社会福祉士になるためにはどんな勉強が必要? 実習で学ぶことは?

社会福祉士になるためにはどんな勉強が必要?

社会福祉士になるためには、高齢者、障がい者、貧困者など、さまざまな相談者に対応するための、幅広い専門知識を身につけなければなりません。

このため、大学や短大、専門学校、養成施設といった社会福祉士の教育機関では、国家資格を管理している厚生労働省によって、学ばなければならない養成科目が細かく規定されています。

それらは全部で20科目以上に及びますが、おおまかには、精神保健福祉士と同じ内容を学ぶ共通科目と、社会福祉士だけの専門科目に分けられ、座学だけでなく、実際の福祉施設などで行う実習もあります。

以下では、社会福祉士になるために必要な勉強の具体的な内容を、注意点などを交えながらご紹介します。

なお、時代に合わせて社会福祉士に求められる役割が変化していることもあって、教育内容は定期的に見直しが実施されています。

近年は、より地域社会全体で支援できる体制づくりを進めるため、ソーシャルワークに関する学習内容が強化される傾向にありますが、最新のカリキュラムは、各学校で個別に確認することが必要です。

社会福祉士になるための共通科目

共通科目は、「人体の構造と機能及び疾病」「心理学理論と心理的支援」「社会理論と社会システム」「福祉サービスの組織と経営」「社会保障」など、福祉職としての一般知識を学ぶ科目です。

これらは「基礎科目」と呼ばれ、たとえば4年制大学ですべての基礎科目を履修すると、卒業後に短期養成施設において、残る専門科目を履修することで、国家試験の受験資格が得られます。

逆にいうと、たとえ4年制の福祉系大学を卒業しても、この基礎科目の履修だけでは受験資格が得られませんので、勘違いしないよう注意する必要があるでしょう。

共通科目は、おもに1年目や2年目のカリキュラムで組まれる初歩的な内容ですが、福祉、医学、心理学など、複数の分野にまたがった広い知識を身につけなければならず、難易度は決して低くはありません。

その後に学ぶ専門科目の土台となりますので、しっかりと学習することが必要です。

社会福祉士になるための専門科目

専門科目は、「相談援助の理論と方法」「地域福祉と包括的支援体制」など、社会福祉士の業務に直結する、より高度な内容を学ぶ科目です。

これら専門科目と、上述の共通科目を併せて「指定科目」と呼び、たとえば4年制大学で指定科目すべてを履修すると、卒業と同時に国家試験の受験資格を得ることができます。

同じように、福祉系以外の大卒者や実務経験者を対象とした一般養成施設でも、これら指定科目すべてを履修して卒業することで、受験資格が得られます。

専門科目のなかには、「相談援助演習」や「相談援助実習」も含まれており、学校での授業などにおいて培ってきた知識を、実際の現場で発揮するための実践的なスキルを学びます。

内容は質・量ともにハイレベルになりますので、予習や復習を怠らず、しっかりと授業についていけるよう、万全の準備で臨みましょう。

社会福祉士の実習

実習時間

社会福祉士の実習は、24日間以上、かつ180時間以上行うことが定められており、学校によって24日間連続で実施することもあれば、12日間ずつ、2回に分けて実施することもあります。

ただし、上述したように、厚生労働省による教育内容の見直しが行われており、より現場での経験を積むため、実習時間を約30%増やして240時間とすることが計画されています。

なお、介護福祉士または精神保健福祉士の国家資格をもつ人については、60時間を上限として、実習が一部免除されます。

実習場所

実習場所は、福祉事務所などの行政施設、老人ホームなどの高齢者施設、介護施設、障がい者福祉施設、生活保護施設、児童福祉施設、社会福祉協議会など、非常に多岐にわたります。

ただし、学校が用意した施設のなかから実習先を選択することが一般的ですので、すべての施設を希望できるわけではありません。

特定の施設において実習したい場合は、各学校の実習先をあらかじめ調べておくことが必要です。

実習内容

それぞれの実習先では、先輩の社会福祉士の指導の下、実習に励むことになりますが、実習内容自体は、施設によって、また担当する指導員によって、大きく異なります。

社会福祉士のおもな仕事は相談業務であり、福祉事務所などでは、実習生として、実際に施設を訪れる相談者に対応することもあります。

ただ、高齢者施設や介護施設などでは、相談業務の実習よりも、食事や入浴の介助や、レクリエーションへの参加といった介護業務の実習のほうが多くなりやすいようです。

実習内容は事前に伝えられますので、施設ごとの特徴や事業内容などを、あらかじめ調査しておくことが望ましいでしょう。

実習における心構え

実習は、実習先の施設や実習内容自体がどんなものであっても、実際の社会福祉士の働きぶりや、施設ごとの特色や雰囲気、福祉を必要としている人の実態など、数多くのことを学べる貴重な機会です。

実践的なスキルを身につけることはもちろん、就職先を選んだり、今後の自身のキャリアを考えるうえでも、実習で得た経験は非常に役に立つでしょう。

実習を実りあるものとするために、気をつけるべきポイントは2つあります。

ひとつは、わからないことがあれば、積極的に指導員に質問することです。

たとえば、特別養護老人ホームで実習するなら、入所する際に必要となる手続きや、入所者の特徴、社会福祉士としての関わり方など、具体的な内容をたずねてみるとよいでしょう。

そうした現場でしか得られない生の情報を知ることも、実習の意義のひとつです。

指導する先輩社会福祉士としても、なんでも受け身で、やる気の見えない実習生よりは、前向きに多くのことを学ぼうとする実習生のほうが、はるかに好印象であり、指導のしがいがあるでしょう。

もうひとつは、実際に接する施設利用者への思いやりを忘れないことです。

実習生という立場であるにせよ、相手の側からすれば、一人の福祉スタッフであることに変わりはありません。

最初はコミュニケーションに戸惑うことも多いかもしれませんが、利用者の話をよく聞いて、自分に何ができるのかをよく考えてみましょう。

思いやりの心を持って、誠実に相手の話に耳を傾け続ければ、たとえ知識や技術が不足していても、相談者と良好な関係を築くことができるでしょう。

参考:厚生労働省 社会福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて