一般事務員の給料は低い? 年代別の年収や手取り額、ボーナスも解説
しかしながら、スキルや経験、勤務する企業によっては、比較的よい給料や待遇で働く人もいます。
この記事では事務職の給料・年収事情をデータを見ながら紹介し、さらに事務職として年収を上げるためのポイントも解説します。
一般事務の平均年収・給料の統計データ
一般事務の平均年収は、民間の各種調査を参考にすると、330万円前後がボリュームゾーンと考えられます。
勤務先の地域や規模、雇用形態、ボーナスの有無や支給額などによって収入は変わりますが、派遣社員やアルバイト・パートの採用も多く、全体としては高収入を得るのは難しい職種といえます。
一方で、正社員として大手企業へ就職した場合は福利厚生や待遇面が充実しており、安定した収入や働き方が実現しやすいです。
そのため、年齢が上がると年収400万~500万円台になる人もいます。
一般事務として収入アップを目指すのであれば、経理や簿記、営業、秘書などの知識とスキルまで身につけて、他の人と差をつける必要があるでしょう。
一般事務の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、一般事務の平均年収は、44.2歳で511万円ほどとなっています。
※出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
一般事務の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
一般事務としての年収が330万円だった場合、手取り年収は単純計算で260万円ほどと推定されます。
ボーナスの支給が年に2回(4か月分)ある場合には、月の手取りは17万円前後となるでしょう。
ただし、各種手当の支給状況によっても収入は変動します。
一般事務の初任給はどれくらい?
一般事務は、日本全国の多くの企業で募集されており、新卒採用の場合、いわゆる事務業務にあたる社員は「一般職」という名称で採用されることも多いです。
一般職や一般事務職として採用される社員の初任給は、都市部の企業では20万円程度が相場です。
しかし地方では、もう少し低めの水準になるケースも多く見られます。
なお、企業によっては学歴ごとに初任給に差をつけており、高卒よりも短大卒や専門学校卒、さらにそれよりも大卒の人のほうが高めとなります。
一般事務の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
一般事務の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める一般事務の平均年収は404万円、100〜999人規模は479万円、1,000人以上の規模では603万円、10人以上規模の事業所平均は511万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「総合事務員」で貿易事務、介護事務、学校事務など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
一般事務の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
一般事務の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の625万円です。
全年代の平均年収は511万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「総合事務員」で貿易事務、介護事務、学校事務など他職業を含むデータです。
20代で正社員への就職・転職
一般事務の給料・年収の特徴
ここからは、一般事務の給料・年収の特徴を紹介します。
特徴1.経験・スキルによって少しずつ給料は上がる
一般事務の平均年収は、250万円~350万円前後がボリュームゾーンとなっています。
正社員のほか、派遣社員、契約社員、パート・アルバイトといったさまざまな雇用形態で働く人が多い職種です。
しかし、他の職種に比べると専門性が問われにくい仕事であることから、各雇用形態で収入にそこまで大きな差は出にくいのが現状です。
ただし、経験を積むに従って給料は少しずつ上がっていき、20代であれば年収200万円台という人も少なくないものの、40代を超えると300万円台後半にまでアップする人が増えていきます。
さまざまな事務スキルを身につけ、各職場で必要とされるベテランになると、給料アップにつながることがあります。
特徴2.勤務先の選択肢が多彩
一般事務は、他の職種と比べてもあまり給与水準が決して高い職種とはいえず、全体的に見ても年収500万円以上を得られる人は限られているようです。
一般事務は業務範囲が広い割に、営業のように自ら利益を生み出す仕事ではなく、仕事の結果も見えにくいため、どんどん収入をアップさせるというのは難しいのが実情です。
ただし、一般事務の最大の魅力は勤務先の選択肢がさまざまであることです。
さまざまな業種において、大手企業から中小企業までが一般事務を募集しており、働き方の選択肢も多種多様です。
一般的には大手企業のほうが給料や待遇はよく、地方よりは大都市圏のほうが給料は高めの傾向ですが、勤務先の地域や勤務条件、労働環境などを比較して、自分に合う職場を選びやすいでしょう。
特徴3.他のスキルが必要とされる職場も
通常、一般事務に求められるスキルは、パソコンでの文書作成やデータ入力、プレゼンテーション資料の作成、ファイリングといった事務スキルです。
ただし、職場によっては簿記や秘書などのスキルまで求められることがあります。
オフィスワークで必要な知識、経験、スキルを備えていると、採用時に優遇されることがあるため、身につけておいて損はありません。
なお、同じ事務職であっても、営業部で営業担当を専門的に支える事務は「営業事務」、貿易関連会社で事務業務にあたる場合は「貿易事務」など、別の名称で呼ばれることもあります。
こういった仕事では、一般事務よりも専門的かつ高度な事務スキルが求められることが多いです。
一般事務の福利厚生の特徴
一般事務の福利厚生は、勤務先と雇用形態によって変わってきます。
正社員として就職した場合には、他職種の社員と同じ福利厚生が適用されます。
大手企業であれば、社会保険や各種手当(住宅手当、家族手当、通勤手当等)の支給をはじめ、財形貯蓄、健康診断、慶弔災害見舞金、従業員持株会、退職金制度などを設けていることが多いです。
出産や育児、介護といった家庭生活と仕事の両立、ワークライフバランスを重視した福利厚生を積極的に整える企業もあります。
中小企業の場合、大手に近いくらいのさまざまな福利厚生を整えている企業がある一方、あまり充実していない企業もあるのが現実です。
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一般事務の年代別の平均年収は?
