生物学部で学ぶこと、学科、志望理由、就職先(読了時間:12分49秒)

命あるもの全てが研究対象

生物学部とは

生物学部は、自然界の生命の本質とあり方について研究する学部です。

生物学では、細胞や分子レベルの世界を研究することもあれば、生態について地球規模で研究することもあります。

一例として、生理学・生化学や遺伝学、発生学、生態学、行動学などが研究対象となります。

近年ではバイオテクノロジーの分野が注目されるなど、最先端の研究に期待が集まっている学問でもあります。

生物学部を志望する学生の多くは、子どもの頃から動植物に関心を持っていたり、「生きているとはどういうことか」といった本質的な疑問を抱き続けてきたりした人が多い傾向があります。

理系の学部としては男女比が極端に偏ることもあまりなく、華やかな雰囲気の学生もいる一方で、試験前や研究には真剣に取り組むなど、充実した学生生活を送っている人がたくさんいます。

生物学部は他の理系学部と比べると就職時に有利になりにくいと言われることがありますが、研究開発職に限らず幅広い選択肢を検討することによって、生物学部で学んだことを活かせる仕事に就いている人は決して少なくありません。

生物学部の理念

生物学部では、バクテリアから人間まで、あらゆる生命の本質とそのあり方を教育・研究する学部です。

生物学部で扱う対象となるものは、分子レベルのミクロから、生き物の生態や行動などマクロの世界にまでおよび、現代ではその最先端の研究内容が、医療、環境、農業、畜産といった多岐にわたる分野で応用されています。

このような背景の下、生物学部では生物学に関する専門的な知識・技術と幅広い教養を身につけ、社会、環境、産業のあらゆる分野で貢献できる人材の輩出を目指します。

生物学部で学ぶこと、勉強すること、授業内容、卒論

生物学部で学ぶこと

生物学部では、大きく「生命科学系」と「自然生態系」の専門科目に分かれており、生命科学系では、遺伝子、細胞、食品など生命やバイオに関する科目、後者は動植物の分類や野生生物調査、動物の行動分析といった科目があります。

年次が上がると実験科目や実習の時間が増えるとともに、研究室にも所属し、担当教授の下でテーマに沿った研究活動を進めます。

4年次には大学生活の集大成として卒業研究に取り組み、習得した知識と技術を駆使して総まとめを行います。

生物学部での学びは、生物の観察・採集といったフィールドワーク、最先端の機器を使った実験に力が入れられていることが特徴のひとつです。

生物学部の授業内容

生物学は大きく2つの分野に分けられます。

1つは細胞や分子といった小さな単位に着目し、生物の謎に迫る分野です。

代表的な授業として、細胞生物学、分子生物学、発生生物学、遺伝生物学などがあります。

もう1つは生物の多様性といったマクロの視点から研究する分野です。

代表的なものに動物生理学や植物生理学、進化・系統学、生態学などがあります。

生物学という学部名ですが、基礎基本から実験に至るまで、生物だけでなく化学や物理の知識や研究手法も重要になります。

生物学部の卒論の例

  • 生物の適応戦略に関する数理的研究
  • 防潮堤の改修がアカウミガメ卵を捕食する動物に与える影響
  • 雑食と食物連鎖の安定性
  • 耕作放棄地における生後1年未満のヤギの放牧と除草効果
  • 嚢舌目亜目ウミウシの幼体・成体における盗葉緑体現象の解明
  • 不均一環境下における狩猟が種の存続に及ぼす影響
  • シロイヌナズナ欠損変異体を用いた葉緑体移行タンパク質の機能解析

生物学部で学んだことの口コミ

  • 化学系の知識は役立っていて、今もその時の教科書は愛用しています。
  • 実験で使用した機器は今の職場で同じようなものを使っているので、すぐに使えて便利でした。
  • 化学反応的な作用と食品との結びつき等は、商品開発の際に理屈から説明するときに知識として役に立ちます。
  • バイオテクノロジーについて研究し、その知識が食品会社への就職やその後の実務に役立っている。
  • 実験の手法や機器を使いこなす技能が身についたことで、研究開発職に就いてからも役立つことが多かった。
  • 専門科目以外にも、教養科目を含めて幅広い授業を受けることができ、視野が広がったと思う。
  • 生物学と化学の両面からアプローチすることで、生物について多角的な視点から研究できた。

