会社役員は年金をもらえる? 従業員との違いは?
役員も厚生年金に加入する
会社の役員は、一般の社員(従業員)とは異なる立場で職務にあたっています。
会社との間で結ぶ契約についても、従業員が「雇用契約」であるのに対し、役員のそれは「委任契約」です。
その他にも役員と従業にはさまざまな違いがあります。
たとえば役員の場合、給料は給与ではなく「報酬」であること、また雇用保険には原則加入できないことなどです。
しかし年金に関していえば、一部の例外を除いて従業員とまったく同じ「厚生年金」に加入します。
役員だからといって、何か特別な年金制度があるわけではなく、その企業の一般従業員と同じような厚生年金保険へ加入するということです。
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厚生年金の加入条件
法人や、常時5人以上の従業員が働く個人事業所の役員は、報酬が支払われている場合、原則として厚生年金に加入します。(あわせて健康保険と、40歳以上であれば介護保険にも加入することとなります)
ただし、以下の場合は加入義務がありません。
- 無報酬であること(1円も発生しない)
- 非常勤役員であること
役員が厚生年金に加入する場合には、社会保険料は従業員と同じように、会社と本人が半分ずつ負担します。
厚生年金保険料はいつまで支払う?
厚生年金保険料の支払いは「退職するまで、または70歳まで」と義務付けられているため、多くの一般従業員は、60歳くらいの定年時期まで保険料の支払いを続けながら働きます。
もし65歳まで継続雇用される場合には、65歳まで支払う人が多くを占めています。
役員の場合には60歳や65歳を過ぎて就任する人もいるため、現役で経営に携わる場合には、70歳になるまでは厚生年金保険料を支払うことになります。
ただし、厚生年金の受給が可能になるのは、厚生年金のベースである国民年金に10年以上加入している場合です。
70歳になっても保険料の受給資格を満たす期間に到達していない場合には、「高齢任意加入被保険者制度」に加入することで、受給資格が得られるまで引き続き厚生年金保険料を支払います。
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老齢厚生年金がカットされる場合も
歳をとってからもらえる「老齢厚生年金」の受給開始年齢は、原則65歳です。
つまり、65歳を超えてからも役員として現役でいる場合、老齢厚生年金の受取権利を持って仕事にあたることになります。
老齢厚生年金は「加入期間」と「給料額」が増えるほど、将来的に受け取れる年金額も増えるしくみです。
したがって、高い役員報酬を受け取っていた人は、そこそこの給与しかもらっていなかった一般の従業員よりも、多くの年金を受給できます。
しかし、ここで気をつけなくてはならないポイントがあります。
日本では、本人の役員報酬と年金月額の合計が一定の額を超える場合、老齢厚生年金をカットするという国のしくみがあり、高い役員報酬をもらっている場合、引退をしない限り老齢厚生年金が受け取れないケースが発生するのです。
また役員報酬額によっては、老齢厚生年金の支給が全額停止ではなくても、一部支給停止となることもあります。
こうしたルールに引っかからないよう、役員報酬を減額し、年金を満額もらうといった調整を行うことはしばしば行われています。