柔道整復師の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

柔道整復師の仕事とは

柔道整復師とは、骨や関節、筋や腱、靭帯といった箇所に発生する骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などを治療する仕事です。

柔道整復師の特徴は、基本的に素手でのみ治療を行うことです。

病院と異なり投薬や手術は行わず、湿布や包帯、テーピングのみで施術をします。

人間の持つ自然治癒力を発揮させるという東洋医学の考え方で治療法が成り立っています。

このような柔道整復師の施術は「医療類似行為」といわれており、「骨や筋肉などに加わる急性又は亜急性の外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対しての整復や固定をすること」の範囲内であれば、医師の医療行為と同じ施術(医療類似行為)を行うことが可能です。

ただし、骨折や脱臼の治療については、応急処置以外では治療の際に医師の同意が必要とされています。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

柔道整復師の業務の内容

柔道整復師とは何か

柔道整復師は、外科のような手術をせずに、人間の治癒力を利用して骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などを治療する伝統的な医術による施術を行う治療家です。

その治療は「医療類似行為」と定められていることから、慢性的な肩こりなどを除けば保険治療が適用されます。

柔道整復師は「ほねつぎ」や「接骨師」と呼ばれ、昔から親しまれてきました。

ほねつぎは接骨術を継承していますが、柔道の師範や師範代などが資格を取得して接骨院を営むケースもありました。

現在はそうした接骨院や整骨院で働く人を「柔道整復師」、または略して「柔整師」といいます。

柔道整復師の施術とは

病院の整形外科で働く柔道整復師の場合、CTスキャンなど病院にある最新の設備を利用して治療を行うことがあります。

ですが、柔道整復師は基本的に、目で見る「視診」と、患部に触れる「触診」によって損傷の状態を正確に把握し、損傷の状態にあった適切な判断と治療ができるように訓練されています。

単に患部が痛いといっても骨が折れている場合もあれば、関節が外れている場合もあります。

また、肉離れを起こしている場合や、単なる打ち身である場合など、損傷の仕方はさまざまです。

柔道整復師は患部や患者さんの様子を見て、そして触れることによって、損傷の状態を判断するのです。

そして損傷ができるだけ早く回復するように、固定や整復、理学療法、運動療法、テープ療法など、損傷に合わせた治療を行っていきます。

柔道整復師の役割

患者さんの自然治癒力を生かした治療をする

柔道整復師は人間が持つ治癒力を利用して治療を行います。

なかには損傷が重篤なために長期に渡る治療が必要な場合や、治癒しているにも関わらず、損傷した部分に不快や違和感などをおぼえたり、うまく動かなかったりすることもあります。

また、損傷したことが原因で、損傷した部分以外に不快や違和感をおぼえるようになってしまうこともあります。

そうした場合、柔道整復師は損傷した部分だけでなく、患者さんの体全体の様子を視診・触診して診断し、施術をしていきます。

しかしながら、患者さんが柔道整復師の指導をよく聞き、守ってくれなければ効果は現れません。

そのため、治療において患者さんと柔道整復師との間の信頼関係があるかどうかは非常に重要となります。

患者さんとの信頼関係を築きながら治療を行っていくことが柔道整復師の役割でもあり、大きな信頼を得てこそ治療もうまくいくのです。

柔道との関連性は?

柔道整復術は1920年に公認されたのですが、このときの資格は「柔道の教授をなす者」が捻挫や脱臼などの治療を行えるというものでした。

武術である柔道ではケガをすることが多々あり、そうしたときは、柔道の先生が治療を行っていました。

柔道整復師が治療で行う技術は、昔から伝えられてきた柔道の技や、柔術の特性を生かして発展していきました。

柔道で使われる当身技、投技、関節技の知識が損傷を回復する技術に生かされてきたのです。

柔道整復師の技術は柔道の発展とともに歩んできたといってもいいでしょう。

そのため柔道整復師の名称には「柔道」という文字が含まれています。

現在でも、柔道整復師の養成学校の授業では柔道が行われる場合もありますが、柔道の技術が優れていなければ柔道整復師になれないわけではありません。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

