女性の役員のキャリアパス・結婚後の生活
女性の役員の現状
女性役員の割合は増加傾向
内閣府男女共同参画局の調査によれば、2012年から2019年の7年間で、上場企業の女性役員数は630人から2,124人と、約3.4倍に増えています。
しかしながら、役員全体で見たときの女性役員の割合は5.2%でしかありません。
欧米諸国では、女性の役員比率が30%以上を占めているところもあるのに対し、日本における役員は、まだまだ男性中心の肩書きであるといえるでしょう。
とはいえ、現代社会において、企業競争力や社会的評価を向上させるためにも多様な価値観の必要性が見直されており、女性役員を積極的に登用しようという動きは年々強まっています。
女性の役員が多い業種は?
女性の役員について業種別に見た調査では、女性役員が多いのはサービス業といわれています。
また、小売業や金融・保険業も比較的女性役員が多く活躍しているようです。
建設業や製造業などは役員も男性中心となっていますが、経営方針を固めていくうえでは女性の視点や経験が必要と考える企業も増えつつあり、積極的な女性役員の登用に取り組んでいる企業は増加傾向です。
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女性の役員の強み・弱み
女性役員を積極的に増やしている企業の多くが、女性ならではのコミュニケーション能力の発揮や、多様性のある組織づくりなどに期待を寄せています。
また、海外の調査では、女性役員がいる企業は、そうでない企業より業績が上がりやすいというデータも出ています。
その理由はいろいろと考えられますが、大きなものとして、経営の意思決定の場に女性の視点が加わることで、より多角的で柔軟な判断をしやすいことが挙げられます。
一般家庭では女性が購買の決定権を握っていることが多いため、女性視点を取り入れた経営判断は不可欠です。
意思決定層に女性を置くことで、より消費者のニーズ、マーケットの実態に合わせた経営判断をしやすくなるメリットが生まれ、女性役員を増やしていく企業が多くなっています。
一方、女性役員の弱みとしては、男性中心の世界で存在感を示していくことの難しさが挙げられます。
先に挙げた通り、日本の企業では、まだまだ女性役員は少数派と言わざるを得ません。
とくに古い体質や風土の企業では、抜擢された女性役員に対してあまりよい印象を抱かない人もおり、居心地の悪さを感じてしまう人もいるようです。
役員の結婚後の働き方・雇用形態
役員は一般社員のように会社の就業規則が適用されないため、会社のルールに則っていれば、ある程度自由な働き方が可能です。
とはいえ、常勤の社内取締役になれば毎日出社して、社員と同じような時間帯で仕事をすることが多いです。
役員の忙しさは委任契約を結ぶ会社や、任される役割などによっても変わってくるため、家庭生活と仕事を両立させられるかどうかを簡単にいうことはできません。
ただ、役員にまで上り詰めていく人は、社員時代にも家庭と仕事の両方に精一杯力を注ぎ、うまくコントロールしているケースが多いです。
工夫次第では役員になっても大きく生活スタイルを変えず、働き続けることも可能でしょう。
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役員は子育てしながら働ける?
40代など比較的若い年齢で役員になった場合、ちょうど子どもが最も手のかかる時期にあたることも考えられます。
経営の責任を担う役員は忙しくなりがちなため、子育てと仕事を両立させるためには、保育施設の利用や配偶者・家族の協力が不可欠になるでしょう。
なお、役員のなかには決まった日数や時間帯だけ出勤するような「非常勤」もいますが、役員をどのように選任するかは会社の事情などによって決まるため、自分の希望だけで選べるわけではありません。
一般社員であれば、子どもが幼いうちはパートや派遣社員として家庭優先で働く人もいますが、役員の場合はそうもいかないため、やや不自由さを感じることがあるかもしれません。
役員は女性が一生働ける仕事?
役員になる方法はいくつか考えられますが、社員として出世していった人が最終的に取締役のポストに就くケースも多いです。
そのため、まずは社員として長く働き続けられるかどうかということが、役員として活躍するための、ひとつの重要なポイントになるといえるでしょう。
女性は出産や育児などを機に退職する人も多く、とくに家庭と仕事を両立させるのが難しい状況になると、仕事を続けたくても続けられないといったケースが発生します。
しかし、組織の規模に関わらず女性の管理職登用に力を入れている企業では、女性の定着率向上を目指したさまざまな制度や働きやすい職場環境を整えられています。
女性がキャリアアップを目指していきやすい環境を選択すれば、役員になり、長く働き続けることも可能です。