獣医学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
獣医学の概要・理念
獣医学は、家畜やペットといった幅広い動物の病気とその予防、治療法、さらには薬品開発や品種改良といった幅広い分野についての研究を行う学問です。
同時に、獣医師になる上で必須の学問であり、大学院まで含めた6年間の学びを通じて獣医師国家試験に合格することを1つの目標としています。
私たち人間は、長きにわたり畜産や伴侶動物として動物と関わりを持ちながら暮らしてきました。
動物の健康や病気の治療・予防について研究することは、畜産動物を安定的に、かつ安全に供給する上で非常に重要な知見を得ることにつながります。
また、犬や猫をはじめとする伴侶動物と人間との関わりをケアし、ときにはペットロスなど精神面での問題にも取り組むことを通じて社会貢献を果たすことができる学問でもあります。
近年ではウイルスの研究やバイオテクノロジーの研究成果を応用し、獣医学が飛躍的に進歩を遂げています。
こうした獣医学の発展を担いつつ、倫理観をもって動物の生命を扱っていくのが獣医学の使命といえるでしょう。
獣医学で学ぶこと
獣医学は基礎獣医学、臨床獣医学、応用獣医学の3分野に分類することができます。
動物の診断・治療や品種改良を扱うためには、生物学をはじめ、医学や薬学、動物学といった幅広い知見が求められます。
とくに1・2年次においてはこれらの学問の基礎的な部分を学びながら、専門分野を学ぶための土台を作っていきます。
理論に留まらず、臨床実験や解剖といった実習も交えながら、獣医師として必要な技能面も研鑽を重ねていきます。
また、動物の細胞や組織の作りや寄生虫病の原因や病態、動物の繁殖を制御する方法など、獣医学で扱う研究分野は多岐にわたります。
これらに関する知見を得ながら、獣医師国家試験の勉強を並行して進めていくことになります。
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獣医学の大学での授業科目の例
獣医生理学
動物の体内で生じる生命現象や調整機能を解明することで、病態への理解を深めたり、動物産業の発展に寄与したりすることを目指します。
獣医解剖学
肉眼解剖学だけでなく、発生学や組織学、免疫組織化学といった観点からも動物の体の仕組みや機能について研究します。
獣医病理学
動物が罹患する病気の原因やその成り立ちを深く学ぶことを通じて、治療に役立つ知見を探求します。
獣医臨床腫瘍学
動物の病気の中でも、とくに腫瘍性疾患に焦点を当て、病態や治療法についての理解を深めます。
獣医事法規
獣医学に関わる関連法規について学び、法的な側面からも適切な治療を行うための判断力や考え方について学びます。
獣医学のレポート・テーマの例
獣医学においては、実習や実験を通じて検証した内容や結果対する考察をレポートにまとめることが多い傾向があります。
そのため、レポート作成に向けての事前準備や考察の整理に時間を要することも決してめずらしくありません。
- ・犬の血管腫症例について
- ・飼養犬における腹腔内幼虫条虫寄生
- ・クマの冬眠前時期の体脂肪蓄積
- ・アライグマ移入問題について
- ・エキゾチックアニマルにおける寄生虫病
獣医学と関連する学問
獣医学は動物を対象としていますが、人間を対象とする医学と研究内容そのものは一致していることもあります。
このほか、薬学や生物学、動物学などとも共通事項が多く見られることから、関連性の高い学問分野と見なすことができます。
重医事法規について学ぶ際には、関連法規を読み解いたり判例を知る上で法学の知識が求められることもあります。
また、たとえばペットロスの悩みを持つ人に対するカウンセリングでは、心理学の知識も駆使していくことになります。
獣医学を学んで就職に有利な業界・仕事
獣医学を学んだ人の多くが、獣医師国家試験を受け獣医師になることを目指しています。
獣医師資格を取得することができれば、獣医師として活躍することができるようになります。
動物実験の需要は食品メーカーや製薬メーカーなどにありますので、こうした一般企業へ就職し獣医師としての技能や知見を活かすことができます。
また、牧場、研究機関、農業団体、競馬関係団体といった方面においても、獣医師資格を持つ人材が求められていますので、就職するにあたって有利になる可能性があります。
公務員としても獣医師の需要があり、畜産試験場や保健所といった施設で採用されるにあたって獣医師免許が必須の資格となります。
さらに、動物病院に勤務として勤めることも可能です。
勤務医を続ける人もいますが、ある程度の経験を積んだのち、自ら開業して動物病院を営みペットの治療にあたることもできます。
このように、獣医学を学んだことで有利になる就職先は数多くあります。
獣医学の知識は人生でどう役立つ?
獣医学を学んだことで取得を目指すことのできる資格は、獣医師免許だけではありません。
一例として、ペット栄養管理士、畜産人工授精師、種畜検査員、食品衛生管理者といった資格を取得する上でも、獣医学で学んだ知識が活かされる場面は少なくありません。
こうした資格を活かして食の安全をはじめ、動物に関わる数多くの産業を支えていくことができるのは、獣医学の可能性の1つといえるでしょう。
また、人々の生活スタイルや人生設計が多様化するに従って、ペットを大切な家族の一員と考える人はますます増えています。
動物の治療にあたることで病状を和らげたり治癒に向かわせる獣医師の役割は、単に動物の生命を救うことに留まらず、飼い主の人生観や心の平穏へと貢献することにもつながっているのです。
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