生物学部の主な学科・分野と概要

生物学科

生物の知識から自然・環境・生命のあり方を理解し、その内容を基礎から応用へと発展させて実社会で活躍できる人材を育成します。

海洋生物科学科

海洋生物とそれを取り巻く環境、水産資源としての活用法を学び、海や生物に関わる分野で専門職として活躍できる人材を育成します。

生物学部で学ぶ学問分野・概要

生理学・生化学
物理、化学、医学、農学、応用微生物学など、広範な知識を組み合わせて生命現象を解明します。

発生学
細胞分化の仕組みをもとに、生物の誕生や進化の謎について研究します。

遺伝学
遺伝のメカニズムと生物との関わりについて考えます。

生態学
生物の保護や環境保全といった観点から、生物の生態について考えます。

行動学
生物の行動について、神経行動学や動物心理学の分野から研究します。

生物工学
遺伝子工学や細胞工学、分子工学といったアプローチから、生命現象を研究します。

生物学部で目指せる主な資格

・教員免許(中学・高校理科)
・臨床検査技師
・健康食品管理士
・食品衛生管理者

生物学部での研究内容が資格取得に直接結びつくわけではありませんので、卒業と同時に取得できる資格としては教員免許のみとなります。

臨床検査技師や健康食品管理士といった資格の場合、生物学部で履修した単位が受験資格として認められることがあります。

ただし、学科によっては要件を満たしていない場合がありますので、受験資格等をよく確認しておくようにしましょう。

生物学部の大学選びのポイント

生物学を学べる学部・学科は、生物学以外にも生命環境部や生命科学部といった名称になっていることがあります。

また、理学部の中に生物学科に相当する学科が設置されているケースもありますので、「生物学部」の名称以外も探してみることが大切です。

生物学は研究対象となる範囲が幅広く、大学によって注力している分野が大きく異なります。

シラバスや卒業生の卒論テーマを調べるなどして、自分が興味のある分野の研究に取り組めそうかどうかを確認するようにしましょう。

生物学部の入試方法・受験科目

生物学部の国公立2次試験・私立入試の受験科目でよく見られる組み合わせは数学・理科・英語です。

大学や入試方式によっては、地歴公民が選択できるようになっていたり、国語が選べるようになっていたりすることもあります。

数学に関しては、数Ⅲまでが試験範囲になる大学がある一方で、数Ⅱまでとしている大学もあります。

入学後に化学や物理の知識を駆使して研究する場面も出てきますので、とくに理科に関しては最低限の基礎知識を持っていくことは必須と言えるでしょう。

生物学部の学費

生物学部は学科によって研究内容が大きく異なるため、実験や実習など特別な研究費用が必要かどうかによって学費が大きく異なります。

一例として、
東海大学生物学部生物学科では、初年度納入金が1,493,200円(入学金200,000円、授業料785,000円、施設費250,000円、実習費199,000円、諸会費59,200円)、4年間で5,318,200円 といった学費になっています。

なお、同じ東海大学生物学部でも、海洋生物学科では実習実技費が1年次に40,000円、2年次に41,000円が必要になります。

生物学部の志望理由、例文、面接

生物学部の志望動機

生物学部を選択する人は、動植物や生物全般に興味があり、それについて専門的に学びたいという思いが志望理由の根本にあるようです。

とくに最近では、ニュースなどでもよく取り上げられる環境問題や最先端のバイオテクノロジーに興味を持ち、これらに深い関わりを持つ生物学部を志す人が増えているといわれます。

生物学部での学びを通じて専門職に就きたいと考えている人、そのまま研究を究めていきたい人など進路についての考えはさまざまですが、専門的な知識と技術を得て社会に貢献できる力を身につけたいという思いが、この学部への進学の動機になっている人が多くいます。

生物学部の志望動機の例文

私が生物学部を志望したのは、高校2年次の生物の先生がiPS細胞などバイオテクノロジーについて最新動向を話してくださり、感銘を受けたことがきっかけです。

iPS細胞の発見により、再生医療だけでなく新薬の開発に活用できる可能性があると知り、社会貢献度の高い研究だと感じます。

貴校の生物学部生物学科ではAIを用いたがんiPS細胞の薬剤探索など、最先端の研究に取り組まれているとのプレスリリースを拝見しました。

高校の授業で聞いた、バイオテクノロジーの最先端の研究に私も携わることができることができると知り、大変驚くとともに、ぜひその環境に身を置いて研究に取り組んでみたいと感じました。

