社会福祉士になるための学校の種類と費用(大学・専門学校・通信大学)
社会福祉士になるための学校の種類
社会福祉士になるには、国家試験に合格して資格を取得することが必要ですが、試験を受けるためには、まず受験資格を得なければなりません。
ただし、受験資格を得る方法は複数あるため、どのルートを選択するかによって通うべき学校も、大学、短大、専門学校など、さまざまに異なります。
学校によっては、卒業後に養成施設と呼ばれる専門学校に入り、あらためて勉強し直したり、福祉施設などで数年単位の実務経験を積んだりしないと、受験資格が得られないケースもあります。
社会福祉士になるルートはかなり複雑であるため、しっかりとそれぞれの学校のメリット・デメリットを把握したうえで、各自にとって最も望ましい進路を選択してください。
なお、受験資格を得る方法のなかには、まったく学歴を必要としないルートも存在しており、4年以上の実務経験を積んだのちに養成施設で1年以上学ぶと、誰でも国家試験の受験資格が得られます。
このため、中卒や高卒でも社会福祉士になることは可能ですが、ほかのルートと比べて余分に時間がかかりますし、就職においても不利になりやすいことは否めません。
家庭事情や経済事情、あるいは学力などによって進学することに迷う人もいるかもしれませんが、できる限り、いずれかの学校に進学することが望ましいでしょう。
社会福祉士になるための大学
社会福祉士になるにあたって最もオーソドックスといえる進学先は、4年制の福祉系大学です。
定められた「指定科目」を履修して卒業するだけで、国家試験の受験資格が得られるため、ほかのルートのように養成施設で学び直したり、実務経験を積んだりしないでいいぶん、非常にスムーズです。
ただし、大学には指定科目を学べるところと、ほかの福祉職と共通の「基礎科目」しか学べないところがあり、基礎科目だけでは卒業後に短期養成施設で学ばないと受験資格が得られません。
遠回りをしないためにも、大学選びは慎重に行ったほうがよいでしょう。
学費は4年総額で400万円ほどが相場とされており、経済的な負担は決して軽くはありませんが、それに見合うだけのメリットはあります。
また、より学費を抑えたい場合は夜間コースに通うか、2年制や3年制の短大に進学する方法もあります。
しかし、短大の場合、指定科目を履修して卒業しても、すぐには受験資格が得られず、学習期間と通算して4年以上になるまで相談援助の実務経験を積むことが必要です。
社会福祉士になるための専門学校
社会福祉士を目指せる専門学校としては、2年制・3年制・4年制の社会福祉学科、地域福祉学科などがあり、大学と比べて、より実践的な内容を学べる点が大きな特徴です。
4年制以外の専門学校については、短大と同じように、卒業後に2年~3年の実務経験を積まないと受験資格が得られない点には、あらかじめ留意しておきましょう。
学費は年間100万円~150万円ほどが相場ですが、専門学校のなかには独自の特待生制度や奨学金制度を設けていたり、国の助成金制度の対象となっていたりするところも数多くあります。
それらの制度を利用すれば、経済的負担を軽減することも十分に可能です。
なお、専門学校のなかには、6ヵ月間や1年、1年半ほどのカリキュラムを組んでいる短期養成施設・一般養成施設もありますが、それらは上述した通り大卒者や実務経験者を対象とした学校です。
高卒では入学資格がないため、一般的な専門学校と養成施設とを混同しないように注意しましょう。
社会福祉士になるための通信大学
社会福祉士になるための大学のなかには、通信制の大学もあります。
送られてくるテキストやWeb上でのオンライン講座で勉強し、レポート提出などの課題をこなすことで単位が認定されるため、時間や場所に束縛されず、自分のペースで学習を進めることができます。
ただし、学校に通って授業を受ける「スクーリング」や、実際の福祉施設における実習も実施されることから、すべてを自宅学習だけで完結できるわけではありません。
必要となる費用は4年総額で70万円~80万円ほどが相場であり、学費の安さが通信制の最大の魅力です。
さらに、学校によっては、ほかの学校で過去に取得した単位を認定し、いきなり3年生や4年生からスタートする「編入学」ができるところや、履修した科目だけ授業料を修める「単位制」のところもあります。
人によっては、かける時間も、労力も、お金も非常に少なくて済むケースもあるため、社会福祉士を目指すなら一度検討してみるとよいでしょう。
ただし、通信制の場合、通学制とは違って基本的に一人でコツコツと勉強しなければならず、相談し合ったり苦楽を分かち合ったりする友人がいつもすぐ近くにいるわけではありません。
社会福祉士の資格取得難易度は決して低くないため、たった一人で、つらく難しい勉強に打ち込み続けられる、強い覚悟と自制心が必要です。