工学部で学ぶことは? 学科や志望理由、就職先や人気のある学科を紹介

志望者は、もともと機械が好きだったり、ものづくりに携わりたいという思いがあったりする人が多いです。
ものづくりを突き詰めていきたい人が集まっていることもあり、実直な雰囲気があります。
目次
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工学部とは
工学部は、自然科学や数学の知識をもとに、社会に応用できる技術を追究する学部です。
理学部が自然現象の原理について深く探求していくのに対して、工学部は今あるものをどう応用し実用に結びつけるかを学びます。
そのため、実際にものを作るために必要な知識を得るための授業や、そのための研究に向けての授業が行われます。
卒業後は大学院へ進学する人が多い一方で、民間企業へ就職する人もいます。
業界別に見た場合、製造業や建設業で技術職・研究職として活躍する人が多い傾向があります。
工学部の理念
工学は、技術によって、目的を達成していく方法論を考える学問です。
あらゆる製品を作る際には工学的な考え方が生かされており、工学なくして人の役に立つものを生み出すことはできません。
工学部では、工学の専門知識と技術を身につけるとともに、国際的に活躍できる人間性豊かな人材を育成し、人類の文化の進展や技術革新に貢献できる技術者・研究者を育成することを目指しています。
そして、グローバル化が進み変化の速い高度情報化社会の中で、長期的な視野で自然環境の共生を図りながら、社会や技術の変化に対応できる人材を育成します。
工学部で学ぶこと、勉強すること、授業内容、卒論
工学部で学ぶこと
工学は幅広い分野を持つ学問であり、工学部で学ぶことは学科によってそれぞれ異なります。
- システム・制御
- 情報
- 物性・デバイス
- 電気工学
- 情報科学
- 電磁気学
- プログラミング
- 造形
- 構造学
- バイオテクノロジー
- エネルギー
- 熱力学
- 機械力学
- 流体力学
- 材料力学
工学は「ものづくり」と密に関わっているため、工学部での学びを深めれば、産業界のあらゆる分野で活躍することができます。
どの学科でも、工学の基礎を学んだうえで専門応用能力の習得を目指したカリキュラムが用意されており、講義のみならず、演習や実験も数多くこなしながら実践力を身につけていきます。
学科によっては、工業系や理科などの教員免許の取得を目指すことも可能です。
工学部の授業内容
工学部では、技術を実用に向けて応用するための基礎となる知識を身につける授業が行われます。
たとえば、機械工学では構造力学、機械力学、数値解析、精密加工学、製図などを学びます。
物質工学では金属や化学物質の研究・開発を行う分野で、物質を構成する材料の化学的な性質や化学反応に関する知識を学びます。
情報工学ではプログラミングや工業数学、応用物理学などを扱います。
また、工学部で研究を進めていく上で数学の知識は欠かせないため、微分積分や線形代数といった数学の授業も行われることもあります。
工学部の卒論の例
- 手触りの感覚を伝達する触覚センサ開発
- 空気圧ロボットアームの制作・制御
- ゾル-ゲル法を用いたジルコニア薄膜の形成
- センサを用いた照明空間の制御
- VR空間内でアニメーションと重さの知覚の関係性について
- 自動二輪車の自律制御に関する研究
- カエルの合唱法則の通信システムへの応用
工学部で学んだことの口コミ
- 入学当初からパソコンを触っていたので、就職してから同期よりもパソコンでの作業効率がよかった。
- 実験・プレゼン・論文の技術は社会に出てから大いに役立っています。
- 在学中に学んだ熱工学やCADなどは建設業にも必要不可欠な知識・技術なので、就職後も大変役立っている。
- 英語の論文を読まなくてはならなかったので、仕事で英語の文章を読むことが苦にならなかった。
- PL法や自然環境に優しい工業製品についての知識。
- データの見方、判断の仕方、新しい物事への対応など学んだことは日常生活でも役に立つ。
工学部の主な学科・分野と概要
電気電子工学科
情報通信ネットワークやエレクトロニクス技術、自動制御技術、情報処理技術など、21世紀の社会を支えるための広い知識を身につけていきます。
物理工学科
熱力学、機械力学、流体力学、材料力学を基礎として、あらゆる工業製品の設計・製作に第一線で関わっていける人材を育成します。
情報・メディア工学科
計算機ハードウェアからソフトウェアまで、広い分野の基礎的科目と情報通信システムについて学び、高度情報化社会を発展させる技術者を育成します。
建築学科
人間の暮らしに不可欠な「住」を創造するために、建築のデザインや構造、歴史、材料、環境整備など、建築を構成する各要素について学びます。
工学部で学ぶ学問分野・概要
工学には、機械工学、材料工学、情報工学、生物工学、建築工学、航空宇宙工学などの分野があります。
機械工学
機械の設計・製作を通じて、現代の暮らしをより快適にする機械について研究します。
材料工学
化学や物理学の手法を応用し、優れた新素材の開発について研究します。
情報工学