将来は新薬開発に貢献できる人材として活躍したいと思っております。

その夢を叶えるためにも、貴校の生物学部生物学科で研究に取り組みたいと考え、志望いたしました。

生物学部のAO・推薦入試の面接で聞かれること

生物学部の研究領域は広範囲にわたるため、大学によって注力している分野が大きく異なります。

興味を持っていることと大学での研究内容が合致していることが重要であることから、面接では生物学のどのような分野に関心を持っているかを聞かれる可能性が高いでしょう。

また、生物学部での研究内容が就職に直結するとは限りません。

将来の進路や目標が定まっているかどうか、生物学部で学ぶことをどう活かそうとしているか、といった点についても答えられるようにしておく必要があるでしょう。

大学案内やホームページに掲載されているカリキュラムやゼミの研究内容を事前によく見ておき、具体的な話ができるようにしておくことが大切です。

生物学部の志望理由の口コミ

  • 理系の中でも生物に関する分野の知識を身につけたかったから。
  • 小さいころから生き物が好きで、将来は生物や自然を保全する仕事がしたいと考えていました。
  • 中学の理科の授業で生き物に興味を持ち、大学では分子レベルから生態系まで幅広く学びたかったから。
  • 子供のころから動物が好きで、もっと生き物について勉強したいと思っていたので。
  • 生き物はなぜ生きているのか、生命とな何なのかを知りたいという思いがあったからです。

生物学部の雰囲気・男女比

生物学部の男女比は、男性7割、女性3割程度となっているようです。

実際には生物学部ではなく、「理学部」に生物学を専門的に学べる「生物学科」を置く大学が多いですが、いずれの場合でも男性が圧倒的に多いとされる理系学部のなかでは、生物学関連の学科・専攻は、女性の割合が比較的大きなことが特徴です。

学部の雰囲気としては、少人数でフィールドワークや実験などを行う機会も多いため、アットホームかつ学生同士の絆は強いようです。

研究室に所属するとそこでの人間関係が密になりますが、研究室によってはたいへん多忙な毎日を送ることになります。

さまざまな個性を持つ人がいますが、全体的に見ると、研究・勉強熱心なタイプの人が集まりやすいようです。

生物学部の雰囲気・男女比の口コミ

  • 男女半々くらいで華やかな男女が多く、変にオタクっぽい感じのいわゆる理系男子、理系女子がいなかった。
  • 授業、勉強、テストになるとみんなすごく真剣になり、メリハリがしっかりついていた。
  • 生物についてはもちろんのこと、あらゆることに対して好奇心旺盛なタイプの人が多かった。
  • 理系学部のキャンパスが独立していたので、学祭は人が少なくあまり盛り上がっていなかった。
  • ザ・理系の空気をイメージしていたものの、入学してみたらそうでもなかった。

生物学部の楽しいこと・大変なこと・つらいこと

生物学部の楽しいこととして、研究室での実験を挙げる人は少なくないようです。

最新鋭の研究を垣間見ることができるなど、貴重な経験ができたと感じている人が多いようです。

専門性の高い研究に携わるということは、それだけ勉強も必要になるということですので、実験の準備やレポートの作成が大変だったといった感想も挙がっています。

実験で思うような結果が出ないと夜遅くまで研究室に残ることになるため、大変な思いをしたはずですが、苦労した分だけ充実した楽しい思い出となったと感じている人もいるようです。

生物学部の楽しいことの口コミ

  • 専門分野から身近な分野まで幅広い授業が行われており、たくさん学べたのがありがたかった。
  • 最新鋭の研究に携わったり、著名な先生の話を聞く機会を得られたりすること。
  • 実験はうまくいくと達成感があり、うまくいかなくても仲間と試行錯誤できたのが楽しかった。

生物学部のつらいことの口コミ

  • 研究と実験が多くその分予習も必要ですし、まとめのレポートが必ずいるのでそれに追われる感じでした。
  • 4年になると各所属するゼミで研究を行うが、所属するゼミによってはひと晩ずっと残る所もあった。

