自動車ディーラーの現状と将来性

自動車ディーラーの現状

大きな変動の中にいる

自動車ディーラーを取り巻く環境は、いま大きく変動しようとしています。

まず、少子高齢化などの影響から、ひと昔前より自動車が売りにくい時代に突入しています。

そのため、単に新車を販売するだけでなく、アフターサービスや保険商品の販売などに力を入れることで、生き残りをはかるディーラーも増えてきています。

再編が進む

自動車が売りにくくなったことから、自動車ディーラーの再編も進んでいます。

たとえば、トヨタ系ディーラーにはトヨタ店・カローラ店・トヨペット店・ネッツ店の4つの販売チャネルがありますが、近年はチャネルに縛られない全車種併売化が進んでいます。

従来のように、「クラウン」はトヨタ店やトヨペット店で販売する、「ヴィッツ」はネッツ店で販売するといった縛りは消え、どのチャネルでも全車種を扱うようになっています。

日産系では、過去にあったブルーステージ店/レッドステージ店の販売チャネルが日産店に一本化され、ホンダ系ではプリモ店/クリオ店がホンダカーズ店に一本化されています。

さらに今後は、トヨタ系や日産系といったメーカーの垣根さえ超えた統合が進むともいわれています。

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自動車ディーラーの需要

自動車の需要は減少傾向

国内自動車(新車)販売台数は、毎年緩やかに減少傾向にあり、2030年には現状比マイナス2割減となる見通しが立てられています。

国内自動車保有台数についても緩やかに減少傾向にあり、2030年には現状比マイナス1割減となる見通しです。

自動車の需要減少には、おもに次のような要因が影響しています。

<自動車需要減少の原因>

  • 少子高齢化、若者のクルマ離れ
  • 技術向上等による買い替えサイクルの長期化
  • カーシェアリングやレンタルサービスの充実

やはり「若者のクルマ離れ」の影響は大きく、ひと昔前のように若者文化の中心に車はなく、特に都市部の若年層は車を所有している人のほうが珍しくなっています。

この流れは今後も加速するともいわれており、以前は主要なターゲットであった若者層がごっそりと減っていることは自動車ディーラーにとって大きな打撃でしょう。

求人のニーズ

多くの自動車ディーラーでは、新卒学生を対象とした「新卒採用」を行っています。

採用人数は地域によって差もありますが、一般的には年間20人前後の新卒社員を採用するディーラーが目立ちます。

都内大手ディーラー「トヨタモビリティ東京株式会社」のように、毎年100名以上の営業スタッフを採用するディーラーもあります。

加えて、新卒採用とは別に、既卒者を対象とした「中途採用」も通年に渡り行っているディーラーが多いです。

ディーラーの離職率は高めであり、営業職・整備職ともに出入りする人は多いため、中途採用からでも入社はしやすい傾向です。

求められる人材

自動車に詳しいことも大切ですが、それだけでなく生活の一部として自動車を考えられる人が求められています。

特に近年は、若者のクルマ離れも進み、以前のようにパワーや性能で車を選ぶ人よりも、使い勝手や実用性を重視して車を選ぶ人が増えてきています。

そのため、お客さまのライフスタイルをよく理解し、生活と車を結び付けて考え、それぞれの人に合った車種を提案できる人が求められます。

自動車ディーラーの将来性

CASEによる大変革

自動車業界はいま「100年に一度の大変革の時代」に入ったといわれています。

その中心にあるのがCASEという概念です。

CASEは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったものであり、これからの時代、このCASEの概念をもとに、自動車の在り方そのものが大きく変わるといわれています。

<CASEの考え方>

  • コネクティッド化:自動車がインターネット端末のようになり、ネットワークとつながる
  • 自動化:自分で運転するものではなく、自動運転で移動するものになる
  • シェアリング:個人で所有するのではなく、用途に合わせて複数人で共有・レンタルするものとなる
  • 電動化:ガソリン車やハイブリッド車にかわり、EV車(電気自動車)となる

たとえば、自動運転技術+カーシェアリングが普及すると、これまでのように「1家に1台自家用車」と考える人も減り、自動車がさらに売りにくくなる恐れがあります。

またEVのモデルが普及すると、取り扱うにはEV関連の専門知識が求められます。

とくに整備職として働くスタッフにとっては喫緊の課題となり、テクノロジーの勉強も必要になるでしょう。

CASEによる影響は、自動車メーカーや自動車ディーラーなど、自動車業界で働くすべての人に及んできます。

新たなビジネスを探る動きも

CASE時代の到来にむけ、新車販売以外のビジネスを進める動きも見られます。

<各ディーラーの動向>

  • トヨタ系ディーラー:コネクティッドカーの導入拡大に伴い、車両からの不具合情報を基に整備・点検を促すサービスの導入を検討。新たなモビリティサービス(カーシェアリングなど)の導入検討。
  • 日産系ディーラー:日産のカーシェアリングサービス「eシェアモビ」のステーションを店舗に設置
  • ホンダ系ディーラー:緊急時ロードサービス、Web でのメンテナンス予約サービス等を提供する会員制サービス「ホンダ・トータル・ケア」をスタートし顧客の囲い込みをはかる。ホンダのカーシェアリングサービス「EveryGo」のステーションを主要都市に設置。

このように、アフターサービスやカーシェアリングサービスを、新たなビジネスの柱として取り入れようとする動きが進んでいます。

また、自動車保険の販売、携帯電話の販売などを行うショールームも増えてきており、クルマだけを売っているディーラーというのは、むしろ珍しくなってきています。

地方部にも影響は広がる

地方部は、都心部ほど電車などの公共交通機関が整備されていないこともあり、いまだ車社会が成り立っている地域も多いです。

しかし、地方部では都会への人口流出の問題を抱えており、このまま人口減少が続くと、ゆくゆくは自動車販売数にも大きな打撃を与えるとも考えられています。

また、カーシェアリングなどの新たなビジネスは、人口密度の都心部を中心に広がっていくと考えられており、地方部のディーラーでは参入の余地がないという見方もされています。

そのように地方部と都心部とではニーズや環境が異なるため、地方部のディーラーではその地域独自の生き残り戦略が今後求められます。

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自動車ディーラー社員の今後の活躍の場

自動運転やカーシェアリング分野で活躍する

今後は、自動運転やカーシェアリングを軸とした新たなサービスが続々と登場してくるといわれています。

そのような新ビジネスでも自動車に関する理解が問われることには変わりないため、自動車ディーラーで働いた経験を生かすことができます。

ただし、自動運転やカーシェアリング系のサービスでは、自動車を「売る」ではなく、「自動車を用いてどのような価値を提供できるか」という視点が重要になります。

海外に目を向ける

日本国内では、少子高齢化が進んでいるため自動車販売数は減少傾向にありますが、海外ではまだまだ自動車需要の伸びている国はたくさんあります。

特に東南アジアやアフリカなどの新興国は、今後自動車需要が急増するといわれています。

そのため、「海外市場に向けて自動車を輸出販売する」、「海外に移住し現地の自動車ディーラーで働く」などの道も、自動車ディーラー社員の将来のキャリアプランの1つです。