出版社の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
出版社社員の仕事とは
出版社社員の仕事は、出版物を企画・制作し、印刷や発売にいたるまでの一連の工程に携わることです。
出版社が作り出す出版物には、小説・漫画・絵本・辞書・雑誌など、多様なジャンルのものがあります。
価値ある出版物を次々と世に生み出していき、人々に新しい知識や価値、喜び、感動などを伝えていきます。
出版社の代表的な仕事が、誌面の制作をする編集です。
このほか、出版社と関連性の深い「取次」といわれる会社や「書店」との関わりも、出版社社員の重要な仕事のひとつです。
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出版社社員の種類・分類
出版社は、昔から「大手三社」といわれる講談社、集英社、小学館と、それに次ぐ「準大手」のKADOKAWA、文芸春秋、マガジンハウスなどの企業が有名です。
これらの企業は、幅広いジャンルの出版物を扱う「総合出版社」と呼ばれることもあります。
一方、地図や辞書、児童書、経済・ビジネス、医療など、特定のジャンルや領域に特化した出版物を中心に企画・制作する出版社もあります。
最近は、各社とも電子書籍事業にまで手を広げる流れや、他のメディア(ゲーム・映画など)との融合なども進んでいます。
出版社社員の業務内容
出版社社員の業務内容は、以下のように分類されます。
出版物をつくる(編集)
出版社社員の代表的な業務のひとつが、小説や漫画、雑誌などをつくることです。
新たな出版物を制作するための最初の工程は、企画です。
編集者が中心となって、人々に受け入れられるものや、これまでにない価値を提案するものなど、いろいろな視点から書籍・雑誌の企画を立てていきます。
企画が固まったら、誌面制作に入ります。
構成・レイアウトを編集者自らが考え、記事は自身で書いたりライターに依頼したりします。
そのほか、カメラマンやイラストレーターと協力して誌面に必要な写真や図・イラストなどの素材も集め、エディトリアルデザイナーが素材をきれいに整理し、ページを仕上げていきます。
誌面の内容に間違いがないよう何度も確認と修正を繰り返しながら、よりわかりやすく、読者の興味をひく内容を目指します。
印刷用のデータを作成し、印刷会社への入稿を終えるところまであまり時間がとれない場合もあり、気が抜けません。
出版物を売る(営業)
出版社には、出版物を売る仕事や、より多くの人に読まれるための仕事もあります。
出版社において、編集と並んで欠かせないののが「営業」です。
営業の仕事を細かく分けると「広告営業」「取次営業」「書店営業」などがあります。
広告営業は雑誌に載せる広告主を探し、契約を結ぶための営業活動をします。
雑誌広告は出版社の大切な収益源のひとつですから、重要な仕事です。
取次営業は出版社と書店の間に立ち「卸」のような役割を担う取次会社に対して、新刊の情報を伝えたり、自社の本を数多く書店へ配布してもらえるよう交渉したりします。
書店営業は、出版取次店に対して自社の出版物の紹介および、多く発注してもらうための提案活動、また書店に対しては新刊を多くの人の目に留まる場所に並べてもらうための交渉をします。
本の発売にあわせたイベントやフェア企画の提案なども行い、より多くの人に本が届くような活動をしていきます。
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出版社社員の役割
出版社の役割は、書籍や雑誌の出版物を企画・制作することです。
出版社が作り出す出版物には、小説・漫画・絵本・辞書・雑誌など、多様なジャンルのものがあります。
このような出版物は、人々に新しい知識や情報を伝える「メディア」のひとつとして、またワクワクや感動を与える「エンターテインメント」として、古くから親しまれてきたものです。
価値ある出版物を次々と世に生み出していくことが、出版社社員の役割です。
また、出版社と関連性の深い「取次」といわれる会社や、実際に出版物が販売される「書店」との連携も行い、出版物の価値を世の中に広めながら出版業界を支えていきます。
出版社社員の職種
出版社によっては名称が異なったり、一人が複数の役割を兼務していたりすることもあります。
編集・制作系の職種
編集者
編集者(エディター)は書籍や雑誌の企画を立て、制作全般の管理を行う職種です。
