役員の勤務時間・休日・残業は? 就業規則は適用される?
そのため、「雇用契約・労働契約」を結んでいる一般社員とは、勤務時間や休日、さらには残業などのさまざまな点において、考え方がまったく異なります。
この記事では、会社役員の勤務時間や休日などの働き方について、詳しく解説していきます。
役員の勤務体系
会社法上の役員は、会社の従業員、言い換えれば一般社員とは異なる契約によって仕事をします。
具体的には、取締役などの役員は、会社と「委任契約・準委任契約」という契約を締結します。
従業員のような「雇用契約」や「労働契約」は結ばないため、労働者に適用される「労働基準法」の対象にはなりません。
一般社員の場合、勤務時間や休日、有給休暇の取得ルールなどは労働基準法に基づき、各企業が「就業規則」として定めるものが適用されます。
しかし、役員には就業規則が適用されないため、個別に契約している委任契約・準委任契約に従って、自身の役割を果たしていくことになります。
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役員の勤務時間
役員には従業員の就業規則が適用されない代わりに、基本的に、会社が定める「役員規定」という役員向けの社内ルールにもとづいて経営に携わります。
一般に、役員は「〇時~〇時」と勤務時間が決められることはなく、24時間体制で業務にあたる必要があります。
もちろん、不眠不休で働かなくてはならないわけではありません。
役員の場合には、引き受けた任務を自己の裁量で遂行することが重要であって、そこでは働いた時間の長さや、何時に働くかという考え方は基本的に関係ないということです。
同時に、会社の経営責任を持つという立場である以上、会社に何かが起これば時間関係なく動くことが求められてきます。
役員の休日
役員の休日は、勤務時間と同様、従業員向けの就業規則が適用されるわけではありません。
いつ働いても、いつ休んでもいいというような考え方になります。
実際の休日の取り方は、会社の状況や体制などによって決まることが多く、また臨機応変な対応が求められます。
また、役員には有給休暇もありません。
ただし、部長が役員を兼務する場合など「兼務役員」の立場となる場合は、労働者性があることから就業規則が適用され、有給休暇も発生すると考えられるケースが多いとされています。
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役員の残業時間
役員には就業規則による勤務時間の定めが適用されない以上、「残業」という概念もありません。
会社の状況によって、1日に3時間だけ働いてもいいですし、12時間以上働くことも構いませんが、いくら働いても残業にはなりませんし、残業代は支給されません。
ただし、兼務役員で労働者と同じような勤怠管理がなされている場合には、労働基準法が適用となり、会社は残業時間に応じて、しかるべき残業代を支払う義務があります。
兼務役員に労働基準法が適用になるかどうかは、その兼務役員の実質的な権限や立場によって変わってきます。
なお、世の中で実際に発生した例として、会社側が従業員へ残業代を支払わないようにするため、多数の従業員をむやみに役員(取締役)にするというケースがありました。
しかし、たとえ役員であっても、勤務の実態や実質が従業員と同様のものであった場合には役員とはみなされず、会社はその人に対し、労働基準法や就業規則に則った対応をしなくてはなりません。
役員は忙しい? 激務?
ここまで紹介したように、役員の働き方は、一般社員とは大きく異なったものとなります。
ただ、仕事の進め方や勤務時間が明確に決められていないぶん、その忙しさは人によって、あるいは時期によっても変わってくるのが実情といえます。
休む間もないほど働いている人も
役員の忙しさは、人によってまったく異なるものです。
たとえば、大企業で日々多くの利害関係の狭間で頭を悩ませながら重要な経営判断をする役員、講演会や国内・海外出張であちこち飛び回っている役員など、ほとんど休みなく多忙な毎日を過ごしている人がいます。
また、創業間もないベンチャー企業の役員は、限られたお金や人材をうまくやりくりして事業を伸ばしていかなくてはならなず、経営判断をしながら、自らがプレイヤーとしても不眠不休で働くような人もいます。
天下り役員に対する世間のイメージ
一方、世間では「役員はあまり忙しくないのに高級取り」のようなイメージを抱く人も少なくないようです。
この背景には、おそらく「天下り」の影響があると考えられます。
天下りとは、一般的に、退職したキャリア官僚(国家公務員)が、民間企業や団体へ役員として再就職することを指し、日本では昔からよく行われていました。
また、企業内の同じグループの中で、突然、親会社から新しい役員がやってくることも、天下りの例としてよく挙げられます。
このような天下り役員は、総じて過去のキャリアや輝かしい経歴があるため、役員としての実際の能力はさておき、待遇がよいです。
ただ、天下りによる不祥事やトラブルの例がニュースなどで挙げられることも多かったため、その働きぶりや実態に対して、非常に高い役員報酬を得ていることに不満を抱く人がいるのも事実です。
もちろん、天下りそのものに大きな問題があると一概にいえるものではありませんし、天下りの役員でも、会社のために忙しく働いて大きく貢献している人もたくさんいます。
役員の休日の過ごし方
役員には決まった休日がないため、会社の状況に応じて柔軟に休みをとることになります。
日々さまざまなことに追われている役員は、上手にタイムマネジメントをして、なんとか息抜きの時間を作っている人が多いです。
また、自宅で休養日として過ごす日も完全なオフではなく、常にパソコンを広げておいたり、家族と過ごす時間の合間をぬって仕事をしたりする人もいます。
セミナーや勉強会、他の経営者との交流に時間を割く人も少なくありません。
会社での立場や任されている役割にもよりますが、仕事に支障がないのであれば、ある程度の連休をとって旅行をすることもできます。
従業員のように細かく勤務体系が決められていない分、自分で上手に休む時間を捻出する意識が求められます。
「役員の勤務時間・休日」まとめ
会社法上の役員は、一般社員とは異なる契約を会社と結んでおり、労働者に適用される「労働基準法」の対象にはなりません。
勤務時間や休日が細かく定められないぶん、会社の状況に合わせて臨機応変に動く必要があり、激務となる場合もあります。
自分で上手にタイムマネジメントをしながらリフレッシュの時間を作りつつ、経営に携わっていくことが重要です。