柔道整復師の勤務先の種類

柔道整復師の勤務先や働き方は、大きく分けると以下のようなものが挙げられます。

・整骨院・接骨院
・病院の整形外科
・スポーツ領域(スポーツトレーナー
・福祉・介護業界
・独立・開業

整骨院や接骨院は数が多いだけに、柔道整復師の代表的な就職先となっています。

また、経験を積んだ柔道整復師は独立し、自分の院を開業する人も少なくありません。

一方、最近ではスポーツトレーナーとしてアスリートの身体づくりやコンディション調整に携わったり、介護・福祉や美容など、医療とは異なる領域で柔道整復の知識や技術を生かす人も増えつつあります。

代表的な活躍の場は接骨院や病院

柔道整復師の勤務先として最も代表的といえるのが、接骨院や病院の整形外科です。

整骨院・接骨院で働く柔道整復師

とくに接骨院に関しては、柔道整復師が個人で運営する地域密着型の小規模な院も多くあります。

このような院では、筋肉や骨などに違和感を抱える患者さんに対し、目で見る「視診」と患部に触れる「触診」によって、損傷の状態を正確に把握し、損傷の状態にあった適切な判断と治療を行っていきます。

そして固定や整復、理学療法、運動療法、テープ療法など、損傷に合わせた治療を行っていきます。

整骨院・接骨院は数が多く、院によって経営方針や働き方はだいぶ変わってくるでしょう。

また、立地によってお年寄りの患者さんが多かったり、運動に打ち込む学生の患者さんが多かったりなど、患者さんの種類にも多少の違いが出てきます。

日常生活のなかで、何かしらの原因で筋肉や骨に違和感を抱えている患者さんにとって、柔道整復師が活躍する接骨院は心強い存在となります。

病院(整形外科)で働く柔道整復師

柔道整復師は、病院の整形外科で働く人もたくさんいます。

病院の整形外科で働く柔道整復師は、医師や理学療法士の指示によって、リハビリや整復補助を行います。

理学療法士の仕事

「リハビリ」とは、固まってしまった患部を物理療法や手技療法によって施術することです。

柔道整復師の治療方法は、患部を固定や整復するといった手術をしない「非観血的療法」によって損傷を治していくため、関節部分などを長く固定しているとその部分が固まってしまいます。

それを元通りに動けるよう助けるのがリハビリです。

また、最近では整形外科以外で働く柔道整復師も増えてきており、医療現場で活躍できるチャンスも広がっているようです。

柔道整復師はスポーツ領域でも活躍できる

選手の身体づくりに貢献する

柔道整復師といえば、街の整骨院や整形外科などで一般の患者さんに施術を行うイメージが強いかもしれません。

しかし、実際には柔道整復師は多様な場で活躍しており、なかには「スポーツトレーナー」として、スポーツの世界で専門的なスキルを発揮する柔道整復師も大勢います。

スポーツトレーナーとは、おもにサッカーや野球、陸上、水泳など、さまざまなスポーツ選手の身体づくりやトレーニングのサポート、コンディション管理などを専門に担う仕事です。

具体的には、ケガをしにくいトレーニングの方法を指導したり、筋力を高めるための栄養管理を行ったり、さらにはケガの手当や精神面のケアなどに幅広く関わっていきます。

一人のスポーツトレーナーがある選手の「専属」となって、これらの役割をすべて担うこともあります。

選手のコンディション管理に関わることが多い

実際には栄養管理については「管理栄養士」の資格を持っている人が担当し、トレーニング指導はトレーニングのプロが担当するといったように、それぞれの専門性を生かした「分業」の形で行うことも多くあります。

このように、スポーツトレーナーが多岐に渡る役割を担うなかで、柔道整復師は、おもにスポーツ選手の「コンディション維持・管理」の面において、大きく力を発揮できます。

たとえば、選手がケガをした際には、患部の状態を確認してアイシングやテーピングなどの救急処置を行ったり、回復を促すためのリハビリテーションをサポートします。

また、選手の日々の身体づくりについてもアドバイスを行い、選手と二人三脚となって活動していきます。

スポーツトレーナーの仕事

柔道整復師がスポーツトレーナーとして働くには

スポーツ医学を学べる専門学校も

ひとことで「スポーツ」といっても、実際には、瞬発力が求められるスポーツ、持久力が必要とされるスポーツなど、競技ごとに特性が大きく異なります。

選手のコンディションを管理するためには、選手が行う競技の特性を知り、そのうえで最適な身体へのアプローチ方法を知っていなくてはなりません。

柔道整復師になるための専門学校のなかには、「ゆくゆくスポーツトレーナーとして活躍したい」と考える人向けに、スポーツ医学についてより深く学べるコースや学科を置いているところがあります。

このような学校に進学すれば、柔道整復師の国家資格を取得したのちに、スポーツ業界への就職がより近づいていくでしょう。

具体的な就職先や活躍の場は?

