社会福祉士になるには? 資格は必要? 図解でわかりやすく解説
社会福祉士国家資格の取得ルートは数が多く、やや複雑ですが、この記事ではなるためのルートを図解で丁寧に解説します。
また、社会福祉士を目指す方が知っておくべき基本事項もまとめていますので、参考にしてください。
社会福祉士になるには国家資格が必要
社会福祉士になるには、社会福祉士国家試験に合格して国家資格を取得することが必要です。
国家試験を受験するために、まずは受験資格を得なければなりません。
受験資格を得る方法は全部で12通りありますが、代表的なものは以下の通りです。
最短で4年以上かかること、そして大学や養成施設など、いずれかの教育機関で学ばなければならないことは共通しています。
社会福祉士の資格制度は複雑なうえ、改正も頻繁に実施されるため、常に最新の情報をその都度確認しましょう。
詳細については、以下のリンク先を参照してください。
参考:社会福祉振興・試験センター 受験資格(資格取得ルート図)
社会福祉士になるまでの12通りのルート
上の図の通り、社会福祉士になるための国家試験受験資格を得るルートは12通りと多いですが、大きく分けると3通りです。
ひとつずつ解説します。
社会福祉士になるための学校の種類と費用(大学・専門学校・通信大学)
社会福祉士になる方法1.福祉系大学・短大等(指定科目履修)ルート
- 福祉系の大学で指定科目を履修(4年)
- 福祉系の短大などで指定科目を履修(3年)、相談援助の実務(1年以上)
- 福祉系の短大などで指定科目を履修(2年)、相談援助の実務(2年以上)
4年制福祉系大学は、受験資格を得るルートの中で唯一、卒業後に実務経験を積む必要も、養成施設で学ぶ必要もなく、最短で社会福祉士になることができます。
ただし、厚生労働省によって定められた指定科目を修めることが条件となっています。
基礎科目だけでは卒業後に短期養成施設に入り直さなければならないため、履修漏れには注意しましょう。
福祉系の短大や専門学校も有力な選択肢です。
ただし、国家試験の受験資格を得るには4年制大学とは異なり学業期間と合計して通算4年以上に達するまで、厚生労働省の指定施設において実務経験を積む必要があります。
社会福祉士になる方法2.短期養成施設等ルート
- 福祉系の大学で基礎科目を履修(4年)、短期養成施設など
- 福祉系の大学で基礎科目を履修(3年)、相談援助の実務(1年以上)、短期養成施設など
- 福祉系の大学で基礎科目を履修(2年)、相談援助の実務(2年以上)、短期養成施設など
- 社会福祉主事養成機関(2年以上)、相談援助の実務(2年以上)、短期養成施設など
- 児童福祉司など指定のの実務経験4年、短期養成施設など
このルートでは、福祉系の大学などを卒業し、厚生労働省によって定められた科目を履修して「短期養成施設」と呼ばれる学校で一定期間勉強して受験資格を取得します。
短期養成施設は全国にあり、通信制でeラーニングが可能など仕事や育児などと両立しやすいコースもあります。
短期養成施設の一覧は社会福祉振興・試験センターの公式サイトで確認できます。
→参考:短期養成施設の一覧
社会福祉士になる方法3.一般養成施設等ルート
- 一般大学(4年)、一般養成施設など
- 一般短大(3年)、相談援助の実務(1年以上)、一般養成施設など
- 一般短大(2年)、相談援助の実務(2年以上)、一般養成施設など
- 相談援助の実務(4年)、一般養成施設など
既に社会人の人、最終学歴が高卒の人も社会福祉士になることが可能です。
大学や養成施設のなかには、通学制コースだけでなく、通信制のコースもあるため、学費を安く抑えて働きながら資格を取得することもできます。
国家試験合格後は登録が必要
社会福祉士になるには試験合格と登録が必要
社会福祉士を名乗るには、国家試験に合格し、さらに登録が必要となっています。
- 書類を試験センターへ簡易書留送付
- 試験センターで審査・登録手続き
- 社会福祉士の登録証が交付される
登録には登録免許税15,000円と、手数料4,050円の収入印紙を同封します。
必要書類の詳細は合格通知に同封されているため、漏れのないように確認してください。
社会福祉士の国家資格は「名称独占資格」と呼ばれるものです。
社会福祉士を名乗るためには資格取得が必須であるものの、相談業務自体は、資格がなくても行うことができます。
しかし、さまざまな相談内容に対応するためには、福祉はもちろん、行政や医学、心理学などに関する幅広い専門知識が必要になるため、社会福祉士の国家資格取得はぜひ目指すべきです。
