出版社にはどんな職種がある?
編集・制作系の職種
「本をつくる」編集・制作系の仕事に関わる代表的な職種を紹介します。
出版社によっては名称が異なったり、一人が複数の役割を兼務していたりすることもあります。
編集者
編集者(エディター)は書籍や雑誌の企画を立て、制作全般のディレクションと管理を行う職種です。
作家やライター、デザイナー、カメラマン、イラストレーターなどに仕事を依頼し、それぞれから上がってきた素材をまとめて入稿できる形に整えます。
印刷会社とのやりとり、スケジュール組みや進行管理、校正などにも携わります。
雑誌取材記者
雑誌のテーマにもとづき、実際に現場へ足を運んだり、当事者の話を聞いたりして、より「リアル」な記事を作り上げます。
音楽雑誌ならアーティストへのインタビュー、グルメ雑誌なら店舗への訪問取材、ゴシップ雑誌なら有名人のプライベートへの張り込み、ビジネス誌ならトップインタビューや対談のレポートなどがあります。
校正・校閲者
原稿の誤字や脱字、文法の間違い、表現の違和感などを見つけ出し、訂正・指摘する仕事を担当します。
文章を書いた作家やライターでさえ見落としている間違い、差別表現、整合性がとれていない表記などに対して第三者の視点で指摘します。
誤植を防ぐだけでなく、作品の世界観を正しく表現できているかをチェックする重要な役割を担っています。
エディトリアルデザイナー
グラフィックソフトやDTPソフトを用いて、誌面のレイアウト、ページデザインを行っていく仕事です。
原稿や写真、画像、イラストなどの素材をラフ案にもとづいて実際にデータで組み上げていきます。
見た目の美しさはもちろんですが、より伝わりやすく、読みやすいデザインを考えていくことも大切な役割です。
ブックデザイナー(装丁家)
書籍の表紙やカバーのデザインを行う職種です。
デザインに凝った企画本の場合、本文を含めて一冊丸ごとの装丁を行うこともあります。
エディトリアルデザイナーやイラストレーターが兼任することもあれば、専任のブックデザイナーへ依頼することもあります。
カメラマン
出版物には多数の美しい写真が使用されます。
大手出版社では自社スタジオを持っているところもあり、誌面で使用する写真を専門的に撮影するカメラマンがいます。
中小出版社では外部のカメラマンに仕事を依頼し、外のスタジオなどで撮影することもあります。
営業系の職種
販売
出版物を適切に、より多く販売するための活動をする職種です。
マーケティング活動を行って新刊の発行部数を決定したり、販売促進に関わる仕事に携わります。
フェアやイベントの企画や、サイン会などの運営に携わったりすることもあります。
宣伝
自社の出版物がより多くの人に届くための施策を企画・実行していく職種です。
ポスターやPOP、交通広告、屋外ポスターなどの制作、PRのためのイベントの企画・運営などを行います。
それぞれの作品の特徴や魅力がより伝わるためのPR活動を考え、売上アップにつなげることを目指します。
営業
営業は、自社の雑誌に広告を掲載してもらうためのセールスを行う職種です。
広告主となるクライアントや広告会社と折衝を行ないながら、広告枠をより多く売っていきます。
クライアントとのタイアップ広告やコラボイベントなどの提案なども行い、双方のメリットになる企画を考え、実行していきます。
そのほか、取次会社に新刊の情報を伝えるための営業活動や、書店を回って自社の出版物がより多く売れるための施策を書店担当者に提案する活動なども重要な業務です。
管理系の職種
上記以外では、出版物をつくるための原価計算やスケジュール管理、資材調達などの職種があります。
一般的な企業と同じように、総務、経理、法務、人事、経営企画などの管理系の職種で働く人もいます。
管理系の職種の社員は、会社全体の業務がスムーズに回るようにお金の管理や庶務を行ったり、従業員が健康的に安心して働ける環境を整えたり、人材教育の計画を立てたりします。
さらに、出版物と関連性の強い知的財産や著作権関連のサポートを専門的に行う職種や、社内のインフラ整備やデジタル化を進めるシステム関連職として働く人もいます。