柔道整復師がスポーツトレーナーになりたい場合、狭き門ではありますが、プロのスポーツチームのほか、企業や大学などのスポーツチームの求人を探して採用してもらう道が考えられます。

専門学校では、スポーツ業界に関連する就職先を紹介してもらえることもあります。

あるいは、実績のあるスポーツトレーナーであれば、フリーランスとなって選手個人との契約を結んで働く人もいますが、未経験者がいきなりこのような形をとるのは難しいでしょう。

柔道整復師の資格を生かしながらスポーツ領域での活躍を目指したいのであれば、柔道整復師としての確かなスキルを身につけたうえで、スポーツそのものやアスリートの身体に関わる専門的知識・技術を学んでいくことは不可欠といえます。

福祉・介護業界で働く柔道整復師の仕事

「機能訓練指導員」としての需要がある

柔道整復師は、整骨院や整形外科、あるいはスポーツ業界など多様な場所で活躍していますが、近年注目を集めているのが「介護・福祉業界」で働く柔道整復師の存在です。

介護・福祉業界では、おもに介護施設やリハビリテーション施設で柔道整復師の需要があり、そこでは「機能訓練指導員」として働けます。

機能訓練指導員とは、「通所介護(デイサービス)」において、要介護者などの筋力低下の予防を目的とした「機能訓練(運動の指導など)」を行う人のことをいいます。

特別養護老人ホームでは、機能訓練指導員を必ず1人以上配置することが法的に義務づけられているため、機能訓練指導員は一定の需要があります。

機能訓練指導員として働くには

機能訓練指導員そのものは、柔道整復師のような国家資格ではありません。

柔道整復師の免許を持っていれば、介護保険法に基づいて、機能訓練指導員の資格も自動的に得られます。

こうしたことから、時代とともに高齢化が進んでいるいま、リハビリテーション施設や老人ホームなどにおける柔道整復師の免許を持つ人の需要が高まっています。

福祉・介護業界で働く柔道整復師は、身体機能の訓練を行うことはもちろんですが、高齢者同士のコミュニケーションのお手伝いをしたり、一人ひとりの精神的な支えになったりと、多様な役割を果たしています。

さらなるステップアップも可能

福祉・介護施設で働いている柔道整復師は、機能訓練指導員から、さらにステップアップすることも可能です。

たとえば、5年の実務経験を積むことで「ケアマネジャー(介護支援専門員)」になる道も開けるほか、福祉系の国家資格である「介護福祉士」を目指したり、各施設の役職者や施設長になるなど、自らの意志と努力によって、多様な活躍が望めます。

ケアマネジャーの仕事
介護福祉士の仕事

独立・開業して働く柔道整復師

柔道整復師の資格があれば、独立して整骨院や接骨院を開業することもできます。

もちろん、柔道整復師は経験を積んでいくことで知識・技術を向上させることができるため、資格を取得してすぐに独立・開業というのは難しいのは事実です。

実際には、まずは街の整骨院や接骨院などに就職し、スキルアップして自信をつけたところで独立・開業する人が多くなっています。

ただし、独立・開業のタイミングは決められているわけではないため、早ければ資格取得後の早い段階で自分の院を持つことも可能です。

柔道整復師は海外でも働ける?