就職する際にも、社会福祉士の資格保有が条件となっているところが多く、資格があったほうが有利なのは間違いありません。
社会福祉士国家試験の難易度
- 合格率は30%前後
- 必要勉強時間は約300時間、1年程度
社会福祉士国家試験の合格率は、近年30%~60前後で推移しています。
2021年までは30%を切る年度もありましたが、それ以降は上昇傾向にあります。
合格するために必要な勉強時間は300時間が目安とされており、およそ1年間ほど受験勉強にかけるケースが一般的です。
社会福祉士の受験資格になる実務経験の積み方
資格取得ルートで実務経験として認められる職種は、厚生労働省の通知により決められています。
この章では、受験資格の対象になる職種の例を紹介します。
実務経験の対象になる施設
相談業務に該当する施設や職種は数が多いので、一部を抜粋して代表的なものを掲載しています。
社会福祉士の受験資格実務経験:児童分野
施設名 | 職種 |
---|---|
児童相談所 | 児童福祉司・受付相談員・相談員・電話相談員・児童心理司・真理判定員・児童指導員・保育士 |
母子生活支援施設 | 母子支援員・母子指導員・少年指導員・個別対応職員 |
児童養護施設 | 児童指導員・保育士・個別対応職員・家庭支援専門相談員・職業指導員・里親支援専門相談員 |
知的障害児施設 | 児童指導員・保育士 |
障害児通所支援事業 | 指導員・児童指導員・保育士・児童発達支援管理責任者・障害福祉サービス経験者 |
障害児相談支援事業 | 相談支援専門員 |
児童自立支援施設 | 児童自立支援専門員・児童生活支援員・個別対応職員・家庭支援専門相談員・職業指導員 |
社会福祉士の受験資格実務経験:高齢者分野
施設名 | 職種 |
---|---|
介護保険施設<指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、師弟介護療養型医療施設> | 生活相談員・支援相談員・相談指導員 |
地域包括支援センター | 包括線事業に係る業務を行う職員・保健師・主任介護支援専門員等 |
指定夜間対応型訪問介護を行う施設 | オペレーションセンター従事者 |
指定認知症対応型共同生活介護を行なう施設 | 介護支援専門員 |
介護予防支援事業を行なっている事業所 | 担当職員 |
社会福祉士の受験資格実務経験:障がい者分野
施設名 | 職種 |
---|---|
身体障がい者更生相談所 | 身体障がいしゃ者福祉司・心理判定員・ケースワーカー |
点字図書館 | 相談援助業務を行なっている専任の職員 |
精神保健福祉センター | 精神保健福祉相談員・精神保健福祉士・精神科ソーシャルワカー |
知的障害者更生相談所 | 知的障害者福祉司・心理判定員・職能判定員・ケースワーカー |
社会福祉士の受験資格実務経験:その他の分野
施設名 | 職種 |
---|---|
保健所 | 精神保健福祉相談員・精神保健福祉士 |
婦人相談所 | 相談指導員・心理技能判定員・専任の婦人相談員 |
更生保護施設 | 補導主任・補導員 |
救護施設・更生施設 | 生活指導員 |
授産施設 | 指導員 |
相談援助業務(実務経験)に該当するか否かは、以下のサイトで確認することができます。
実務経験の対象外の施設
以下は、社会福祉士の受験資格の実務経験対象外であるため、注意してください。
職種・事業 | 実務経験に該当しない場合 |
---|---|
指導員 | 「介護等の業務を行なう指導員」として介護福祉士国家試験を受験した方 |
児童指導員 | 保育士から継続して児童指導員となり、「入所者の保護に直接従事する児童指導員」として介護福祉士国家試験を受験した方 |
保育士 | 「保育士」のうち、「入所者の保護に直接従事する保育士」として介護福祉士国家試験を受験した方 |
障害福祉サービス経験者 | 「障害福祉サービス経験者」のうち、「介護等の業務を行なう障害福祉サービス経験者」として介護福祉士国家試験を受験した方 |
生活支援員、生活指導員、指導員 | 「介護等の業務を行なう生活支援員、生活指導員、指導員」として介護福祉士国家試験を受験した方 |
第一号通所事業(高齢者分野) | 事業者指定を受けていないもの等 |
包括的支援事業(保健師、主任介護支援専門員等) | 一部の事業 |
社会福祉士として働くにはどんな職場がある?
