左官のやりがい

すべての建築物の仕上げるのが左官

一つの建築物を完成させるには鳶や配管、大工など多くの職人が関わります。

すべての職人が魂を込めて作り上げた建築物の最終工程である内装を担当するのが左官の主な仕事です。

いわば他の職人からバトンを受け取ってゴールテープを切るのが左官というわけです。

逆にいえば左官の仕事が適当であれば、その他がどんなに良い出来栄えであろうとその建物は台無しになります。

建築に携わったすべの職人の気持ちを背負って作業に励むことは非常に重圧のかかることであると同時に左官の醍醐味であるといえるでしょう。

会心の出来だと思える瞬間がある

左官の技術は一日や二日で習得できるものではありません。

長期にわたる見習い期間を経て、一人前として認められるようになっても扱う材料の中には塗りづらいものも多く、平らに塗るのに苦労することもしばしばです。

しかし、このような鍛錬の日々の中、会心の出来ともいうべき作業ができる日が訪れることがあります。

作業は一人で行うことが多いため、特に誰が見ているわけでもありませんが、そのような時は思わず声をあげてしまうことも。

職人としての至福の時であるといえます。

世界に一つだけの壁

左官が主に手掛ける塗り壁はすべて手作業。そのため、一つとして同じものはできません。

模様や色にも種類があり、施主の要望に応えて材料や塗り方なども変えていくため、同じ職人が塗った壁であっても一つひとつ異なるのです。

また、材料や塗り方が同じでも、別の職人が塗った壁は鏝の動かし方や腕の長さが異なるため、風合いに違いが出てきます。

一つひとつの作業が作品制作のような側面もあるため、クリエイターとしてのやりがいを感じている左官も多数います。

天然素材で救われる人がいる

近年の木造住宅は石油製品をベースにした建材が多く使われているため、シックハウス症候群を引き起こし、アトピーなどのアレルギーを持っている人にとって大きな悩みの種となることがあります。

ここで注目されるようになったのが、左官が手がける自然素材の壁です。

とくに「珪藻土(けいそうど)」「シラス」「炭」といったものを主要な材料とした塗り壁が用いられている住宅は「健康住宅」と呼ばれブームとなりました。

現在では健康志向の人々にだけでなく、住居を建築する際の定番になりつつあります。

このような健康素材を使った住宅で、アトピーなどのアレルギーが改善されたという声は施工した左官にとって大きな励みになります。

自分の仕事で誰かが救われるということが、やりがいにつながり、次の仕事に向けた気力の原動力となるといえるでしょう。

芸術家として高みを目指す

左官の仕事は非常に奥が深いものであり、一人前になるまでには相当の経験が必要になります。

さらに左官は皆、一人前になってからも修練と研鑽を継続し、更なる高みを目指しています。

そのような中でほんの一握りではありますが「超一流」の左官としてその名をとどろかせている職人が存在します。

その腕前は上手い、綺麗というレベルを超えて、もはや芸術ともいうべきものであるといっても過言ではありません。

左官に限らず職人の世界にゴールはありません。生涯をかけて己の向上に励むべき職種です。常に上を目指し続けられる仕事に従事することが職人一人ひとりのモチベーションになっているのです。