商学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
商学の概要・理念
商学は売買や流通といった商業全般について研究する学問です。
商品は生産者から直接消費者に届けられるわけではなく、卸業者や小売業といった段階を踏んで流通しています。
この過程で商品を移動させる必要があることから、運送業や倉庫業、保険といった多くの業種が関わっています。
商学ではこうした複雑な仕組みを体系立てて明らかなものにし、課題点を抽出したり解決策を考案したりすることを通じて、よりいっそうの商業の発展を実現していきます。
また、消費者のニーズに合った商品を企画・開発する上で、マーケティングの知識は欠かせないものになっています。
市場調査から広告戦略まで、商品をより効果的に販売するための戦略について研究するのも商業の領域です。
さらに、会計や財務といったお金に関する戦略も商業で扱います。
このように商業全般を包括的に研究することを通じて、社会の変化や市場の動向に合った商品企画や流通の仕組みが考案され、利便性が高まっていくのです。
商学で学ぶこと
商学の研究分野は大きく分けて3つあり、「流通・マーケティング」「会計」「金融・財務」に分類されます。
流通・マーケティングでは物流やロジスティクス、市場調査・マーケティングなどに関する研究を行います。
会計では原価計算や財務、会計監査に関する知識・技能を学び、企業の会計を健全な状態に保つ方法論を体得します。
金融・財政では証券や保険といった金融商品や、財務諸表の見方などについて学びます。
また、必要に応じて経済法や労働法といった法律についても研究が及ぶ場合があります。
このように、商学で学ぶことはいずれも実際の商業と深く結びついており、実学の性格が色濃い学問であると言えます。
そのため、商学で扱う分野は広い範囲に及んでおり、商業に関することのほとんどが研究対象となると言っても過言ではありません。
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商学の大学での授業科目の例
マーケティング論
ターゲットとなる消費者が求める商品・サービスを調査し、どのようにプロモーションを行うかの戦略を考えます。
物流論
商品の輸送・保管・管理について体系化し、理論的に分析・考察していきます。
市場調査論
マーケティングにおいて、消費者が抱える問題点や需要に関する情報を収集・分析・解釈する方法を研究します。
消費者行動論
消費者が商品をどのような動機で消費するのか、購買時や購買後の行動特性はどうであるか、といったことを研究します。
財務論
企業が資金を調達し、運用しながら経営を進めていく上での実践的な手法について学びます。
商学のレポート・テーマの例
商学のレポートは、ある指標から読み取れる商業活動の特徴や、ある政策が経営に与えた影響といったように、具体的な結果・成果を元に論じるテーマが多い傾向があります。
そのため、レポート執筆に際しては膨大なデータを分析したり、必要に応じて現地調査を行ったりすることもあります。
- ・IPOの初期収益率について
- ・公募増資発表後の株価変動
- ・研究開発投資のボラティリティ
- ・ファミリー企業の資本政策
- ・在庫管理政策と経営成果
商学と関連する学問
商学は経営学と類似する部分が多い学問です。
経営学が企業経営そのものの実務的な知識やノウハウを研究対象とするのに対して、商学では商取引全般といったより大枠の事象が研究対象となります。
ただし、大学によっては経営学部で商学の領域も研究しているケースが多いため、商学を学びたい場合は経営学部も参照しておくと漏れがないでしょう。
また、商学は経済学とも関わりのある学問ですが、経済の動向を大局的に捉え理論化する経済学と比べると、商学はより実際的な商業の世界での事象を扱っていると言えます。
商学を学んで就職に有利な業界・仕事
商学は商業について学ぶ学問ですので、実業との親和性が非常に高く、幅広い業種において就職に有利になりやすい傾向があります。
商学を学んだ人が選ぶ進路として多いのが、銀行をはじめとする金融業界、あるいは大手ゼネコンや食品メーカーといったメーカーです。
もちろん、他業種においても商学で学んだ知識や技能を活かすことができますので、むしろ特定の業界に限らず就職時にアピール材料になると考えていいでしょう。
職種としては、理系の研究職など専門的な知識を要求される仕事以外であれば、どのような職種でも通用すると言えます。
商業の仕組みについて明るい人材となれば、あらゆる業種・職種で通用することでしょう。
ただし、商学は汎用性の高い実学である反面、特定の分野に長けたスペシャリストではないのも事実です。
幅広い業種・職種も選べる反面、その仕事で成果をあげられるかどうかは本人の適性によるところが大きいことも覚えておくようにしましょう。
商学の知識は人生でどう役立つ?
商学で得た知識は、日常のあらゆる場面で流通や販売の仕組みを見抜く目を持つことに役立ちます。
商学の知識がない人から見れば「安くてお得な商品だ」と思ってしまうものでも、「なぜ安くできるのか」を考える習慣が身についているため、ものの価値や価格設定のからくりに気づくことができるでしょう。
また、モノを売ることや消費者の手元まで効率よく届けるには、高い課題解決能力が求められます。
物事の課題を発見し、解決するにはどうすればいいのかを考え抜く力は、ビジネスに限らず日常生活の中で存分に役立てることができるでしょう。
商学は商業に関わる知識を学ぶ学問ですが、掘り下げていくと課題解決能力という普遍的なスキルに行き着くのです。
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