柔道整復師の国家資格は、あくまでも日本国内でのみ有効です。

そのため、日本で国家資格を取得したとしても、その資格自体は海外においては効力を発揮させることができません。

しかしながら、日本に伝わってきた柔道整復の技術は、いま海外からも大きな注目が寄せられています。

それを示すかのように、平成14年には柔道整復技術が「Judo therapy」として、「ジュネーブWHO本部(世界保健機構)」にて正式に認知されました。

投薬や外科的な治療は行わない柔道整復の施術は、西洋の先進医療に代わるものとして期待されています。

徐々にではありますが、世界各国で柔道整復の認知度も高まりつつあるようです。

ただし、柔道整復が海外で注目され始めているとはいえ、まだ大きな普及にまでは至っていないのが実情です。

そのため、現時点では海外で働きたいと思っても、日本で働く場合のように柔道整復師として病院などに就職したり、独立するのは簡単ではないようです。

柔道整復師として海外で活動したいという場合、一つの方法として、都道府県社団法人の柔道整復師会に入会する方法が挙げられます。

柔道整復師会では、積極的に柔道整復師の海外協力や普及事業を行っており、海外からの派遣以来があれば自らも希望によって参加することができるようです。

また、独立行政法人の国際活動の一環としても、柔道整復術の普及事業が行われていることがあります。

この先、海外各国での柔道整復の認知度がさらに高まっていけば、海外での活躍の場も広がっていくものと考えられます。

柔道整復師の仕事の流れ

接骨院などで患者さんの治療にあたる柔道整復師は、院の診療時間に合わせて仕事をします。

来院された患者さんをお迎えすると、まずは身体のどこに不調があるのか、いつから調子が悪いのかなどを詳しくヒアリングします。

そして視診や触診によってさらに詳しい状態を判断し、症状に合わせてテーピングをしたり、包帯や湿布などを使ったりして適切に治療を行います。

治療が終わればお会計や次回の予約を受け付けて、患者さんをお見送りします。

なお、柔道整復師の治療は西洋医学のように薬を用いないため、完治するまでに時間がかかる場合もあります。

その間、患者さんは継続的に通院をし、柔道整復師が都度状態をチェックしながら改善へと導いていきます。

柔道整復師と関連した職業

柔道整復師と整体師の違い

柔道整復師と整体師は、似たような職業だと捉えられることも多いですが、具体的な仕事内容などには違いがあります。

まず柔道整復師は、人間の持つ自然治癒力を生かして、骨や関節、筋や腱、靭帯といった箇所に発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などを治療する仕事です。

投薬や手術は行わず、テーピングや湿布、包帯を用いた施術を行い、柔道整復師の治療は「医療類似行為」とされ、一部の症例を除いて保険が適用されます。

一方、整体師は肩こりや腰痛などに対し、筋肉の矯正・緩和をさせる技術を用い、症状の回復を促す仕事です。

整体師は整体院で働くことが多く、カイロプラクティックなど「代替医療」と呼ばれる種類の施術に携わります。

柔道整復師は所定の養成学校で3年以上学んだのち、国家資格を取得して働きますが、整体師には国家資格がなく、さまざまな民間団体が認定する民間資格のみとなっています。

整体師の仕事

柔道整復師と理学療法士の違い

柔道整復師と理学療法士は、どちらも国家資格を取得して働く職業ではありますが、一番の違いは、自分の判断で施術を行うことができるかどうかという点にあります。

柔道整復師は、骨折や脱臼など、医師の指示を仰ぐ必要がある一部の症例を除けば、自ら診察をしてテーピングなどの施術を行うことができます。

一方、理学療法士は必ず医師の指示を受けて、「歩く」「座る」「立つ」「寝返りをうつ」といった身体の基本的な機能回復のためのリハビリテーションに携わります。

また、柔道整復師が接骨院や整形外科などに勤務するほか、独立・開業して自ら院を経営していく人がいるのに対し、理学療法士には開業権がないため、おもに病院などの医療機関や、医療機関と連携した高齢者施設などに勤務します。

理学療法士の仕事

柔道整復師と整形外科医の違い

柔道整復師と整形外科医の一番の違いは、医師であるかどうかです。

整形外科医は医師免許を持った医師であるのに対し、柔道整復師は医師ではありません。

医師免許を持っていれば、ほぼすべての医療行為を行うことができますが、柔道整復師は医師ではないため、その治療は正しくは「施術」と呼ばれます。

また、柔道整復師は打撲・捻挫・脱臼・骨折といった損傷に対して、手術や薬品の投与を行わずに、人間が持つ治癒力を利用して患部を固定するなどの方法で治療を行います。

一方、医療行為に関して専門的な知識を持つ整形外科は、必要に応じて手術や投薬なども行いながら治療をします。

整形外科として働くには医師免許が必要で、大学の医学部や医科大学で6年間学び、医師国家試験に合格して免許を取得する必要があります。