コンピュータによる情報の自動処理技術や通信技術について追究します。
生物工学
いわゆるバイオテクノロジーの研究成果を食料や医療、環境分野に応用する方法について考えます。
建築工学
建築構造や材料、環境計画といった建築の技術的な面を工学の手法を用いて研究します。
航空宇宙工学
機械工学の中でも、ロケットエンジンや宇宙探査機の軌道制御といった、機械を飛ばすための技術について研究します。
工学部で目指せる主な資格
- 電気主任技術者
- 機械設計技術者
- 測量士
- 自動車整備士
- 教員免許
- 建築士
電気主任技術者や測量士のように、所定の科目を履修して単位を取得することにより、卒業後に資格の申請をすることができるものがあります。
機械設計技術者や自動車整備士などのように、学科の研究内容によっては親和性があるものの、一定期間の実務経験が必須とされている資格もあるので注意が必要です。
工学部の大学選びのポイント
工学部で学んだことを将来的に仕事に活かそうと考えているのであれば、進学する学科によって職域がほぼ決まることを前提に専攻を考える必要があります。
関心のある分野の学科、研究室があるかどうかを、大学案内などを見ながら確認していきましょう。
また、研究費をきちんと確保できているか、最新の設備を整えることができているか、といった視点も重要です。
一般的に、研究費の確保という面では、私立よりも国公立大学のほうが有利と言われています。
工学部の入試方法・受験科目
工学部の入試では、他学科と同様に筆記試験が行われます。
受験科目は数学・理科・英語を課している大学がよく見られますが、大学によっては数学・理科と小論文といった試験を課していることもあります。
工学部の研究では海外の論文を参照することもあるため、受験科目に英語が含まれていなかったとしても、英語が得意なほうが研究を進める上で有利になりやすい面があります。
数学に関しては受験科目として必須である以外にも、研究を進める上で数学が苦手だとついていけない可能性があります。
数学の力は非常に基本的かつ重要な学力と考えておいたほうがいいでしょう。
工学部の学費
理学部は学科によって研究が大きく異なるため、実験など特別な研究費用が必要かどうかによって学費が大きく異なります。
初年度納入金が1,662,500円(入学金250,000円、授業料1,378,000円、課外活動育成費20,000円、学生健保共済会費4,500円)
4年間で6,056,000円
同じ大学であれば、理学部とほぼ同じ水準の授業料と考えておいて問題ないでしょう。
工学部の志望理由、例文、面接
工学部の志望動機
工学部を選択する人は、工学に関わる各分野に興味を持ち、深い知識と技術を身につけていきたいと考えています。
そして「世の中を便利にしたい」「新しいものを創り出したい」という気持ちが、この学部に進む原点となっている人が多いようです。
同じ工学部でも、機械、建築など学科によって専門領域がだいぶ異なるため、志望者は早くからどの分野に進むか決めていくことになります。
また、工学部を設置する大学はたくさんあるものの、大学によって科目や研究内容などは異なり、それぞれが特色を打ち出しています。
よって、具体的に研究していきたいテーマがある場合、それについて深く学べる大学を選んでいる人も少なくありません。
工学部の志望動機の例文
2020年には5G通信が実用化され、いまよりはるかに高速の通信や多数の同時接続端末が可能になると言われています。
それに伴って、ロボットアーム等を無線通信でタイムラグなく操作できるようになり、外科手術を遠隔で行えるようになると考えられます。
しかしながら、精細な動きをするロボットアームや、触れた感覚するフィードバックする技術においては、まだまだ改善の余地があるはずです。
こうしたハードウェアの問題が解決され、遠隔手術が実現されれば、命が救われる患者が数え切れないほどいるはずです。
そのため、遠隔手術の実用化に向けた技術の開発に貢献したく、工学部を志望することにいたしました。
工学部のAO・推薦入試の面接で聞かれること
工学部の面接では、主に「なぜ工学部なのか」「希望の学科は何か」「どんな研究をしたいのか」といった、専攻に関する質問をされると予想されます。
自身の興味関心や、これまでの行動や性格と結びつけて、工学部で研究に打ち込むのに向いていると思ってもらえるように話すことが大切です。
また、将来携わりたい仕事の方向性が決まっている人は、その仕事に就くために工学部で学びたい、といった話し方をするのもいいでしょう。
いずれにしても、希望する学科を目指す理由を明確に伝えられるよう準備しておくことが大切です。
工学部の志望理由の口コミ
- 生物系の学科は将来就職の際に苦労すると高校の担任に促され、物理系の学科を目指すことにした。
- もともと興味があったプログラミングや音響関係の授業があったから。
- 高校物理で空力(流体力学)を習わないので、大学では流体力学や航空工学について勉強したいと思っていた。
- 明確に自分のしたいことは決まっていませんでしたが、興味のある分野が多かったので。
- 就職の際にモノづくりをしている企業に就職しやすいと考えたため。