社会福祉士は、ありとあらゆる福祉に関する相談を受付けます。
したがって、社会福祉士の勤務先には介護や医療、障害者支援など、さまざまな選択肢が考えられます。
多くの人が働いているのは以下の4つです。
それぞれ、仕事内容も含めて紹介します。
社会福祉士の活躍の場1.高齢者福祉施設
厚生労働省の統計によれば、最も多くの社会福祉士が働いているのは高齢者福祉施設で、全体の約4割となっています。
高齢者福祉施設とは例えば以下のようなものです。
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
- ケアハウス
- グループホーム
社会福祉士は生活相談員として、施設を利用する高齢者とその家族に対して、生活面や経済面、介護方法、福祉サービスなどに関する相談に応じます。
また、社会福祉士が介護職員を兼ねているケースも多いですし、介護報酬の計算といったデスクワークや、施設利用を検討している人の案内など施設運営全体の業務を行います。
社会福祉士の活躍の場2.障がい者福祉施設
社会福祉士の勤務先として、高齢者福祉施設の次に多いのが障がい者福祉施設で、2割弱が勤務しています。
障がい者福祉施設とは下記のようなものを指します。
- 身体障がい者福祉センター
- 障がい者グループホーム
- 福祉作業所
公共の身体障がい者福祉センターに勤める場合、障がい者やその家族からの相談対応が主な仕事になります。
一方、障がい者グループホームなど、入所形式の施設の場合は、相談業務に加えて日常生活の介護業務が発生するケースが一般的です。
社会福祉士の活躍の場3.医療施設
社会福祉士の約1割が務めるのが病院などの医療施設です。
大きな総合病院などでは、「生活相談室」などの相談所があり、社会福祉士が常駐しています。
社会福祉士は、入院生活から退院後にわたり患者の生活に関する相談に応じます。
社会福祉士の活躍の場4.独立して働く
社会福祉士は、独立開業も可能な職種です。
ただ、相談業務のみで十分な収入を得ることが困難であるため、多くの独立型社会福祉士は成年後見を受任したり、福祉サービスの第三者評価を受けおったりして生計を立てています。
社会福祉士に適性があるのはこんな人
社会福祉士の支援対象は、高齢者や要介護者、生活困窮者、虐待を受けている子ども、DV被害者など、なんらかの理由でつらい境遇に立たされ、福祉の手助けを求めている人たちです。
社会福祉士には、そうした厳しい状況に共感し、相手の立場で物事を考えられる、思いやりのある優しい人が向いているでしょう。
また、社会福祉士の主な仕事は相談対応であることから、相手の話を聞くのが得意で、コミュニケーションスキルが高いことも大切です。
日常生活において、家族や友人などから、悩みごとや相談を持ちかけられやすい人は、社会福祉士の適性があるかもしれません。
社会福祉士の雇用形態
社会福祉士の雇用形態は、おおまかには正規職員や常勤職員、正社員などの正規雇用と、非常勤職員や嘱託職員、派遣社員、パートといった非正規雇用の2種類に分けられます。
正規職員は雇用期間の定めがない「無期雇用」である一方、非正規雇用は、1年単位の更新制だったり、あるいは最初から任期が決まっている「有期雇用」です。
社会福祉士の求人は非正規雇用も非常に多く、「スクールソーシャルワーカー」のように、ほぼ非正規の求人しかない仕事もあります。
以下では、正規雇用と非正規雇用、そしてフリーランス、それぞれの特徴や待遇面の違いなどをご紹介します。
正規雇用の社会福祉士
