児童指導員の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

児童指導員の仕事とは

児童指導員は、親元を離れて児童福祉施設で暮らす子どもや、発達障がいなどの障がいを抱える子どもに対して、生活全般をサポートしたり、自立して生活を送るための訓練を実施したりする職業です。

児童指導員として働くには、4年制大学で社会学などを学ぶ、教員免許や社会福祉士資格を取得するといった、児童福祉法により定められたいずれかの「任用資格要件」を満たすことが必要です。

児童福祉施設には、家庭の事情によって本来の家族と暮らせなくなった子どもが入所する児童養護施設をはじめ、障がいを抱える子どもが入所する障がい児入所施設、乳児院など、複数の種類があります。

児童指導員は、そうした子どもたちに対し、ときに先生となり、ときに親となって、基本的な生活習慣を身につけさせるための指導を行ったり、相談や悩みに乗ったりして、健やかな成長を促します。

子どもたちを無事に社会に巣立たせるという重い役割を背負っており、また夜勤を含むなど勤務体系もハードですが、子どもたちの成長をすぐ傍らで見守ることのできる、やりがいにあふれた仕事です。

近年は、社会情勢の変化もあって子どもたちの抱える問題も多様化しており、保育に関する知識だけでなく、心理学医学に関する知識も求められるようになっています。

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児童指導員の業務の内容

生活指導業務

児童指導員のおもな業務は、施設に入所する子どもたちに対する生活全般の指導です。

起床時間や食事時間、入浴時間、就寝時間などを指導して健全な生活リズムを身につけさせたり、挨拶や礼儀作法、食事作法などのしつけを行ったり、学校での勉強をフォローしたりします。

また、教育的な指導を行うだけでなく、子どもたちと一緒に遊んだり、ご飯を食べたり、話を聞いたりして、心身ともに健全に成長するよう保護者に代わって温かく見守ります。

さらに、障がいのある子どもに対しては、自力で日常生活を送るための動作訓練を行ったり、集団生活への適応訓練を行ったりします。

なお、「児童」指導員という名称であるものの、指導するのは児童だけに留まらず、その保護者や家族に対して生活指導を行うケースも少なくありません。

生活指導以外の業務

生活指導以外の仕事としては、施設を利用する子ども一人ひとりの生活指導計画の作成や日々の活動記録作成といったデスクワーク、学校や児童相談所といった各種関係施設との連携業務などがあります。

なかでも子どもの引き取りをめぐる保護者との面談や折衝は、子どもの将来を左右する重要な仕事です。

さらに、施設によっては、食事の配膳や後片付け、掃除、洗濯といった家事業務が発生するケースもあります。

同じように、障がい児入所施設に勤める場合は、子どもたちの食事、入浴、排せつなどの介護業務が、通所型の施設の場合は送迎業務が発生することもあり、児童指導員の業務は非常に多岐にわたります。

児童指導員の役割

施設に入所する子どもたちにとって、児童指導員という存在は、ときに先生であったり、親であったり、あるいは兄や姉であったりします。

ときと場合に応じてその立場や振る舞いを変化させながら、子どもたちの生活全般を支え、やがて社会へと羽ばたいていけるよう、保護者に代わって健やかに育てることが、児童指導員に課せられた役割です。

また、児童福祉施設で暮らさざるを得なくなった子どもたちのなかには、心に傷を抱えているケースも決して少なくありません。

ただ単純に生活を指導するだけでなく、そうした子どもたちに寄り添い、本当の両親から与えられなかった愛情を注ぐことで、子どもたちの精神的な支えとなることも、児童指導員の大切な役割といえます。

非常に責任の重い仕事であり、肉体的にも精神的にもハードですが、そのぶん、子どもたちの成長をすぐ近くで見守ることのできる、大変やりがいのある仕事ともいえるでしょう。

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児童指導員の仕事の流れ

各子どもに対する児童指導員の一連の仕事は、まず施設に子どもを受け入れるところから始まります。

子どもたちの多くは、急激な環境の変化に戸惑い、新しい生活に慣れるまでは時間がかかりますので、辛抱強く、優しさをもって子どもたちに接することが必要です。

少しずつ施設での暮らしに順応してきたら、各子どもの性格や能力に合わせて指導計画を作成し、正しい生活習慣や礼儀作法を身につけるための指導や訓練を行います。

あわせて、精神的な健康を保てるよう、不安や悩みの相談に乗ったり、遊び相手になったりして子どもの成長を注意深く見守ります。

やがて、元の両親のところへ戻ったり、里親が見つかったり、18歳を迎えて施設を退所することになったら、子どもを送り出して児童指導員の一連の業務は完了となります。

児童指導員の勤務先

児童指導員の勤務先の大半は児童福祉施設ですが、ひとくちに児童福祉施設といっても、入所する子どもの事情によって複数の異なる施設があります。

入所する子どもの事情や障がいの有無によって複数の種類に分かれ、具体的には、児童養護施設、障がい児入所施設、発達支援センター、放課後等デイサービス事業所、児童自立支援施設、乳児院などがあります。

最も一般的なのは、病気や事故による長期入院や死亡、貧困、虐待、あるいは刑罰による服役など、なんらかの事情で保護者がいなくなった子どもたちが入所する児童養護施設です。

次には、発達障がいなどの知的障がいを抱える子どもを対象にした、障がい児入所施設や医療型児童発達支援センター、学校終了後に一時的に預かる放課後等デイサービス事業所などが挙げられます。