一般事務の年代別の平均年収を紹介します。
年代が上がるにつれ、少しずつ平均年収も上がっていきます。
20代の場合
求人情報サイトの調査結果や各社の採用情報をもとに考えると、20代の事務職の平均年収は300万円ほどです。
20代全体における平均年収は約350万円であり、全体平均よりも低い年収であることがわかります
30代の場合
30代の事務職の平均年収は350万円ほどです。
20代の平均と比べると50万円ほど上がっているものの、30代全体の平均年収が約450万円であることを考えると、その差がより広がっていることがわかります。
40代の場合
40代の平均年収は約370万円です。30代と比べると大きく変わりません。
一般的な職業では、40代ともなると管理職になるなど年収アップを目指せる年代ですが、事務職に関しては大幅な年収アップは難しいことがわかります。
40代全体の平均年収は約510万円であり、その差は140万円ほどの開きがあります。
職種によって平均年収に違いはある?
事務職は、担当する業務内容から、いくつかの種類に分けることができます。
ここでは一般事務のほか、さまざまな事務職ごとの平均年収を紹介します。
一般事務
求人情報サイトの調査結果や各社の採用情報をもとに考えると、一般事務の平均年収は300万円~350万円ほどがボリュームゾーンと考えられます。
営業事務
営業事務の平均年収は300万円~350万円ほどで、一般事務とほぼ同水準です。
一般事務と営業事務は専門的な知識が問われず未経験者を採用しやすいため、低めの水準になっていると考えられます。
医療事務
医療事務全体の平均年収は230万円~320万円ほどと考えられます。
正社員の平均年収は300万円~400万円程度ほどが見込めます。
資格が必要な職業であるものの、資格手当がつかないところが多く、地域や勤務する病院によって大きく差が出やすいのが特徴です。
貿易事務
貿易事務の平均年収は400万円前後がボリュームゾーンと考えられています。
税関や輸出入等に関する専門知識が求められる職種のため、一般事務職よりもやや高水準です。
貿易事務としてのキャリアを積み、専門性を高めていくことができれば、他の事務職よりも収入は上げやすいでしょう。
法律事務
法律事務(パラリーガル)の年収は、平均約250万円あたりがボリュームゾーンとなるようですが、スキルアップすると500万円程度まで昇給するケースもあります。
高度な業務内容を求められるパラリーガルが専門法律事務職として重宝されれば、年収は500~700万円程度にまでアップすることがあります。
一般事務の平均年収が低い理由は?
一般事務は、他の職種と比べるとやや給与水準が低めで、キャリアを重ねても大幅な年収アップが実現させづらい面もあります。
以下で、その理由について説明します。
企業の利益に直接結びつかない職種のため
企業には、売上や利益に直接結びつく仕事をする職種と、それらの人たちを後方で支える職種があります。
事務職が担当するのは、まさに後者で、営業や販売、商品開発といった利益を生み出す職種の後方支援の役割を担います。
企業としては、どうしても直接利益に結び付く職種に高収入を与え、モチベーションをアップさせることで自社の利益に貢献してほしいと考えます。
営業などはプレッシャーや数字のノルマも厳しい反面、自身の成果に応じては高収入を得ることができる仕組みになっているのです。
一方で、サポート役となる事務職はやや低めの給与水準に設定されています。
もちろん、事務職も企業に必要な仕事であることにかわりはないのですが、その業務の特性上、一般的には事務職の給与は低くなってしまう傾向にあります。
残業が少ないため
一般的に、事務職は残業が少なく定時で働きやすい職種です。
残業が少なければもちろん残業代は出ないため、残業が多い職種と比べれば年収も低くなってしまいます。
ただし、勤務する業界や仕事内容によっては、事務職も残業を強いられるケースもあります。
キャリアアップしづらいため
他の職種に比べて、事務職は昇給やキャリアアップがしづらい仕事です。
長年勤めていてもほとんど同じ仕事を任されていたり、資格を取得しても手当が出なかったりするところも多いです。
給料は、ある程度の年齢になると頭打ちになってしまう傾向があります。
男性と女性で事務職の年収に違いはある?