正規雇用の特徴
正規雇用の社会福祉士は、1日8時間前後のフルタイムで働きます。
多くの職場は、労働時間は日中の時間帯に固定されていますが、早番や遅番といったシフト制で働く施設もあり、また介護施設では、ほかの介護職員と同じように夜勤が発生するケースも珍しくありません。
正規雇用は、非正規雇用と比べるとより責任ある立場で働き、職場によっては、体力的・精神的な負担が重くなることもあります。
しかし、そのぶん雇用形態としては安定しており、自分から辞めたり、問題を起こしたりしない限り、基本的にずっと同じ職場で勤め続けることができます。
キャリアを積めば、やがて施設長などの役職者に昇進することもできるでしょう。
正規雇用の待遇
正規雇用の社会福祉士の年収は、職場によって多少の差がありますが、380万円~550万円前後が相場とされています。
介護施設に勤める場合、夜勤手当などが付くぶん、ほかの施設と比べると収入は高りやすいでしょう。
キャリアを重ねて管理職などに昇進すれば、年収600万円ほどを得ることも可能です。
また、公共施設や行政機関などで働く公務員は、月々の給料は民間施設とそこまで大差ないものの、福利厚生面の待遇が手厚いため、実質的な収入はより多くなりやすいようです。
非正規雇用の社会福祉士
非正規雇用の特徴
非正規雇用の場合、正規雇用とは違って、勤務日数や勤務時間は、就職先によってばらばらです。
フルタイムで働くケースもあれば、1週間の上限が決まっているケースもあり、各自の生活事情などに合わせて、働く曜日や時間帯などをある程度調整することも可能です。
仕事だけでなく、家事や育児などもこなさなければならない人の場合、非正規雇用のほうが何かと都合がよいかもしれません。
しかし、非正規雇用の社会福祉士は基本的に任期が決まっているため、ずっと働き続けられるわけではなく、どうしても不安定といえます。
更新制の職場でも、契約更新回数に上限があるケースが一般的であり、数年単位で職場を転々とすることが必要になるでしょう。
ただし、勤務態度や成績次第で、正規雇用に切り替わるチャンスが与えられる職場もあります。
非正規雇用の待遇
非正規雇用の社会福祉士の給料は、時給で支払われることもあれば、日給や月給で支払われることもあります。
給料水準は職場によってかなり差がありますが、時給1,000円~1,700円前後が相場であるようです。
非正規雇用の職場のなかには、より即戦力となれる人材が求められるケースも少なくなく、ある程度のキャリアとスキルがあれば、正規雇用を上回る単価で働くことも可能です。
腕に自信があれば、より少ない労働時間で、効率的に稼ぐこともできるでしょう。
フリーランスの社会福祉士
社会福祉士の国家資格があれば、ある程度の経験を積んだ後に、独立開業して自分の事務所を経営することもできます。
独立型社会福祉士の給料は、個人の実力によって差が生じやすいといえますが、年収400万円~500万円が相場とされています。
ただし、社会福祉士としての相談業務だけで十分な収入を得ることは困難であるため、独立型社会福祉士の多くは「ケアマネジャー」や「社労士」など、別の資格と兼務して生計を立てています。
独立して働くことは、仕事の自由度が上がるといったメリットがある一方、経済面などのリスクもあるため、しっかりと入念な準備をしてから開業することが望ましいでしょう。
社会福祉士を目指すなら知っておきたい基本事項
この章では、社会福祉士を目指す方が知っておきたいことをまとめました。
社会福祉士のキャリアプラン・キャリアパスは?