作家やライター、デザイナー、カメラマン、イラストレーターなどに仕事を依頼し、それぞれから上がってきた素材をまとめて入稿できる形に整えます。
印刷会社とのやりとり、スケジュール組みや進行管理、校正などにも携わります。
校正・校閲者
原稿の誤字や脱字、文法の間違い、表現の違和感などを見つけ出し、訂正する仕事を担当します。
文章を書いた作家やライターでさえ見落としている間違いや、整合性がとれていない表記などに第三者の視点で指摘します。
作品の世界観を正しく表現できているかをチェックする重要な役割を担っています。
雑誌取材記者
雑誌のテーマにもとづき、実際に現場へ足を運んだり、当事者の話を聞いたりして、より「リアル」な記事を作り上げます。
音楽雑誌ならアーティストへのインタビュー、グルメ雑誌なら店舗への訪問取材、ゴシップ雑誌なら有名人のプライベートへの張り込み、ビジネス誌ならトップインタビューや対談のレポートなどがあります。
ブックデザイナー(装丁家)
書籍の表紙やカバーのデザインを行う職種です。
デザインに凝った企画本の場合、本文を含めて一冊丸ごとの装丁を行うこともあります。
デザイナーやイラストレーターなどが兼任することもあれば、専任のブックデザイナーへ依頼することもあります。
エディトリアルデザイナー
グラフィックソフトやDTPソフトを用いて、誌面のレイアウト、ページデザインを行っていく仕事です。
原稿や写真、画像、イラストなどの素材をラフ案にもとづいて実際にデータで組み上げていきます。
見た目の美しさはもちろんですが、より伝わりやすく、読みやすいデザインを考えていくことも大切な役割です。
カメラマン
出版物には多数の美しい写真が使用されます。
大手出版社では自社スタジオを持っているところもあり、誌面で使用する写真を専門的に撮影するカメラマンがいます。
中小出版社では外部のカメラマンに仕事を依頼し、外のスタジオなどで撮影することもあります。
営業系の職種
販売
出版物を適切に、より多く販売するための活動をする職種です。
マーケティング活動を行って新刊の発行部数を決定したり、販売促進に関わる仕事に携わります。
フェアやイベントの企画や、サイン会などの運営に携わったりすることもあります。
宣伝
自社の出版物がより多くの人に届くための施策を企画・実行していく職種です。
ポスターやPOP、交通広告、屋外ポスターなどの制作、PRのためのイベントの企画・運営などを行います。
それぞれの作品の特徴や魅力がより伝わるためのPR活動を考え、売上アップにつなげることを目指します。
営業
出版社には、書籍・雑誌の誌面をつくり上げていく「編集」の仕事のほか、「営業」に関連する仕事もあります。
出版社における営業の大きな役割は、自社の出版物をより多くの人に届けたり、売上をアップさせていったりするために動くことです。
出版社によって「営業」に関わる具体的な仕事内容や職種名は多少異なるのですが、大きく分けると「広告営業」「取次営業」「書店営業」があります。
広告営業
テレビ番組などと同じように、雑誌は広告によって収益を上げています。
広告営業は、自社が発行する雑誌の広告ページに広告を掲載したいと考えるクライアントを見つけて、交渉を行います。
単に決まった広告枠を売るだけではありません。
クライアント企業とタイアップしてお互いのメリットになる新しい広告をつくり出したり、イベントの企画を行ったりすることもあります。
「書籍・雑誌」という媒体を軸に、自社やクライアント企業の魅力を世の中に伝えたり、ターゲット層に刺さるプロモーション活動を企画したりと、クリエイティブな視点が求められる仕事でもあります。
取次営業
出版業界には、古くから独特の流通のしくみがあります。
それが「取次」といわれる会社の存在で、ちょうど書籍・雑誌をつくる出版社と、書籍・雑誌を売る書店の間に存在しています。
出版物の大半は、まず取次へ送られて、取次を介して全国の書店へ配本されます。
取次の役割は、各書店の過去の売上データなどをもとに、書店へ各出版物を何冊送るかを決定することです。
しかし、新刊の情報を最も把握しているのは、当然、本をつくり上げた出版社側です。
そこで取次営業は、新刊の情報を取次に伝え、少しでも多く必要な部数を確実に書店へ配布してもらえるように交渉していきます
加えて、売れ筋商品をアピールし、在庫しておくべき商品の提案なども行います。
書店営業