ほかにも、非行に走る恐れがある子どもたちを保護し、指導を行う児童自立支援施設や、1歳未満の赤ちゃんを預かる乳児院などもあります。

また、子どもだけでなく、片親となっている母親もあわせて保護し、母子への援助と自立支援を行う母子生活支援施設で働く人もいます。

それらの施設では、児童福祉法により、提供する福祉サービスの内容、在籍する乳幼児・少年の人数などに応じて、必要最低限配置しなければならない専門スタッフの人員基準が定められています。

嘱託医や保育士栄養士などと同じように、児童指導員についても施設ごとに一定数以上の配置が義務付けられており、児童指導員は、そのルールに基づいて各施設で勤務しています。

以下では、児童指導員の代表的な勤務先について、その業務内容の違いをご紹介します。

児童養護施設で働く児童指導員

児童養護施設は、虐待や経済的事情、両親の病気や死亡など、なんらかの理由によって保護者と暮らせなくなった子どもが、集団で生活を送る施設です。

児童養護施設で働く児童指導員は、基本的に子どもたちと生活を共にするため、その勤務体系は宿直業務を含む交代制となります。

子どもを起床させるところから始まり、朝食づくり、洗面や食事、着替え、部屋の掃除といった指導を行い、学校へと送り出します。

学校から帰宅した後は、おやつを食べながらコミュニケーションを取ったり、宿題をみたりしつつ、夕食の準備や入浴、就寝の指導などを行います。

また、各自の趣味や特技を生かして、スポーツやレクリエーションを指導することもあります。

なお、児童養護施設には施設定員に合わせて、大舎制、中舎制、小舎生、グループホームといった形態の違いがあります。

定員数が増えれば増えるほど、共同設備や生活空間が充実し、管理しやすくなる反面、子どものプライバシーを維持しにくくなり、家庭的な雰囲気も出しにくくなります。

近年では、大規模な施設であっても、子どもたちが生活する集団をいくつかの小さなユニットに分けて、実際の家庭に近い環境での養育を行うケースが増えつつあります。

障がい児入所施設で働く児童指導員

障がい児入所施設は、おおまかに「福祉型」と「医療型」の2種類に大別でき、それぞれで児童指導員の業務内容も異なります。

福祉型施設で働く児童指導員は、おもに発達障がいなどの子どもに対して、食事・入浴・排せつなどの介護を行ったり、自立して生活するために必要な機能訓練、レクリエーションなどを行います。

一方、医療型施設の場合は、自閉症児、肢体不自由児など、福祉型施設と比較してより重度の障がいをもつ子どもやその両親に対して、医学的管理の下の介護や、日常生活上の相談支援やアドバイスを行います。

2012年に法改正が実施されて以降は、障がい児支援を強化するために、入所サービス・通所サービスの一元管理化が行われています。

このため、福祉型・医療型、どちらの障がい児入所施設で働く児童指導員についても、通園施設や、後述するデイサービス事業所といった他施設と連携しながら働くことがより重要になっています。

放課後等デイサービス事業所で働く児童指導員

放課後等デイサービス事業所は、障がいのある6歳から18歳までの就学児童に対して、学校の授業が終了してから保護者が仕事を終えて子どもを引き取りに来るまでの間、保育や療育を行う施設です。

放課後等デイサービス事業所で働く児童指導員は、子ども一人ひとりに作成した個別指導計画に基づき、日常生活を充実させるための訓練や創作活動を行ったり、子どもたちと一緒に遊んだりします。

地域のほかの福祉施設などと協力して、双方の施設利用者が交流するイベントを実施することもあります。

放課後等デイサービスは、近年急速に利用者数が増加しており、それに伴って事業所が全国各地に急ピッチで設置されているため、児童指導員の求人需要も大きく伸びています。

なお、6歳未満の未就学の障がい児については、放課後等デイサービス事業所に代わって、児童発達支援センターという通所施設の利用対象となりますが、そこで働く児童指導員も少なくありません。

児童指導員と関連した職業

教師

教師になるには、教職課程のある大学などを修了し、教員免許を取得することが必要です。

小・中・高いずれかの教員免許を持っていれば児童指導員の任用資格要件を満たしますが、2019年からは、そこに幼稚園教諭免許も追加されました。

教師は、子どもたちに勉強を教えることがおもな仕事ですが、子どもたちの個性を伸ばし、健やかな成長を手助けするという点において、その役割は児童指導員と非常に似通っているといえるでしょう。

小学校教師の仕事
中学校教師の仕事
高校教師の仕事

保育士

保育士は、保育園や保育所などに勤務して、子どもたちの保育を行う仕事であり、保育士として働くためには、国家試験を受けて資格を取得することが必要です。

児童養護施設などでは、児童指導員と同じように、保育士についても配置基準が定められており、双方の有資格者の活躍の場はある程度共通しています。

児童指導員と保育士のおもな違いは、保育する子どもの年齢であり、保育士が0歳~6歳までの未就学児を対象とする一方、児童指導員は0歳~18歳まで、幅広い子どもに対する指導を手掛けます。

保育士の仕事

精神保健福祉士

精神保健福祉士は、社会福祉士、介護福祉士と並ぶ福祉系国家資格であり、精神に障がいをもつ人やその家族に対する支援を行うソーシャルワーカーの一種です。

精神保健福祉士の資格があれば、同時に児童指導員の任用資格も満たすことになり、精神障がいや福祉行政に関する専門知識を、児童指導員としての業務に生かすことができます。

放課後等デイサービスなど、障がい児向けの事業を行う施設における児童指導員の配置基準が定められたこともあって、精神障がいに詳しい児童指導員には大きな需要が集まっています。

精神保健福祉士の仕事