工学部の雰囲気・男女比
工学部は、どの大学でも男性が圧倒的に多くなっています。
学部全体で女性が1割に満たない大学も珍しくなく、学科によっては同じ学年に女性が一人もいないということもあるようです。
そのなかでも化学系や建築系は女性が集まりやすいですが、機械や電気電子系はほぼ男性ばかりといわれています。
理系の女性も増えているといわれるものの、まだまだ男性中心の学部となっていることは否めません。
しかし、きちんと学びを深めれば、将来は女性も各方面で男性と同じように活躍していくことができます。
雰囲気としては、男性中心の環境であるため、華やかさというものはあまりありません。
物事を突き詰めていくことが好きな人が多く、派手というよりは真面目で実直な雰囲気が強いでしょう。
工学部の雰囲気・男女比の口コミ
- 穏やかで好奇心が旺盛な人が多かったように感じます。
- とくに将来、何になりたいか、どんな仕事に就きたいか、はっきりと決まっていない学生も大勢いた。
- 男ばかりなので特に気取っている人もいなく和気あいあいとしたムード。
- 女子は少ないので、課題などで協力してもらうときのために男の子と仲良くする必要があると思う。
- 建築学科もいたためか、イメージしていたよりもオシャレな感じの人がいた。
工学部の楽しいこと・大変なこと・つらいこと
工学部の楽しいこととしては、ものづくりに関心の高い学生が集まっているため、穏やかで実直な雰囲気の中、興味のある研究に集中できるといったことが挙げられます。
反対に、試験やレポートが厳しく、きちんと勉強していないと単位を落とす原因になるため、大変だったと感じる人もいるようです。
また、実験を通して自身の仮説を立証する必要があるため、実験が思うように進まないと精神的に追い詰められるといったことを挙げる人もいます。
工学部の楽しいことの口コミ
- 社会と接点を持つ瞬間やその手前の色々な技術を見て、肌で感じられる。
- 学会で有名な人が授業をしていたり、世界的に高名な先生が指導官だったりするのでびっくりした。
- 穏やかで人柄が良いタイプの人が多かったので、人間関係に悩むことがほとんどなかった。
工学部のつらいことの口コミ
- テストや課題の評価が厳しかったので、常に留年の恐怖と隣り合わせでした。
- 自分の立てた仮説通リに実験が進まず、何度も挫折しかけた。
工学部の就職先、業界、目指せる職業・仕事、進路
工学部の就職先
工学部では、学部を卒業すると、そのまま大学院へ進学する人が多いことが特徴のひとつです。
大学によっては工学部出身者の約半数か、それ以上の人が大学院へ進むことも珍しくありません。
大手企業の場合、技術職は推薦では修士卒の人が優先的に採用されたり、研究職は学卒では配属されないケースも多かったりすることから、とくに研究・開発の仕事がしたい人は大学院まで出て就職を考える人が多いようです。
一方、半数近くの人は学部を卒業したらすぐに民間企業へ就職しています。
学科によって進む人が多い業界は異なっており、たとえば機械工学科であれば製造業や建設業、電気電子工学科であれば電機・電子機器関連の製造業、建築学科であれば建設業で活躍している人が目立ちます。
そのほか、そこまで数は多くありませんが、公務員として官公庁で活躍している人もいます。
工学部出身者は、技術職や研究職など、専門性が必要とされる場で力を発揮することができるため、就職を希望した人の就職率はかなり高くなっています。
工学部の就職の状況と需要
もともとメーカーの研究職など需要が高かった工学部ですが、近年は機電系の学科は特に人気が高く、引っ張りだこの状態になっている大学も少なくありません。
近年では電機メーカーだけでなく、自動車業界や食品メーカー、インフラ系などの企業からも工学部卒生は需要があるため、就活でES落ちの企業ばかり、などという状況になることはまずあり得ないでしょう。
中には文系学生と同様、いわゆる総合職を希望する学生もいますが、採用担当者が工学部の研究内容を理解できないケースも考えられますので、総合職を目指す場合は相応の対策を練っておく必要があるでしょう。
工学部の就職以外の進路
工学部は修士課程や博士課程への進学を前提に考えている人が多いため、そもそも学部卒で就職せず大学院へ進学する人の割合が高い学部と言えます。
研究職に就くのであれば、修士や博士を修了していることは専門性の高さをアピールする材料になることから、むしろ就職時に有利な条件で採用してもらえる可能性もあります。
また、文系学部ほど多くはありませんが、中には教員や公務員といった道を選ぶ人もいます。
工学部は入学後も研究が忙しく、時間のやりくりが大変な面がありますので、教員や公務員といった道を目指すのであれば、計画的に準備を進めておくことが大切です。
工学部の就職の状況の口コミ
- 進学率が非常に高く半分ほどの学生が大学院に進学する。
- きちんと勉強していた人は一流の電気メーカーに推薦が決まっていた。
- ネットワーク関係やSE関係の仕事が多い。
- 地元の企業に就職した人もいれば、商社に就職した人など本当に人それぞれ。
- 医学部を除けば最も就職しやすい学部ではないかと思う。
工学部から公務員を目指せる?