出版社と取次の関係が強いものだとしても、出版社が書店とはまったく関わりがないわけではありません。
実際に配本された出版物を売るのは書店ですし、書店側が「この本は力を入れて売りたい」と取次に注文することで、より多くの本が並べられる可能性もあります。
したがって、どうすれば自社の本が書店でより多く売れるのかを書店側へ提案することも、出版社営業の大事な役割です。
書店営業は、新刊の発行が決まるとチラシや注文票を持って書店の仕入れ担当者のもとに向かい、新刊の内容や魅力をアピールします。
その店の客層や過去の売上データをもとに、売れる冊数の見込みを立てて、取次店への発注を促します。
既存の商品については、在庫チェックや欠本の補充を行い、売上を伸ばすための陳列方法を提案したり、POPやポスターなどの販促物を置いてもらったりといったフォローを行います。
出版物の内容や季節、顧客層などに合わせて、出版物と掛け合わせたイベント・キャンペーンの開催などの提案などまで広く行っていくのが、書店営業の役割です。
その他の営業の仕事
ここまで紹介した営業のほかにも、営業に関連する仕事はさまざまなものがあります。
たとえば、自社の出版物をPRするための広告を新聞や電車の中吊り、インターネットなどへ出稿するための交渉をする営業担当がいます。
また、テレビやラジオの番組内、新聞や雑誌の書評コーナーなどにおいて自社商品の紹介を依頼したり、とくに力を入れている新刊や有名な賞を獲得した書籍などの場合は、消費者へ直接PRを行うイベントを企画することもあります。
大きな出版社では、ここで挙げたような営業の仕事を分業して行うことが一般的です。
一方、小さな会社では、1人あるいは数人ですべてを担当することがあります。
管理系の職種
上記以外では、出版物をつくるための原価計算やスケジュール管理、資材調達などの職種があります。
一般的な企業と同じように、総務、経理、法務、人事、経営企画などの管理系の職種で働く人もいます。
管理系の職種の社員は、会社全体の業務がスムーズに回るようにお金の管理や庶務を行ったり、従業員が健康的に安心して働ける環境を整えたり、人材教育の計画を立てたりします。
さらに、出版物と関連性の強い知的財産や著作権関連のサポートを専門的に行う職種や、社内のインフラ整備やデジタル化を進めるシステム関連職として働く人もいます。
出版社社員の有名な企業
出版総合系の大手三社
日本に出版社はたくさんありますが、昔から「大手三社」といわれるのが講談社、集英社、小学館です。
いずれの企業も、文芸誌や児童書、雑誌、漫画などの出版物を手広く扱っており、売上高も大きなものとなっています。
大手三社は組織としての規模が大きいだけに、部署や事業部が多岐にわたります。
出版社社員は、おもに「編集系」「営業系」「管理系」に分かれ、それぞれ役割分担しながら仕事を進めています。
準大手
大手三社に次ぐ出版社としては、KADOKAWA、文芸春秋、マガジンハウス、新潮社、朝日新聞出版などがあります。
このうちKADOKAWAは近年、映画やソフト関連事業への展開もあって売上高を大きく伸ばしており、大手三社に割って入る存在となっています。
「芥川賞」や「直木賞」といった著名な小説賞を制定した文芸春秋のように、独自の事業展開でブランド力を強めている出版社もあります。
出版社は比較的歴史が古い企業が多く、準大手企業も例外ではありません。
専門系
ここまで挙げた企業以外に、特定の領域・ジャンルに強みをもつ出版社があります。
たとえば地図で最大手のゼンリン、旅行ガイドで有名な昭文社ホールディングス、経済・ビジネスに強い日系BPや東洋経済新報社などがあります。
このような企業は、大手や準大手と比べると売上規模は10分の1程度以下の企業も少なくありませんが、専門系の出版社だからこそ提供できる深く価値ある知識を、出版物として世に生み出しています。
電子書籍
出版不況といわれ、紙の出版物の売上が落ちているなか、電子書籍専門の出版社が増えています。
印刷会社大手・凸版印刷の子会社であるBookLiveや、電子書籍販売サービスの「ebookjapan」を展開するイーブックイニシアティブジャパンなどが有名です。
電子書籍分野には、新しい企業の参入が目立ちます。
出版社社員の仕事の流れ
出版社社員の仕事は多様ですが、ここでは、ひとつの出版物ができあがるまでの大まかな流れを紹介します。
企画、役割分担