社会福祉士の業務では、さまざまな分野にわたる深い専門知識やスキルが必要になるため、資格を取得しただけですぐ活躍できるわけではありません。
まずは上司や先輩の社会福祉士の指導を受けながら、ひとつずつ実務経験を積んでいくことが必要です。
数年間のキャリアを経て、一通りの実務をこなせるようになったら、管理職への昇進を目指すこともできますし、介護福祉士やケアマネジャー、精神保健福祉士などの関連資格取得を目指す道も考えられます。
なかには、勤め先を退職して独立し、自身の社会福祉事務所を開業する人もおり、自身の希望や信念に基づいて、多様なキャリアプランを描くことが可能です。
社会福祉士を目指せる年齢は?
社会福祉士の国家資格を取得するためのルートは複数あり、学歴や職歴によってさまざまな道を選択することができます。
いずれかの学校に通うことは必須であるものの、夜間課程や通信課程であれば、働きながら資格取得を目指すことも不可能ではなく、年齢が気になることもないでしょう。
社会福祉士は就職先も多様であるため、資格さえあれば年齢を問わないという職場も珍しくありません。
とくに介護施設は、業界全体が慢性的な人手不足に陥っていることもあり、数多くの求人を見つけることができます。
したがって、社会福祉士は、何歳からでも目指すことができる職業といえます。
ただ、公共施設への就職については、公務員試験に年齢制限がある関係上、おおむね40歳くらいが上限となるでしょう。
社会福祉士は高卒から目指せる?
高卒の場合、そのままでは社会福祉士国家試験の受験資格がないため、まずは受験資格を得ることが必要です。
高卒から受験資格を得るには、福祉施設などに就職し、実務経験を積んでから養成施設で学ぶ方法なども考えられますが、最も望ましいのは、4年制の福祉系大学に進学する道です。
経済的、または家庭的な事情で大学に通うことが難しい場合は、夜間課程や通信課程の大学を選択するとよいでしょう。
どのルートを辿るとしても、資格取得まで最低4年はかかる長い道のりとなりますが、中長期にわたって努力し続けるつもりなら、高卒から社会福祉士になることも十分に可能です。
社会福祉士は女性もなれる?
近年の社会福祉士国家試験合格者をみると、男女比はおよそ1:2程度となっており、女性のほうがかなり多くなっています。
相談業務がメインであり、体力的負担が少ないことや、土日祝日が休みの職場が多く家庭生活とのバランスが取りやすいことなどが、女性からの人気を集めている理由です。
また、社会福祉士には公務員として働ける職場も多数あるため、産休や育休を取得しやすい点も大きな魅力です。
病気や障がい、貧困など、つらい状況にある人と接する際には、女性ならではの優しさや包容力が生きるケースも多く、社会福祉士は女性に向いている仕事といえるでしょう。
【参考】社会福祉士登録者数の推移
社会福祉士の登録者数は年々増加しています。令和3年の登録者数は260,518人になりました。
社会福祉士の求人・就職の状況・就職先選びのポイント
社会福祉士は高齢化が進む日本において、需要が高まっている職業です。
しかし、その待遇や仕事内容は施設によっても大きく異なるため、就職・転職の際には、自分が納得できる勤務先を選ぶことが重要です。
社会福祉士の求人の状況
現代の日本では、数多くの社会問題が山積しており、介護、障がい、貧困、虐待、DVなど、なんらかの理由で福祉の手助けを必要とする人が増えています。
このため、社会福祉士は社会全体のいたることから求められるようになっており、さまざまな施設から広く求人があります。
なかでも、高齢者人口の増加にともなって介護業界からの需要はきわめて旺盛であり、近年はずっと売り手市場が継続しています。
ただし、社会福祉士の求人において注意しておきたいのは、介護業界の場合「介護職」として一括りで採用されることも珍しくない点です。
将来的には、施設長などの管理職にステップアップしていくことも可能ですが、新人や若手のうちは食事や入浴などの介助業務も行わなければならず、相談業務だけに専念できないケースはよく見られます。