工学部から公務員を目指すことはもちろん可能です。
行政の事務職以外にも、理系学部出身の人材を求めているポジションがありますので、そういった道を目指すのもひとつの手です。
ただし、公務員になるには試験に合格しなくてはなりません。
文系学部の人の中には、大学とは別に公務員試験のための予備校に通うなどして備える人もいるぐらいです。
工学部はとくに研究室に配属されてい以降、かなり忙しくなりますので大学での研究以外の時間をいかに確保し、公務員試験に備えるかが鍵を握っていると言えるでしょう。
工学部の卒業生の感想
まだ世に出ていない最先端の研究に携われることや、充実した設備を使って研究を進められることに充実感を覚えたといった感想が多く見られます。
ただし、入学時点で研究したいことが明確に決まっていた人ばかりではなく、入学後にやりたいことを見つけたといった人も少なくありません。
「もの7づくりには興味がある」といったざっくりとした感覚でも、工学部で打ち込みたい研究を見つけていくことは可能と考えられます。
大学によっては文系学部とキャンパスが離れていたり、研究室の限られた仲間との交流が中心になったりするケースもあるようですので、友達作りにはそれなりに気を遣う必要があるという感想も見られます。
工学部の卒業生の感想
- 現在の世界の動き、テクノロジーなどの情報が理解しやすくなった。
- 工学部は入るまでも難しいとされていますが、入ってからの方がその何倍も大変なので覚悟しておいたほうがいい。
- 自分のしたいことを入学してから探すのに向いている学部だと思います。
- 研究資金を獲得している研究室や、企業との合同研究をしている研究室が多数あり、研究に集中できた。
- 学部の中で友達作りに失敗すると孤立してしまう環境なので注意が必要。
工学部は留年が多い?
一般に、工学部は試験やレポートに対して厳しく、うかうかしていると単位を落としてしまい、留年が危ぶまれるといったイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
実際には、カリキュラムや進級要件は大学によって大きく異なるため、工学部だからといって必ずしも留年が多いとは言い切れないところがあります。
ただし、同じ大学内の文系学部と比較した場合、進級要件が理系学部のほうが厳しい場合が多いため、工学部は留年が多いというイメージになりがちであると考えられます。
工学部で教員免許はとれる?
工学部で教員免許を取得することは可能です。
目指すのであれば、理科の免許取得となります。
ただし、工学部は試験やレポートの合格基準が厳しいことから、そもそも「勉強で忙しい学生生活」を送ることになるケースが多いと考えられます。
さらに教職課程を上乗せして履修することになりますので、非常に忙しくなることは覚悟しておくべきでしょう。
その覚悟をした上で教職課程を履修し、教員を目指したいという気概があれば、教員免許を取得することは可能です。
工学部の時間割は? 学生生活は忙しい?
工学部の研究に携わる上で、数学や物理、化学の基礎的な知識は必須となります。
そのため、1年・2年のうちはとくに、これらの科目の基礎的な知識を学ばなくてはなりません。
必修科目が1限から入っていたり、1限から5限までびっしりと講義で埋まっている、といった時間割になることも考えられます。
さらに、研究室に入って担当教授の指導を受けるようになると、研究室に入り浸りになることもめずらしくありません。
忙しいときには、深夜まで研究室にいたり、寝泊まりしたりといったこともないとは言えないでしょう。
このように、工学部はやりがいのある研究ができる可能性が高い反面、研究に忙しく明け暮れる学生生活になることを覚悟しておく必要があるでしょう。
工学部で学ぶことのまとめ
工学部は、実際に世の中で利用される可能性のあるものを研究する、大変やりがいのある学部です。
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