左官の現状と将来性

少し前までは力仕事のガテン系のイメージ

左官の仕事というと、塗り壁やタイル貼り、レンガ・ブロック積みやコンクリートの床仕上げが主だったものですが、いずれも力が必要な仕事です。

また、このような緻密さを求められる仕事がある一方で、コンクリートを流し込んだり、土工事も行ったりするなど、ガテン系の要素が強い仕事といえます。

少し前までは、緻密さが求められるというよりも、こういうガテン系のイメージが選考していたといえます。

日本が誇る伝統技術

左官の歴史は古く、一説には東大寺の壁塗りが官位を受領し、左官となったことがそのルーツであるともいわれています。

しかし、今日その伝承が危ぶまれているのが現状です。

工期至上主義ともいえる現代の建築業界において何工程もの作業を経て完成する壁塗りの文化は時間がかかるだけでなく、コストの面でも敬遠されがちです。

また、ほとんど一般の人には解らない塗り壁風クロスの出現により、その文化の継承は風前の灯火であるという声も聞かれます。

しかしその一方で、珪藻土(けいそうど)や漆喰(しっくい)、土などの自然の素材が注目されています。

健康志向の高まりで見直される

ところが、健康志向の高まりを契機として、左官屋の仕事が見直されました。

というのは、近年における住宅の気密化や、石油系や化学系の材料から発せられるホルムアルデヒド等によってシックハウス症候群となったり、アトピー・アレルギーがひどくなったりといったことが問題となり、自然素材が見直されたからです。

とくに、「珪藻土(けいそうど)」「シラス」「炭」といったものを用いた塗り壁はブームを越えてもはや定番化されています。

環境にやさしく、職人の手仕事で表現される深い味わいを持った左官仕上げの壁に、健康志向の人たちが目をつけたのをきっかけに、再び左官技術が注目され始めてきました。

これを受け、若い世代や女性の採用も積極的に行われ、高齢化の進む左官業界が活性化してきています。

このように、左官の仕事は健康志向の中で自然素材によって見直されました。

新しいことに取り組む姿勢が重要に

塗り壁の材料が増えたことにより、柔軟さや新しいことに取り組む姿勢というものが問われるようになりました。

仕上げも以前は平らにするのみでしたが、現代では模様をさまざまな形でつけるなど、従来のやり方とかなり異なってきています。

少子高齢化に伴って新築物件が減ったとしても、増改築等でも需要がありますし、もはや定番と化していますので、これからもこの手の仕事の需要はあるでしょう。

塗り壁の技能は芸術となるか

少し前に左官の挾土秀平さんが文化庁の国際交流の下、ニューヨークで左官のアート展を開きました。

左官の中でもとくに塗り壁というのは、卓越した職人がやると「芸術」の域に昇華します。それを国が認めて、世界に向けて交流の架け橋にしようとする中で挾土秀平さんに白羽の矢が立ったものです。

つまり、日本国内では左官の仕事は芸術ともいえるものとの認識があり、ニューヨークでの挾土秀平さんの活躍によっては国際的に芸術と認知される可能性があるのです。

このように、左官の仕事はいま、国際的なスポットを浴びているといえます。

これがすぐに一般の左官の仕事や求人などに結びつくことは難しいとは思いますが、それでも前向きなニュースであることは間違いなく、左官の未来につながることでしょう。