女性の児童指導員のキャリアパス・結婚後の生活
女性の児童指導員の現状
正確な統計情報はありませんが、児童指導員のおよそ6割~7割は女性とされており、児童指導員は、男性よりも女性のほうがかなり多い職業となっています。
児童指導員は、保護者に代わって、さまざまな事情を抱える子どもたちの生活全般をサポートすることが仕事であり、その業務内容や役割、担うべき責任は、きわめて「育児」に近いといえます。
そうした仕事に興味を持ちやすく、料理や洗濯、掃除といった家事スキルを生かしやすいのは、男性より女性のほうが多いようです。
ただし「イクメン」という言葉に代表されるように、昨今では男性が家事や育児を行うことも当たり前になっているため、将来的には、児童指導員の男女比は徐々に1:1に近づいていくかもしれません。
20代で正社員への就職・転職
女性の児童指導員の強み・弱み
女性の児童指導員の強みは、なんといっても男性職員にはない「母性」があることです。
児童福祉施設を利用する子どもの多くは、虐待や貧困といった難しい家庭事情を抱えており、本来の親から十分な愛情を与えられなかったことで、心に傷を負っているケースが目立ちます。
そうした子どもたちの心を癒し、優しさや安心感を与えられるのは、母性本能をもった女性の児童指導員です。
決して男性が児童指導員に向いていないわけではありませんが、男性では、子どもに安らぎを与えるという意味において、どうしても女性に敵わない部分はあるでしょう。
反対に、女性の児童指導員の弱みとしては、体力面で男性より劣りやすいことが挙げられます。
児童指導員は、子どもと一緒に鬼ごっこやかくれんぼをしたり、スポーツをしたりと遊ぶ機会も頻繁にあります。
子どもは大人より疲れ知らずですから、児童指導員の体力的負担は相当なものです。
体力や筋力にかなり自信のある女性でないと、子どもたちのパワーに圧倒され、男性スタッフの助力を仰ぐことになるかもしれません。
結婚後の働き方
現代では、政府の「働き方改革」の後押しもあって、どの職業でも、結婚を機に退職する人は徐々に減りつつあります。
児童指導員についても同様で、結婚後も家事などを配偶者と分担しつつ、引き続き仕事を続けるケースが目立ちます。
ただし、児童指導員の職場は、早番や遅番、夜勤などを交代でこなしながら働くシフト制の施設が多く、また休日も土日に限らずばらばらであり、さらに休みの日に急に呼び出されることもあります。
勤務事情次第では、家事をするどころか、配偶者とあまり顔を合わせる機会すらなくなってしまう可能性もあるため、仕事に対する配偶者の理解は不可欠といえます。
どうしてもプライベートとのバランスが取れない場合は、日勤中心、土日祝日休みの職場に転職するといったことも検討する必要があるかもしれません。
20代で正社員への就職・転職
児童指導員は子育てしながら働ける?
児童指導員が子育てしながら働けるかどうかは、勤め先や個人の事情次第といえます。
スタッフの人数が充足している職場の場合、元から女性のほうが多い職場がほとんどであるという事情もあって、育児に対して協力的であり、シフトの融通も効きやすいケースが目立ちます。
公営の施設を中心に、出産休暇・育児休暇の取得を積極的に奨励しているところもあるため、仕事と育児を両立させることも決して不可能ではないでしょう。
しかし、人員不足に悩んでいる施設の場合、誰か一人でも長期間休んでしまうとシフトが回らなくなるため、産休・育休などの制度自体はあっても、実際には制度を利用できないという可能性が高くなります。
その場合、子どもを預かってくれる両親がすぐ近所に住んでいる、あるいは融通のきく保育所があるなど、子育てをサポートしてくれる環境がないと、仕事を続けていくことは難しいでしょう。
ただし、出産・育児に専念するためにいったん職場を辞めても、ひと段落して時間に余裕ができた頃には、再び児童指導員として働き始めるケースもよく見られます。
児童指導員は女性が一生働ける仕事?
児童指導員の仕事は心身ともに非常にハードであり、またその勤務形態も不規則であるため、家庭生活への影響は決して小さくありません。
このため、結婚、出産、育児などライフイベントの多い女性が、キャリアの切れ目なく児童指導員として働き続けることは難しいかもしれません。
しかし、何らかの理由で職場を離れざるを得なくなっても、ある程度のキャリアさえあれば、復職するハードルはさほど高くはありません。
ブランクが心配なら、パートなどの非常勤から再開して、徐々に仕事に慣れていく方法を取ることもできます。
むしろ、ブランクによるデメリットよりも、児童指導員の業務の性質上、出産や子育てを経験したというメリットのほうが大きいでしょう。
自分の子どもを育てた経験を生かして、難しい境遇にある子どもたちを助けている女性児童指導員は大勢います。
たとえ中断期間を挟むとしても、児童指導員は女性が一生働ける仕事といえます。