もしも最初から相談対応業務だけを手掛けたいなら、求人情報を事前に確認し、就職先をよく見定める必要があるでしょう。
社会福祉士の就職先の選び方
支援対象で選ぶ
一口に社会福祉士といっても、施設によって仕事内容は大きく異なるため、就職先を選ぶ際は、まずどのような人を対象に、どのような福祉サービスを手掛けたいかを考えましょう。
高齢者を助けたいなら高齢者福祉施設や介護施設が候補となりますし、障がい者を助けたいなら障がい者施設が、子どもを助けたいなら児童福祉施設が、貧困者なら福祉事務所が、それぞれ選択肢に挙がります。
それ以外にも、母子家庭を支援する施設や、DV被害者、外国人労働者、無戸籍者を支援する組織で働くことも可能です。
特定の人を対象とするのではなく、広く地域全体を支援したいなら、市役所などの行政機関や、各地域にある組織を統括する社会福祉協議会で働く道も考えられます。
需要で選ぶ
世の中の需要の高さで選ぶなら、介護施設に就職することがおすすめです。
需要が高いということは、それだけ多くの人から求められ、多くの人を支援できるということです。
「人の役に立つ」という福祉職の本分をまっとうできる就職先といえます。
また、介護施設からは非常に求人が多く出ており、待遇や勤務地、勤務時間などの雇用条件の選択肢も豊富であるため、自分の希望や生活スタイルに合致した就職先を見つけやすいでしょう。
とくに、結婚や出産、育児など、ライフイベントによって生活環境が変わりやすい女性の場合、転職しやすい・復職しやすいというメリットは大きいかもしれません。
さらに、将来的に独立開業を志している人の場合、介護業界はマーケットが広いぶん、ビジネスチャンスも見つけやすく、経験を積むことで独立が成功する可能性も高まるでしょう。
安定性で選ぶ
自身の生活を安定させて働きたいなら、市役所や福祉事務所などで働く公務員になる道が考えられます。
民間の施設と比べて、公務員の給料がそこまで高いわけではありませんが、住宅手当や通勤手当などの福利厚生面が充実しているぶん、経済的にはゆとりが生まれやすいでしょう。
公務員という保証された身分が得られ、問題を起こしたり、自分から辞めたりしない限り、定年退職まで働き続けられる点も大きな魅力です。
ただ、公務員として働くには、社会福祉士国家試験に加え、公務員試験の勉強もこなさなければなりませんし、どこの自治体でも福祉職の募集は人数が限られているため、競争倍率は高くなりがちです。
なお、社会福祉協議会も、公務員になれるわけではありませんが、公務員に準じた待遇が得られるため、安定性を重視する人にとってはおすすめの就職先といえます。
就職先はどのように探したらいい?
社会福祉士になるための大学や養成施設などでは、学校に寄せられる求人情報を提供したり、就職説明会を開催したりして、在校生・卒業生の就職支援を積極的に行っています。
そのなかから自分の希望に合った先を選び、必要に応じて施設見学を行ったりして、就職試験にエントリーする流れが一般的です。
また、インターネットの求人サイトや求人情報誌、ハローワークなどでも、社会福祉士の求人情報は比較的簡単に見つけられす。
公務員の採用情報については、学校から案内されるケースもありますが、各自治体のホームページや公務員試験をまとめている情報サイトなどを利用して、自分でチェックすることも可能です。
民間企業とは違い、公務員試験は自治体ごとにエントリーできる期間が定まっているうえ、基本的に年1回しかチャンスがありません。
さらに、社会福祉士の公務員採用は、一般行政職として一括りで募集する自治体もあれば、福祉職として別枠で募集する自治体もあるため、求人情報はできる限り早く、入念にチェックすることが大切です。
「社会福祉士になるには」まとめ
社会福祉士になるには、最短でも4年かけて受験資格を得て国家試験に合格する必要があります。
合格後に登録手続きを完了すれば、社会福祉士と名乗ることができます。
社会福祉士の試験に合格後は福祉施設などの勤務先で働きながら実務経験を積んでいくことになります。