柔道整復師と理学療法士の違い

柔道整復師理学療法士の仕事内容の違い

柔道整復師と理学療法士の仕事や活躍の領域は似ている面もありますが、まったく異なる点としては、「施術を行うことができるかどうか」でしょう。

骨や関節、筋や腱、靭帯といった箇所に発生する問題を治療する柔道整復師は、骨折や脱臼など損傷の状態によっては施術を行うのに医師の指示を受けなくてはなりませんが、そうでない場合は業務範囲内で診察をして、施術を行うことができます。

しかし、理学療法士は業務の範囲であっても診察したり、施術を行うことはできません。

「歩く」「座る」「立つ」「寝返りをうつ」といった身体の基本的な機能回復をサポートする理学療法士ですが、施術は医師の指示を受けて行う必要があります。

もうひとつの違いとしていえるのは、「開業権の有無」です。

柔道整復師は開業権がありますが、理学療法士には開業権はありません。

柔道整復師はおもに地域の接骨院や病院の整形外科で働き、経験を積むと自分で整骨院などを開業する人も多くいます。

一方、理学療法士はおもに病院などの医療機関や、医療機関と連携した高齢者施設などが活躍の場となり、基本的に理学療法士は病院などに勤めて仕事をします。

理学療法士の仕事

柔道整復師と理学療法士のなる方法・資格の違い

柔道整復師と理学療法士は、どちらもなるためにはそれぞれの養成課程のある専門学校や大学・短大で3年以上所定のカリキュラムについて学び、そのうえで国家試験を受け、国家資格を取得する必要があります。

柔道整復師になるには「柔道整復師」の国家資格が必要で、その資格以外の資格をもって柔道整復師になることはできません。

同様に、理学療法士になるには「理学療法士」の国家資格が必要で、柔道整復師の国家資格を持っているといって理学療法士になれませんし、その逆も不可能です。

柔道整復師と理学療法士では資格の種類が異なるというわけです。

柔道整復師と理学療法士の資格・必要なスキルの違い

柔道整復師も理学療法士も国家資格であり、一度取得すれば、そのまま自分の手元に残ります。

取得のためには、大学・短大・専門学校などの養成校に3年以上通わなくてはならず、国家試験に向けた勉強も大変ですが、資格を持つことで専門性を生かした働き方ができるようになります。

近年の柔道整復師国家試験の合格率は60%前後、理学療法士国家試験の合格率は80%前後を推移しています。

一見、柔道整復師のほうが難しく見えるかもしれませんが、勉強する内容や試験科目にも違いがあるため、一概に難易度を比較することはできません。

また両者の特徴として、新卒で受験する人の合格率は90%を超えることが多く、養成学校できちんと学んで国家試験に臨むことの大切さがうかがえます。

なお、どちらの職業も、資格取得を目指す人の数は年々増えている傾向にあります。

柔道整復師と理学療法士の学校・学費の違い

柔道整復師の養成学校は、全国に100校以上あります。

このうちの大半を専門学校が占めており、柔道整復師になるための大学・短大は、全国で10校程度しかありません。

どのような学校でも、養成施設として定められていれば、柔道整復師になるために必要な勉強をすることができますし、国家試験の受験資格も得られます。

学費は3年制の学校で300万円~400万円程度、4年制の学校になるとさらに100万円~150万円ほど多くかかってくることが多いです。

理学療法士の養成学校は、文部科学省または都道府県知事に認可された短大か専門学校(3年制または4年制)、または4年制大学があります。

視覚障害者を対象とした特別支援学校の中にも、理学療法士の養成課程を持つ学校があります。

専門学校または短期大学に通う場合、地域や学校により差はありますが、3年間でおよそ300万円~500万円ほど必要になるでしょう。

4年制の私立大学に進む場合は、卒業までに約600万円~700万円ほどかかる場合が多いようです。

また、一般の専門学校を卒業した場合の学位は「専門士」ですが、文科省が定める基準をクリアした専修学校(4年制)を卒業すると「高度専門士」の学位を得ることができます。

柔道整復師と理学療法士の給料・待遇の違い

柔道整復師は、整骨院や病院の整形外科のほか、スポーツ関連施設や介護施設、その他にも美容業界などで働く人もいるため、どのような場で働くのかによって給料には違いが出てきます。

また、技術力が問われる仕事であることから、働き始めたばかりの新人柔道整復師と、この道で10年以上といったベテラン柔道整復師では、給料にも大きな差が出ることは珍しくありません。

新人時代の平均年収は350万円~400万円程度といわれますが、徐々に給料を上げることができ、独立・開業して成功すればさらに多くの収入を手にすることも可能です。

一方、病院で働くことの多い理学療法士は、医療に関わる専門職であることから高待遇を期待されることがあるようです。

しかし、理学療法士の月収のボリュームゾーンは23万円~27万円くらいであり、年収にして350万円~500万円くらいと、そこまで高い給料が期待できるわけではありません。

また、昇給の際の上がり幅が小さい傾向があるといわれるため、それなりの収入を望むのであれば、初任給の額に着目しておいたほうがよいでしょう。

大病院に勤務する場合には、平均以上の給料や待遇が得られる場合があるようです。

柔道整復師と理学療法士はどっちがおすすめ?

柔道整復師と理学療法士は、同じように患者さんの健康に貢献する職業ではありますが、業務範囲や役割には違いがあるため、それぞれの働き方や仕事内容をよく調べ、自分にとって、より魅力的に思えるほうを選ぶとよいでしょう。

柔道整復師は、基本的に素手でのみ施術を行い、病院と異なり投薬や手術は行わず、湿布や包帯、テーピングのみで施術をします。

人間の持つ自然治癒力を発揮させるという東洋医学の考え方で治療法が成り立っています。

この考え方に強く興味を持ち、柔道整復師を目指していく人も少なくありません。

一方、理学療法士はリハビリテーションの分野で活躍し、基本的な身体機能の回復の改善のために力を発揮します。

活躍の場はおもに病院となり、医師や看護師などとも連携をとって、患者さんの身体機能を現在以上によくすることを目指します。

どちらの職業も幅広い世代の患者さんと接しますが、日常の中で発生する捻挫や打撲などにも対応する柔道整復師の場合、より人々にとって身近な存在になるといえるかもしれません。

また、将来は独立・開業し、地域の人のためになる整骨院を出したいなどの夢を持っているのであれば、開業が可能な柔道整復師を目指すほうがよいでしょう。