新たな出版物を作る際には、編集者やプランナー、クリエイティブディレクターなどが書籍や雑誌の内容を企画。
企画が通ると、著者やライター、デザイナー、イラストレーター、カメラマンなど必要な人材を決め、仕事を依頼します。
制作、編集
著者やライター、デザイナーなどが編集者とやりとりをしながら依頼された内容の仕事を進め、修正と校正を繰り返して精度を上げていきます。
制作メンバーに加え、プロの校正士がより厳密な校正を行うこともあります。
入稿、色校正
完成した原稿を印刷会社に入稿します。
最近はAdobe社のDTPソフト「InDesign」などで制作したデータ原稿が主流です。
広告などはグラフィックソフトの「Illustrator」や「Photoshop」で制作される場合もあります。
印刷会社では入稿データをもとにページの面付けを行い、ゲラと呼ばれる校正用紙を出力して出版社へ出稿。
出版社では制作メンバーが、誤植を防ぐためにあらためて文字校正を行い、カラーページの色校正を行います。
下版、印刷、製本
校正結果にもとづいた修正がすべて済むと「校了」となり、印刷会社では印刷用の版を作る下版、刷版へと進みます。
いよいよ印刷を行い、刷り上がったら断裁、折丁、綴じなどの工程を経て製本が完了します。
発売
完成した出版物は、取次を介して書店やコンビニエンスストアなどの販売店へ出荷され、ようやく読者のもとに届きます。
新たな出版物の発売にあたって宣伝や営業が活躍し、フェアやイベントを開催することもあります。
出版社社員の雰囲気・風土は?
出版社の社内の雰囲気・風土
社内は比較的騒がしい
出版社の社内は、一般的な企業と比べるとひっきりなしに電話が鳴ったり、社員同士でディスカッションしていたりと、慌ただしい雰囲気です。
編集部では常に人がバタバタと動いており、シーンとしていることはまずありません。
正式な編集会議や大人数での話し合いはミーティングルームで行われますが、編集者がデザイナーに修正依頼をするなど、ちょっとした話し合いはデスク単位で行われることが多くあります。
同じフロア内なら電話を取り次ぐ際も内線を使うより、大声を出して呼びかけてつなぐのが普通で、よくいえば活気にあふれ、悪くいえば騒がしい環境だといえるでしょう。
積極的な意見やアイデアが求められる
一般的な企業では、若手が上司に意見を述べたり、新人がアイデアを出したりすることは気が引けるものですが、出版社ではこうした姿勢はむしろ歓迎されます。
読者の視点を重視した出版物をつくるために、編集部員は常に第三者の意見・アイデアを求めているといっても過言ではありません。
とくに現場に染まっていない、新入社員のフレッシュな意見は重宝される傾向があります。
雑誌の企画出しの際に、先輩のアイデアがボツになり、後輩のアイデアが採用されることも日常茶飯事です。
とはいえ、思いつきだけで発言した意見・アイデアが必ず採用されるとは限りません。
「次の会議までに企画を100個考えてこい!」といったムチャぶりをされることもあり、慣れないうちは苦痛に感じることもあるでしょう。
出版社に入ると、どんなときでもおもしろいネタを仕入れるつもりで生活していくことが大切になってきます。
出版社社員のワークスタイル
個性を尊重したファッションも許される
出版社の社員の服装は、俗にいうオフィスカジュアルが基本です。
営業職以外は、大事な商談やプレゼンのときでもノーネクタイが許される風土があります。
営業職でも、カッチリとしたスーツとネクタイ着用を義務としている企業は半数以下でしょう。
編集職であれば、ファッションの自由度はかなり高くなります。
あまりに奇抜な髪形や露出が多すぎる服装でない限り、ファッションは社員の個性が尊重され、ネイルアートをしている女性も多く見られます。
自分の裁量で仕事を進められる環境
出版社の仕事(とくに編集)は、残業が多く、拘束時間が長くなりがちです。
その分、職場にもよりますが、少し空いた時間に昼寝をしたり、カフェで一息ついたりしてメリハリをつけて働く人が多いです。
前日に深夜までの残業になってしまった場合、翌日は遅出や午後出勤、半休を取ることが認められることもあります。
出版社の仕事は、画一的なルールが当てはまらない部分があります。
「きちんと自分の業務をまっとうすれば、細かいところまではうるさく言わない」というスタンスの職場も多いです。
比較的自由な考えをもつ上司がいるセクションでは、個人の裁量が大きく、働きやすさも改善の方向に向かっているようです。