囲気が異なることが特徴です。

文学部の雰囲気・男女比の口コミ

  • 読書量が飛び抜けて膨大な人がときどきいて、読んできた本の量に圧倒された。
  • 1つのことを突き詰めて研究するためか、凝り性というかややオタク気質の人も多かった。
  • 知識が豊富で話が面白い人もいて、男女関係なく仲が良かった。
  • 学部全体の学生数が多いので、ゼミに分かれてからも活気があった。
  • 派手な印象を受ける人もたまにいるが、全体としては落ち着いていてきちんとしたタイプの人が多い。

文学部の楽しいこと・大変なこと・つらいこと

文学部は経済学や経営学といった実学とは異なり、関心のあるテーマを突き詰めて探求していくことを目的としています。

答えのない深淵なテーマに時間をかけてじっくり打ち込むことができることが、文学部で研究に取り組む上での大きな利点の1つと言えるでしょう。

ただし、実学ではありませんので、研究したことが何かに直接的に役立つわけではない場合が多いのも事実です。

そのためか、他学部と比べて就職に不利になると言われたり、役に立たないことをやっていると言われたりすることもあるようです。

しかし、文学部は実学が大学に根付くよりも前から存在する学部です。

学問の奥深さに触れ、アカデミックな世界で思考トレーニングをした体験は、卒業後も必ず役に立つ場面があるはずです。

文学部の楽しいことの口コミ

  • 自分が好きなこと、興味があることをとことん追究できる。
  • 読書そのものが研究に役立つので、読書好きには最適な学部。
  • 抽象的なことや形而上的なことを時間をかけてじっくりと考えられる。

文学部のつらいことの口コミ

  • 実学ではないので「役に立たない」と言われることがある。
  • 入学前、在学中を通じて、就職のとき不利になるとよく言われた。

文学部の口コミ一覧

文学部の就職先、業界、目指せる職業・仕事、進路

文学部の就職先

文学部出身者の就職先はさまざまです。

マスコミ、出版、サービス、メーカーなどや、なかには公務員試験を受けて国家公務員や地方公務員になったり、大手企業、一流企業といわれるところで活躍したりする人もたくさんいます。

文学部の就職の状況と需要

文学部で学ぶ内容は「実学」ではないためか、「就職に弱い」「社会では役に立たない」と言われることもあります。

しかしながら、文学部でじっくりと学びを深めて社会と人間の関係性を理解し、人間力を高めていった経験は、卒業後に厳しい社会で生きていく上での大きな力になるでしょう。

企業としても、理系分野のように専門知識をすぐに実務で生かして欲しいというわけではなく、人間力を強みに各業界で頭角を現し、将来的にプレイヤーやマネージャーとして活躍するポテンシャルを持った材を求めています。

文学部の就職以外の進路

大学卒業後に大学院へ進学して研究者への道を目指す人もいます。

理系の学部の中には修士や博士まで進むことが前提になっている学部も少なくありませんが、文学部は学士修了で卒業する人が大半です。

大学院に進学するとなると、最も有力な進路としては研究職になるでしょう。

また、大学院でさらに専門性を深め、学芸員や司書として活躍する人もいます。

文学部の大学院の就職先、就職状況

文学部の大学院は研究職を目指すためのもので、就職はより不利になると言われることがあります。

たしかに、学士で応募可能な就職先であれば、わざわざ院卒生を積極的に採用するわけではない企業も多いはずです。

文学部で大学院に進み、就職するとすれば、学芸員や図書館司書などが専門性を活かせる仕事が現実的な進路でしょう。

ただし、たとえば専門書の出版社のように専門性の高さが求められる職種の場合は、院卒生の初任給を学士卒生の入社3年目程度の待遇で採用することもあります。

したがって、「文学部の院卒生は就職が不利になる」というよりは、「文学部の院卒生を求めている就職口をよく探すことが重要」のほうが、より実態に近いと言えるかもしれません。

文学部の就職の状況の口コミ

  • 就職に直結する学部ではないため、就職先は多種多様。
  • 読書好きが多いからか、出版社などのマスコミ系が他学部より多い印象。
  • 社交的な感じの人は、早い時期に営業職で内定を獲得していた。
  • 証券会社や保険会社から内定が出る人もいたりと、学部の専門性と就職先はあまり関係がなさそう。

文学部から公務員を目指せる?

文学部から公務員を目指すことも、もちろん可能です。

教員として地方公務員になりたい場合は、教職課程を履修することで単位を取得し、教員免許を取得することができます。

教員採用試験に合格すれば、教員になることができるのです。

また、行政をはじめとする地方公務員や国家公務員の場合は、学部に関係なく公務員試験を受験し合格する必要があります。

筆記試験には学部に関連する内容も関係のない内容も出題されますが、試験対策をどの程度しっかり行ったかで合否が分かれることが多く、学部での研究内容はあまり関係ないようです。

このように、文学部から公務員を目指すことは十分可能であり、文学部出身という点で特に有利・不利になることはありません。

文学部の卒業生の感想

文学部は卒業後、何かに直接役立つことはないと言われることがありますが、卒業生の感想の中には「役立った」という声もあります。

むしろ、物事を分析するための思考の深さを培う機会として、文学部での研究が結果的に役立ったと感じている人も少なくありません。

また、ゼミなどでプレゼンテーションの機会が多かった人は、社会に出てから人前でプレゼンテーションをするときに「大学のときと同じだ」と思えた、といったケースもあるようです。

このように、文学部で学んできて良かった、と実感している先輩もたくさんいるのです。

反対に、大学で学んだことが資格取得や就職に直結することを優先したい人は、文学部以外の学部を選択したほうがいいでしょう。

文学部の卒業生の感想

  • 「元々存在する事象の中から自分で問題を見つけ出し、解決法を考える」ことを学べた。
  • 授業内での発表・グループワークを通して、プレゼンテーション能力が培われた。
  • 論文やレポートでは日本語の使い方に注意を払ってきたため、社会に出てからも書き言葉を評価してもらえた。
  • 地味な作業が黙々と続く研究だったが、ひとつのことを根気強く続ける力が身についたと思う。
  • フランス文学科で学び、英語以外の言語を日常会話程度話せるようになったことが自分の強みになっている。

文学部の中には多様な学科があり、学科によって扱う内容が大きく異なるため、全容を把握するのはなかなか難しいかもしれません。

小説が好き、歴史が好き、など興味関心のあることが文学部で学べそうなら、ぜひ学科の詳しい内容をのぞいてみてください。

文学部のイメージが変化するきっかけになるかもしれません。

職業カテゴリー