社会福祉士の成年後見制度における役割は?

成年後見制度とは

成年後見制度とは、高齢化に伴う認知症などの精神疾患や知的障がいなどを理由として、判断能力が衰えてしまった人に代わって、「成年後見人」に指定された人が、財産管理や意思決定を行う制度です。

自己判断能力が欠如すると、相手の話を正しく理解することが難しくなり、悪徳商法に引っかかるなど、騙されやすくなりますし、振り込め詐欺などの犯罪に巻き込まれる危険性も高まります。

また、公共サービスや民間のサービスを利用するための、契約を結んだり、書類を作成したりといった作業も、一人で完結させることが困難になりますので、日常生活にも支障が生じやすくなります。

本人または裁判所に指名された後見人は、本人に代わって不動産や預貯金などを管理したり、事務手続きを代行したりすることで、本人の財産を守ったり、生活全般をサポートする役割を担います。

高齢者人口の増加に伴って、成年後見制度を利用する人も年々増えており、近年の同制度利用者数は20万人を超えて推移しています。

社会福祉士の成年後見制度における役割

成年後見制度には、「任意後見」と「法定後見」の2種類があります。

任意後見とは、本人の判断能力が衰える前に、本人の意思に基づいて、あらかじめ「後見契約」を結んでおき、判断能力が衰えたあとに後見を開始する方法です。

この際の後見人に指名されるのは、本人の配偶者や子ども、兄弟といった親族、あるいは弁護士司法書士といった法律関係の国家資格保有者であるケースが一般的です。

これに対し、法定後見とは、既に判断能力が衰えてしまっていると家庭裁判所が判断した人に対して、審判の確定と同時に後見を開始する方法です。

法定後見は、家族からの申立で行われることもありますが、本人に身寄りがなかったり、あるいは虐待やDVなど、家庭環境になんらかの問題があったりして、市町村からの申立で行われることもあります。

社会福祉士が後見人に指名されることが多いのは、圧倒的にこの法定後見が適用されるケースです。

遺産相続などの金銭トラブルや、本人の生活場所などに関する身内間の争いを防ぐため、福祉制度に関する知識を駆使して、本人の生活を全般的にサポートすることが、社会福祉士に課せられた役割です。

社会福祉士が成年後見人になるには

社会福祉士が、法定後見制度によって後見人に指名されるためには、家庭裁判所から、「人格見識ともに適任」であると認められる必要があり、そのためには、複数のステップを踏まなければなりません。

まず、社会福祉士の国家資格を取得した後、日本社会福祉士会において正会員登録を行い、同会主催の「基礎研修」を受講します。

基礎研修は1~3まであり、同一年度中に1回ずつしか受けられませんので、基礎研修を修了するには、最短で3年かかる計算になります。

すべての基礎研修を受講すると、「成年後見人養成研修」と「名簿登録研修」を受けられるようになりますので、年1回実施される同研修を受講します。

受講後、同会の権利擁護センター「ぱあとなあ」において、成年後見人等候補者名簿の登録をおこなうと、家庭裁判所からの後見人指名を受けられるようになります。

成年後見人がもつ法的権力は強く、不正利用されるケースも散見されますので、後見人となるためには、長い時間をかけ、専門知識と倫理感を養うことが必要です。

今後、高齢化社会がより進展すれば、高齢者福祉に精通した社会福祉士が後見人に指名されるケースは、現状よりもはるかに増加していくものと見込まれます。

参考:日本社会福祉会 ぱあとなあ