一般事務というと、女性のイメージを持つ人も多いかもしれませんが、男性でも事務職で働いている人は少なくありません。
男性と女性で基本的に年収に違いはありませんが、その役割や業務の特性上、どちらの場合も特別高い年収を期待することは難しいのが現状でしょう。
ただし、女性よりも男性のほうが、長く務めることで管理職などの役職につき、年収を伸ばしている人が多いでしょう。
事務職でキャリアアップしながら年収を大幅にアップさせるのは難しいため、営業職などインセンティブがつく仕事に転職する人もいます。
一般事務の正社員以外の給料・年収
一般事務は、正社員として働く以外に、さまざまな雇用形態で活躍する人がいます。
ここでは、雇用形態別の事務職の給料・年収の特徴を紹介します。
派遣社員
派遣社員としての一般事務の求人は非常に多いです。
企業側としては、正社員を雇うよりも低コストで事務業務を担ってくれる人材がいることで業務効率化につながるメリットがあります。
一般的に、派遣社員は正社員よりも給与水準が低めですが、一般事務の場合、条件次第では派遣のほうが高収入になる可能性があります。
とくに事務経験が豊富で、多様な業務をスムーズにまわせるスキルをもつ派遣の一般事務は、好待遇で採用される傾向です。
しかし、正社員のような昇給の機会がほとんどなかったり、ボーナスも支給されないなど、待遇面ではどうしても正社員に劣ります。
アルバイト・パート
アルバイト・パートとしての一般事務職の求人も出されています。
アルバイト・パートの場合は会社の事情にもよりますが、派遣のような期間限定ではなく、中長期的に同じ職場で働き続けることも可能です。
時給は、働く地域や企業の規模などによって1,000円~1,300円程度が相場であり、決して高くありませんが。
しかし、頑張りや成果を認めてもらえると、そこから契約社員や正社員へステップアップできるケースがあります。
フリーランス(在宅勤務)
一般事務の多くはオフィスワークをしていますが、なかには在宅で働ける求人もあります。
在宅での事務業務は、簡単なデータ入力、情報収集、資料作成などが一般的で、クラウドソーシングなどのサービスで業務委託として仕事をする形が一般的です。
長期雇用の求人は決して多くなく、給料は案件ごとの報酬となるため、安定した収入はのぞみにくいです。
しかし会社に出勤するのが難しい場合や、時間や場所にしばられずにお金を稼ぎたい人などには、この形態の働き方も人気があります。
一般事務が収入を上げるためには?
一般事務は需要のある職種であり、働き方などによっては収入を上げることも可能です。
以下で、一般事務が収入を上げていくためのポイントを紹介します。
専門的なスキルを身につける
一般事務は収入を上げにくい職種ではありますが、そのなかでも少しでも収入アップを目指すのであれば、やはりスキル面で他の人と差をつけることが近道となります。
たとえば、簿記のスキルを生かして経理の仕事まで兼務できることをアピールすれば、企業によっては優遇されることがあります。
あるいは、事務職のなかでも「営業事務」や「貿易事務」といった職種で募集されている場合には、それぞれの仕事に関する専門知識やスキルが求められることが多く、一般事務よりは若干高めの給与に設定されるケースが多いです。
一般事務の場合、簡単なパソコン操作さえできれば経験や特別なスキルは問わない求人も多いため、少しでも専門性が問われる求人を探したほうが、よりよい待遇で働けるチャンスが掴みやすいでしょう。
都市部のできるだけ規模の大きい会社を選ぶ
事務職は地方よりも、比較的都市部の企業の方が給与の水準が高くなります。
もし可能なのであれば、できるだけ都市部での就業を目指すのがよいでしょう。
また、規模の大きい会社であればあるほど、福利厚生がしっかりしており、昇給の見込みがある傾向にあります。
ただし、一般事務職の求人は都市部でもかなり幅があるので、他の企業への転職を目指すのであれば、条件をよく確認しましょう。
成長している業界で働く
IT、物流、医療など、できるだけ今後成長が見込める業界で就職することも、年収アップの大きなポイントです。
一般事務職はどのような企業でも必要とされるため、こだわりがないのであれば、こうした企業で働くことで収入アップが期待できます。
「一般事務の年収・給料」まとめ
一般事務は、オフィスワークができ、また未経験でも採用されやすいこともあって人気の高い職種です。
しかしながら、給与水準はそこまで高いわけではなく、長く勤続しても大幅な給与アップは見込みづらい仕事です。
少しでも年収をアップさせるためには、専門性を身につけてスキル面で他の人と差をつけたり、給与水準の高い業界や大企業へ転職するといった方法が考えられます。