生物学部の口コミ一覧

生物学部の就職先、業界、目指せる職業・仕事、進路

生物学部の就職先

生物学部の出身者は、民間企業や省庁に就職する人がいれば、大学院へ進学して研究を深める人もいます。

民間企業の場合、代表的な就職先として食品メーカー、医薬品メーカー、その他製造業のさまざまな企業があり、職種としては営業職や事務職に就く人が多いようです。

専門性を生かし、民間企業や行政における研究者として仕事をすることもできますが、研究職に就けるのは大学院を修了した人が中心です。

研究職に就くことを目指している場合、最初から院への進学を視野に入れて学んでいる人が多いようです。

また、生物学部といっても、動植物、環境・バイオ、遺伝子など、どの分野を専門的に学ぶかによって進路は若干変わってくるといえるでしょう。

教職課程で中学校・高等学校教諭一種免許状(理科)を取得し、教員として活躍する人もいます。

このほか、自然保護業務、エコツーリズム、学芸員なども生物学部出身者の進路の一例となります。

生物学部の就職の状況と需要

生物学部や地学部は、理系の学部の中では就職に弱めといわれることがあります。

とくに研究開発職を目指すのは至難の業で、狭き門といわれています。

マテリアル関係やMRといった、研究開発以外の分野も含めて就職先を探すのであれば、就職先がないというわけではありません。

近年はバイオベンチャー企業なども登場していますので、大企業や有名企業にこだわらず、幅広く就職先を探すことで自分にとっての適職を見つけることが大切です。

生物学部の就職以外の進路

生物学部で就職以外の進路としては、代表的なものに大学院への進学が挙げられます。

大学院でさらに専門性を高めることにより、製薬会社や国立系研究所の研究員、大学教官などを目指すこともできます。

ただし、大学院で学ぶことによって就職時に大きく有利になるわけではありません。

あくまでも、興味のあることをより専門的に学びたいという意欲をもって進学する場所であることを念頭に置きましょう。

実際には多くの学生が学部卒の段階で就職を志しており、大学院進学率は2〜3割程度であることが多いようです。

生物学部の就職の状況の口コミ

  • 食品関係、薬品会社への就職が多く、職種は営業、開発、研究、製造がほとんど。
  • 食品系の分析や品質管理、教師、MR、環境系の分析系のラボに進んだ人が多い。
  • 男性はMRが多いと聞きましたが、小学校や中学校の教師になった男女の友人も多くいて、研究職以外が多かった。
  • 生物学部は就職に苦労すると言われたこともあったが、研究開発にこだわらなければそれなりに選択肢はあると思った。

生物学部から公務員を目指せる?

公務員には理系職があり、生物学部で習得した知識や技能を活かして働くことができます。

国家公務員であれば、技術系(理系)区分の試験に合格することで、国家総合職(化学・生物・薬学)に就くことができます。

また、国立研究所などの研究員として採用された場合も、国家公務員として働くことになります。

地方公務員の場合、地方公共団体の技術系職員や試験研究機関の研究員といった道があります。

いずれも高い専門性が求められる職務となりますので、院卒で目指すのが一般的です。

生物学部の卒業生の感想

生物学部は幅広い授業を選択することができ、知見を広げるにはとても良い環境が用意されていたと感じている人が多いようです。

その反面、目的を持って学ぶ意識を持たないと、やるべきことが見つからないままになってしまう恐れがあると指摘する声もあります。

また、研究室に入ってからは実験が大変だったと感じた人が多い一方で、ゼミの仲間と助け合って乗り切ってきたことで結束が強まり、卒業後もつながりを持ち続ける人もたくさんいるようです。

生物学部の卒業生の感想

  • 理系科目以外も選択して授業を受けることで、幅広い知識がついて視野が広がります。
  • 何となくで大学入ってしまうと、後で目的がなかなか見つからず非常に苦労します。
  • 入学後にさまざまな分野の講義を聞いたことで、価値観や考え方が変わったと思う。
  • 研究室に泊まり込みで実験を続けたことも、今では良い思い出です。
  • ゼミの仲間とは卒業後も年1回の同窓会が続いているなど、つながりが強い。

生物学は「生命とは何か」という深淵な謎に迫ろうとする学問です。

そのため対象となる研究領域が幅広く、目的意識を持って学ぶことが重要になります。

意欲を持って学ぼうという姿勢を大切にできる人なら、最先端の研究に携わるチャンスを得ることもできるかもしれません。

生き物への興味関心が尽きないという人、研究にのめり込む4年間を過ごしてみたいという人は、生物学部を選択肢の1つとして検討してみてください。

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